ExpandedBook Attendant
−98年12月のテキスト−


981231.木曜日

会社が休みに入ってからずっとデスクトップにかじりついている。来年2月に発行予定の『T-Time の本(仮題)』の原稿を書くためだ。

1月1日に書評ホームページがリニューアルオープンされる。これまでは紙の本の書評で構成されていたが、今後は電子本の書評もどんどん取り上げられるようになる。そのために編集同人として参画することになった。書評パンチの宣言文にも目を通してほしい。

ボイジャーのTTZ出版センターの正式オープンが1月8日に決定した。TTZファイルを掲載しているホームページリストも公開されている。T-Time Attendant とあわせてチェックしよう。

また、公式専用バナーも複数用意された。近々ここにもバナーを貼り付けよう。

残念なニュースもある。12月18日にオープンを謳っていたサイバー・ブック・センターのリニューアルが、1月15日に延期されたのだ。そこでは常設「エキスパンドブック横丁 on Web」が開始される予定だったが、延期のお知らせメールが昨日届いた。18日の予定から10日以上たってようやく連絡が来たというのもあきれたが、集客にはもってこいのクリスマス&正月休みに間に合わなかったというのが残念でならない。大きなマイナス点だ。

畑仲哲雄さんの『メディア「浸食」の日々』の紹介文。ニフのFJAMEAにあるほらふき文藝逡巡にアップしたものです。


981227.日曜日

18日に締め切られた、ボイジャーのワンショットTTZ無料体験キャンペーン。駆け込みで申し込んだ人たちのファイルが、今週はいろいろと公開されています。でも仕事が忙しくてまったくチェックできてないです。

『T-Time の本(仮題)』の執筆活動に専念するため、Web の更新が少々滞ります。年内にはあと一回は更新するつもりです。ほんじゃね。


981221.月曜日

【夢線通信】

ぼくはちかごろ夢をみるのが本当に下手で、いつもよくわからない禅問答に悩んでいるような目覚めをむかえる。

六角文庫の泉井小太郎さんが届けてくれた夢の交信は、そんなぼくにはとてもうらやましく、はかなく映る光の囁きだ。この美しいTTZファイルを、どうか受けとめてほしい。


981210.木曜日

【映画作家とCD-ROM ttz版】

映画作家とCD-ROM  萩野正昭(ボイジャー)

マルチメディアという虚構の中でも、すばらしいCD−ROMタイトルはきちんと発売されてきた。そのいくつかは半年足らずで市場から消え去った。しかし、ボイジャーの『ヒロシマ・ナガサキのまえに』『忘れられたフィルム』はいまでも入手可能である。薄利多売、短期利潤追求を旨とするパソコンソフトショップからは姿を消してしまったかもしれない。しかし、ボイジャーとぼくたちには理想書店がある。この二作品の魅力と、日本語版を制作するにあたってのテクニックを詳細に語ったテキストの ttz 版が登場した。いますぐ読んで、いますぐCD−ROMを手に入れてほしい。(『ヒロシマ・ナガサキの前に』はDiVOでも販売してます)

【T-Time GIFアニメ】

ボイジャー発のオフィシャル GIF アニメーションです。

【ビルマへの手紙】

謙東弥(けんはるや)さんがビルマ(現、ミャンマー)での50日間の旅行記をエキスパンドブックで出版しました。価格は1,200円(送料他別)。

彼のホームページにアクセスすると、大量の画像が index.html に貼り込まれていて、ざっと1メガほどあるのですが(^_^;)、どれも美しく素朴なビルマの人びと街並みです。


981209.水曜日

【オンライン版「本とコンピュータ」12月号】

読者登録された方には、案内メールが届いていると思います。オンライン「本とコンピュータ」12月号が公開中です。なんと今回は Flash を使っています。2メガのデータをロードするのはなかなか大変です(^^;) …ロード終了。おお、音声付き。さすがは Flash。

QuickTime ムービーもふんだんに使われているようです。この紀田順一郎氏の『技術と日本語ものたがり』のページは、他のページのあっさり味と違って、いきなりきらびやかです。よくもわるくも両極端だなぁ。確信犯ですね、きっと。

【ある灯り】

大久保友博さんは16歳の学生さんです。自作の小説をネットで公開なさっています。しかも、T-Time のルビタグに対応した形式で公開されているんですね。次はttz 化にチャレンジしてほしいな。


981206.日曜日

【うきうき文庫TTZ版ついに公開】

浮世絵太郎作品の TTZ化。主要4作品が一気に公開。

【青空文庫TTZ第一弾】

青空文庫もいよいよ TTZ 版の登場です。夏目漱石の『薤露行』。以前から T-Time 対応版 html ファイルが公開されていました(外字を gif データで組み込んで、本文に馴染ませてあり、なおかつ本文テキスト同様ルビが入っている!)。TTZ化によってファイルがひとつにまとめられています。即アクセス!

【PGエヴァンゲリオン(TTZ版)】

ワンショットTTZ無料体験キャンペーンにサクッと応募してみました。パーフェクトグレード・ガンダムが発売された記念に、一年前に発売されたパーフェクトグレード・エヴァンゲリオンについて当時書いたテキストです。ガンダムについてもおっつけ公開予定。

TTZファイルの増殖にあわせて、T-Time Attendantネットで公開中のTTZファイルリストを追加しました。


【エキスパンドブック活用法あれこれ】

ニフティのボイジャーサロンで、「電子本の使い方について教えて」という書き込みがありました。それに対するコメントを再編集したものです(エキスパンドブックに限った内容になっています)。

■電子の手紙として

電子メールでは味もそっけもない画面にテキストが出るだけですが、エキスパンドブックや T-Time を使えば情緒たっぷりの縦組み&アンチエイリアス文字。達意の度合いがまるで違います。じっくり語りかけたいメールで使うことがあります。FDに入れて、ネットにつながっていない友人に送ったり。

■デジタル書見台

T-Time が出てくるまでは、毎日愛用していました。ブックの任意の場所にカーソルをたてて、ペーストするだけで、あらゆるテキストが目に優しいアンチエイリアス文字になって表示されます。わざわざモードを変更しなくてもできてしまうところがミソです。

■メールマガジンの情報ストック

メールマガジンをテキストビューワーで読んでいて、「あ、ここは残しておきたいな」という記事に出会ったとします。そんなときはノートブックを呼び出して、すかさずストック。エキスパンドブックの中で完結できるところがすばらしい。こればっかりは T-Time にはできない芸当です。

■デジタルアルバム

エキスパンドブックは、画像データを一括登録・流し込みができます。ほんのわずかな行程で1ページ1枚の写真集ができあがるのはとても気持ちいいです。

デジカメなどで撮影したファイルをながめるために、この機能を使うことがあります。デジカメの画像ファイルは JPEG が基本なので、GraphicConverter などで PICT に一括変換してから流し込みます。キャプションも簡単につけられるし、不要な画像もすぐに外せます。

こういう使い方もできます。見る人によって、ブックを作り分けるのです。画像データは1枚のCD−Rにでも焼いてしまって、祖父母用、パパママ用、子供用など、それぞれに掲載する写真を変えたり、子供用はキャプションをやさしくしたり。画像データは参照形式にするのがミソ。

■覗き見ブック(^_^;)

エキスパンドブックの素材パレットは、不可視属性のデータも読み込むことができるので、CD−ROMタイトルのムービーデータや画像データ、音声ファイルなどを登録してしまえば、覗き見ブックのできあがり。

データベース的なCD−ROMなのに、データアクセスするのがとても面倒なタイトルってたまにありますよね。そういうときにこの機能を使うと便利です。

ムーンライダーズの20周年記念CD−ROMを見るときにたいへん重宝しました。

■聞きたいところだけ再生するCDプレイヤー

エキスパンドブックは、CDの再生に関してはこと細かに指定できます。「このCDのこのフレーズだけ」といった指示もできます。また、普通のCDプレーヤーでは20トラック目より後の曲を呼び出すのが面倒です。エキスパンドブックで、任意のトラック再生を指定しておけば、いつでも聞きたい曲がすぐに聞けます。

コーネリアスの『69/96』には69トラック目と96トラック目に隠しサウンドが入っているのですが、それだけを再生するブックを作りました。

*  *  *

この他にも、「NewtonBook 用の版下作成」や、「自動再生やネオン表示を使ったスクリーンセーバー」、「CD再生用のリモコン」「ネットの掲示板のバックナンバー」などの使い方もあります。

*  *  *

ポシブルブック倶楽部のメンバーの方で、親戚のちっちゃい女の子のために、絵本を作った人がいました。この方はイラストレータなのですが、自分で描いたイラストを、ページめくりで見せていくために使ったようです。本文に大きな文字も使えるから、じつはお子様向けの絵本や言葉の練習本を誰でも簡単に作ることができます。全国のお母さまに、ぜひおすすめしたいです。

*  *  *

デジタルアルバムが簡単に作れることは、じつはすごいアドバンテージなのではないかと思っています。同じことのできるツールは他にもあるけれど、エキスパンドブックほどエレガントな仕上がりを期待できるものは見たことがありません。

*  *  *

エキスパンドブックは、「電子出版」「電子本」という言葉にひきずられて、不特定多数への発信を旨としたパブリッシュなツールだと思われていますが、じつはもっとプライベートなツールであり、親密なコミュニケーションを形成するツールでもあるのです。

ぼくは世のおじいさんおばあさんに、ぜひともエキスパンドブックを使ったデジタル自分史を作ってもらいたい、そんなふうに考えています。「大きな文字サイズでアンチエイリアス表示」「スクロールしない画面」、この目に優しいしくみ。そして「矢印キーだけでほとんどの操作が可能」という親切さ。これがエキスパンドブックの輝きなのです。「パソコン上に本の読みやすさを再現する」というありきたりな言葉では、けして伝えることのできない、微妙かつ大切なニュアンスだと思っています。

■おまけ・愛読家のためお読む楽しみ

また、ネットでは絶版本などのブック化が進んでいます。青空文庫のように著作権の切れた文学作品が多数無料で公開されていたり、電子書店パピレス、光文社、グーテンベルク21などのダウンロード販売でめざましい業績をあげているところもあります。インターネット文学賞は、PDFとエキスパンドブック形式で上位10作品が販売されています。

これらネットでブックが手に入ることの最大の利点は、「24時間いつでも手に入る」ことです。真夜中に突然、梶井基次郎の『檸檬』が読みたくなっても、すぐに手に入れることができるのです。

また、畑仲哲雄さんの『スレイヴ』のように、紙の出版にさきがけてエキスパンドブック版が公開された例もあります。この『スレイヴ』は、いわゆる「人気サイトが紙の本になった」というのとはまったく違った経緯をたどっています。

*  *  *

■ハイブリッドのデータ形式について

容量の小さなものなら、ネットにあげてしまえばフォーマットを気にする必要はありません。それがネットエキスパンドブックなのです。マックで作っても、Windows でほぼ同様に表示でき、その反対も可能なのがエキスパンドブックなのです。

少々大きなデータの場合は、CD−Rに焼いてしまいましょう。ほとんどのソフトはハイブリッドに焼くことができるはずですし、最悪ISO形式だけでもマックで読むことができます。

圧縮したデータを共用することは、個人的にはやめていく方向で考えています。どうしてもと言うなら、lzh と zip 形式が確実でしょうけど、両フォーマットで自己解凍できるものというのは、寡聞にして知りません。

すっかり長くなってしまった。こういうのこそ TTZ 化するべきなんだなぁ。いずれ、またね。


981202.水曜日

【幾時代かがありまして…】

ここのところ青空文庫は加速度的に充実している。ついに中原中也が登場。『山羊の歌』が登録されました。中也のことなど何も理解せず、その言葉の中にひたすら自分を探していた学生時代を思い出します。俺ってセンチメンタルな奴だったのね。

友川かずきの歌声で『サーカス』が聞きたくなります。冬は疾風吹きました。

そんなこんなで、突然リンクバナーを貼り付けました(イチバン下のところね)。


981201.火曜日

【ワンショットTTZ 無料キャンペーン延長!】

11月末終了予定だったワンショットTTZ無料体験キャンペーンだが、好評につき12月18日まで延長されることになった。

それもこれも、まだ応募してないあなたに申し込んでもらいたいとボイジャーのみなさんが待ってくださっているということなのです。さぁ、とりあえず簡単なテキストファイルでOK、いますぐ申し込んで、ttz ファイルの不思議な感覚を味わってください。ほんとにいますぐだよ、もおーっ。

【平野甲賀さんとバスケさんの対談】

日本の Newton ユーザーのほとんどが恩恵を受けているバスケさん。もともと Newton オンリーのプログラマではなかったから、活動は多岐にわたっていて、じつはボイジャーのソフトウェア群やエキスパンドブックの開発にも関係が深い。最近は『オンライン版・本とコンピュータ』のネットワークプログラマとしても活躍している。今回は、本コのアートディレクションを司っている装丁の神様こと平野甲賀さんとがっぷりよつに組んでの対談。必読。HotWIRED 独特の凝りに凝ったウェブデザインページもあるが、テキストオンリーのページもあるので、そちらにアクセスして即 T-Time しよう!


ポシブルブック倶楽部へ

美しい暦へ