ExpandedBook Attendant
−98年10月のテキスト−
981030.金曜日
【ボイジャー七年目の挑戦】
ボイジャーは1992年10月27日に創立し、ちょうど先日の火曜日から七年目がスタートしました。
俺年表によると、同じ年の秋に、ぼくはニフティ・サーブに入会しています。ネットワーカー多村栄輝(多村えーてる)とボイジャーの歩みは、同じ頃に始まったようです。
これからもよろしく!
【Rocket eBook と Open eBook】
前々から追っかけていた Rocket eBook だが、とうとう動き出したようだ。Hot WIRED の記事を読んでいると、アメリカの出版業界は相当震撼しているかのような印象を受けるが、果たしてどうだろう?
じつはこの分野にもマイクロソフトの挑戦が始まっている。それが Open eBook Standard と呼ばれる新しい電子本規格だ。Hot WIRED の関連記事を読んでも、それがどういうものなのかよく理解できていないのだけど、あのボブ・スタインもコイツハスゴイ!と驚いたというシロモノだ、笑って見過ごすわけにはいかないだろう。
ネットワークとの連携、テキストという普遍性の比較的高いフォーマットを活かしていこうとする海の向こうの国にくらべて、画像データで本をまるごとスキャニングして「はい、これが電子本」などと言ってうかれている日本の電子書籍コンソーシアム。この格差は深刻だと思わないか?
第1回インターネット文芸新人賞が発表されました。
読売新聞(10月28日)によると、応募作品数は313件。
果たして多いか少ないか。受賞作品はPDFとエキスパンドブックでダウンロード販売されます。当然エキスパンドブック版を買うべし。ついでに、主催者側に「ttz 版も出して」とお願いしましょう。
981022.木曜日
T-Time でホームページを読むとき、画像データもちゃんと入った状態で読みたいときってあるよね。今回はその方法について紹介します。
ttz ファイルで登録してみました。 T-Time 1.1.2 か、 T-Time Lite 1.1.2 で読むことができます( T-Time Lite は、なるべく10月13日以降のバージョンを使ってください)。
さて、うまく表示することができるでしょうか。結果を知らせてくださいね。
981021.水曜日
【インターネット快適読書術・文字校正】
ざっと読んで見つかったタイプミスは以下の二箇所でした。
P62 左下5行目 換えられませ。 → 換えられません。
P210 2行目 関する関する解説本 → 関する解説本富田さんはきっと表記の間違い、解釈の間違いを気にしていらっしゃると思うけど、みっちり付き合わせで調べないと見つかりそうにないです。ということは、かなり正確に書いてあるということです(^_^) でも、あそこまで詳細に解説してあれば、きっとズレも出てくるでしょうね。それだけ使う人の立場にたって、細部にまで、使う人の意識の流れにまで配慮してある! すばらしい一冊です。
981018.日曜日
【Mac OS 8.5 とエキスパンドブック& T-Time】
昨日の0時に世界同時発売となった Mac OS 8.5。しばらく様子を見ようと思っていたけど、ジェンナーの息子の血(『本コ』2号参照)が騒いできて、自分で検証することにした。
●(T-Time)基本的に問題なし
今回から OS レベルでアンチエイリアス表示のオプション(なめらかな文字にする)が付いたので、「文字品質」に影響してくるかと思ったが、どうやら関係ないようだ。
ところでこの「なめらかな文字」だが、表示速度はかなり早い。
●(EB)メニューバーを隠すキーボードショートカットが使えなくなった
あらたに加えられた「アプリケーション切替」という機能拡張ファイルがある。 Windows と同じようにキーボード操作だけでアプリケーションの切り替えを可能にするものだが、この機能拡張のキーアサインが cmd + tab になっている。エキスパンドブックのメニューバーを出し入れするキーボードショートカットがこれに取り上げられてしまい、キーボードからメニューバーを出し入れできなくなってしまった。マウス操作での出し入れは問題なくできるので、決定的な問題ではないが、慣れていたキー操作だけにしばらくは戸惑うかもしれない。
「アプリケーション切替」機能拡張をはずしてしまうという手もあるが、キーボードでアプリを切り替えられるのは便利なので、これは受け入れるしかないかな。
981017.土曜日
【ポシブルブック倶楽部の一年】
明日でポシブルブック倶楽部が始まってからちょうど一年になる。本格的な始動はもう少しあとになるのだが、とにもかくにも、一年前のその日、ニフティサーブにひとつのパティオを開設しました。オープニングメッセージには、こう記されていました。
活動開始のための準備パティオです
会の名前はまだありませんだから
embryo.ebk
産声もこれからなのです何人かの横丁作家に呼びかけメールを送り、唯一賛同してくれた ukiuki さんと二人っきりで始めた名も無いパティオでした。いまではなくてはならないポシクラの企画営業部長の田辺さんなんて、あまりに強引な誘いに「そうおどかさないでください」なんて最初は逃げられてしまったのを思い出します。
始めたころはまだエキスパンドブックしかなかったから、どうやってエキスパンドブックを広めていくかということを軸にいろんなアイデアを出し合いました。そこで五つのレベルを設定したのです。
●横丁作家同士の連携、技術の向上、作家活動意識の高揚
●ツールキットをもてあましている人にブック作りを促す
●エキスパンドブックに興味のある人にツールキットユーザーになってもらう
●横丁に頼らない読者の獲得、読者への作品提供
●ひろくエキスパンドブックの技術を広め、日常的利用を促すこれをさらに整理して、呼びかけるべき対象、進めるべき活動を三つに整理しました。それが現在の「読みたい人に、よい本を」「書きたい人に、出会いの場を」「出版を目指す人に、支援の手を」です。
この方針は今も変わりないですが、今年3月、ホームページがオープンされるのとほぼ同時に登場した T-Time の存在は、ポシブルブック倶楽部の仲間たちの意識の中に大きな影響を及ぼしています。
これからもポシブルブック倶楽部は、時代を追い越しすぎず、時代に追い越されず、デジタルの本をとりまく渦の中心であり続けたいと思います。どうかよろしく。
981015.木曜日
【怪しいけれど怪しくないUFO本】
エキスパンドブックによる電子出版業の老舗、猫乃電子出版の新作『現代UFO学ノート』が発売中だ。
「UFO」とはいったいなんなのか?20世紀最大の謎は、「現代UFO学(Modern ufology)」として一大分野を築きつつあった。「コンタクティ研究家」として名高い作者の長年の研究を踏まえた成果を分かりやすく解説する現代UFO学の入門書。(解説文より)
著者の丹波丹氏の「なるべく多くの人に読んでもらいたい」という願いをうけて、ハイブリッドCD−ROMにもかかわらず価格は400円(!)儲け度外視のこの本、UFOを信じるあなたも、そうでないあなたも、ぜひ手に入れてもらいたい一冊だ。サンプル版もあるぞ。
981013.火曜日
【世界初の ttz 配信】
ワンショット ttz お試しキャンペーンが開始されてはや一週間。たくさんの ttz ファイルが作成されつつあるようで、とうとうネット上にも ttz ファイルのお目見えだ。T-Time に恋する乙女、LUNA CAT 嬢の登場です。『インターネット快適読書術』の発売記念にと、書評を書きはじめたところ、思わぬ熱い文章に仕上がり、それならとボイジャーのワンショット ttz に応募したそうです。
このワンショット ttz 化、21:30にメールで送ったら、22:24にはできあがってきたのだそうな。わずか56分。驚くべき早業です。どういう仕組みでやっているんでしょうね。手作業で受け付けていると思っていたけど、まさか夜を徹して ttz 化作業を進めているのでしょうか。こんど夜中の3時ごろに送ってみよう(^_^;)
T-Time の底力、それを愛してやまない LUNA CAT さんの自信に満ちたダイアローグを、ぜひその眼で確かめてください。→LUNA CAT『もうひとつの未来へ』をダウンロード
【T-Time Lite(for Mac)バージョンアップ】
さて、LUNA CAT さんの ttz は堪能しましたか? 彼女は Windows ユーザーなのですが、Windows でアップロードした Net ttz ファイルは、マック版の T-Time Lite で表示する際に不具合が見つかったそうです。ボイジャーのホームページに、さっそく対応版 T-Time Lite が登録されました。マックユーザーで T-Time Lite を使っている方は、最新版をダウンロードしてください。
ここで ttz ファイルを見る方法について整理しておきましょう。
ttz ファイルは、T-Time Lite 1.1.2 以上および製品版 T-Time 1.1.2 で見ることができます。製品版 T-Time をお持ちの方で、バージョン 1.0 のままの方は、ボイジャーのライブラリにアップデータが登録されているので、アップデートしてください。
10月1日にも書きましたが、ttz ファイルをネットで公開するには、サーバーに MIME TYPE を対応させてもらう必要があります。biglobe はいちはやく対応してくれたようです。ニフティとasahi-net に申請を出していますが、腰が重いのか対応が遅い。遅すぎるぞ。
昨年の夏に「季刊・本とコンピュータ」の座談会に呼ばれたとき、津野海太郎さんがこんなことを話していたのを思い出します。
「このあいだシャープの研究所で、すごいものを見せてもらったよ。画面で本を読むための装置とフォントなんだけど、これがほんとにクッキリとしているんだよ。数年後には、えーてるさんたちはアレで電車の中で電子本を読んだりするのかもしれないな」
いま思えば、それは電子書籍コンソーシアムで予定されているビューワーのプロトタイプだったのですね。「専用フォント」のことばかりが記憶に残っていたけど、そのときは装置の話もしていたっけ。ただ、そのときはすかさず NewtonBook の話を持ち出し、「今でもすでにこんなふうにして電車でも読んでますよ」とデモしてみせたところ、
「たはっ、えーてるさんにはかなわないや。でも俺は紙の本のほうがいいな」
なんて言われて、ムッとしてそのままになってしまったんだけど。
『インターネット快適読書術』、読めば読むほど眼からウロコ。知らなかったこと、見落としていたことが続出です。そして、魂をテキストに置き換えて語りかけてくるかのような富田さんの文章に胸が熱くなっています。これはただの解説本じゃない。だって、ただの機能の解説が読む人の胸を打つなんてことができるはずがないです。
でもタイプミスもいくつか発見しました。近々、眼からウロコだった部分とあわせて、掲載していきます。
981009.金曜日
【快適読書術が届いた!】
ひつじ書房に注文していた『インターネット快適読書術』がとうとう届きました。佐川急便の送り状には10月9日必着と書いてあり、房主である松本さんの気合いの入り具合がひしと伝わってきます(^_^) 包みの中には、書籍とお詫び状、そして T-Time アップデータとひつじ書房のオリジナルアイコンが入ったFDが同梱されていました。このフロッピーは、ボイジャーのユーザー登録データを参照して使用OSの違いに対応しているそうです。本当に、読者の一人一人を大切にしてくれている…そんな感じがしてうれしくなります。
肝心の本書ですが、本文246ページは想像以上にずっしりとしたボリューム感があって、内容も二段組みと一段組みが併用されていて相当中味がつまっています。ポシブルブック倶楽部のメーリングリストでは、富田倫生さんの「できました」メッセージを受けて、たくさんの祝福メールが飛び交っています(^_^)
981008.木曜日
ボイジャーには、ぼちぼちワンショットTTZ化無料キャンペーンへの応募が届いているそうです。関係筋によると、応募イチバンのりは高校生だったとか。学生にもやさしいボイジャーと T-Time 。
【TTZの設定は多彩】
TTZファイルを作成するときは、ユーザーがどこまで変更できるかを段階的に設定できる。たとえばテキストファイルを T-Time に読み込ませた時のように内容の書き換えまで許可することもできるし、反対にウィンドウサイズや文字サイズなどのレイアウトを完全に固定した状態に設定することも可能だ。この他にも、著者パスワードと読者パスワードを個別に設定することができ、パスワードを知っている読者だけが内容を見ることができるようにするといったことも可能だ。
実際に作成したときの状態を比べられるよう、TTZ ファイルのサンプル集のページが公開されている。
サンプルはエキスパンドブック・ツールキットのユーザーにはおなじみの、『家事はロボットにおまかせ』が使われている。注釈ブックや外部参照データのムービーファイルなど、ttz ファイルによる電子出版の可能性を目の当たりにすることだろう。
【T-Spoonの意外な効能】
T-Spoon を導入してから、ウェブへのアクセス頻度がよくわかるようになった。デイリーに通う情報系ページは、T-Time を使わないで済ませてしまうので、T-Pot の中に日付の入ったフォルダができあがるのは「これは読みたい」と思わせるサイトに出逢ったときを意味している。フォルダの合計容量が大きいと、それだけ読み物のボリュームがあったということなので、とても分かりやすい。Windows ユーザーの LUNA CAT さんなどは「マックユーザーだけずるい」とほっぺたを膨らませているかもしれないね。
【季刊・本とコンピュータ1998年秋号】
10日発売の本コ最新号、都心部の書店ではもう出回っていることと思う。今回もかなり興味深い話題が満載だ。うわさの電子書籍コンソーシアムと対比するようにして、スウェーデンのブックス・オン・デマンドが紹介されているのも興味深い。152ページの「電子読書装置とオン・デマンド
本」にも注目だ。以前紹介した「SoftBook」「RocketBook」「EveryBook」などのアメリカでのネットワークと連携したデジタルブックが取り上げられている。00h00.comの動きにも注意を払っておくこと。
【オンライン版・本とコンピュータ、10月の更新】
もうひとつの本コ、The Book and The Computer。先月のオープンから三ヶ月かけて創刊号をアップデートしていくという試みが取り入れられている(12月から定期刊行化)。読者登録した人には、10月の更新について案内メールが届けられていると思う。「読者の声」はは多くの人の投稿が掲載されているが、うれしいことにぼくの投稿がトップに掲載された。二カ国語ホームページなので、すべてのテキストは日本語と英語で読むことができる。ぜひとも Tamura Eiteru のテキストを読んでいただきたい。
投稿するときに、英語で掲載するときのことを考えて名前欄には多村栄輝(Ether Tamura)とわざわざ書いておいたのだが、却下されてしまったみたい。少々残念だけど、まぁいいか。
981005.月曜日
ふと思い立ってエキスパンドブックのリソースのテキストファイルを T-Time に読み込ませてみたところ、エキスパンドブック独自のタグも、部分的には T-Time は解釈してくれるようです。ひょっとして縦横変換(組み文字)も解釈してくれるかな、と期待したけど、さすがにこれは無理のようです。 T-Time にも、組み文字を指定するタグがあるといいのになぁ。
981001.木曜日
【マイム、MIME】
TTZ ファイルをWEBで扱えるようにするには、MIME TYPE の設定が必要になる(application/t-time)。拡張子 ttz に対してこの設定をおこなっておかないと、ホームページに掲載した TTZ ファイルを読者が直接ダウンロードすることができない。WEBサーバー管理者に MYME TYPE の設定をお願いしよう。とりあえずニフティと asahi-net にメールしなくちゃ。