ExpandedBook Attendant
−98年05月のテキスト−


980524.日曜日

【T-Time for Newton ができたとしたら】

エキスパンドブックと T-Time の関係が、ちょうど送り手と受け手のそれぞれの立場に立った構造をしているように、 Newton にも NewtonBook があるのだから、T-Time for Newton ができるとしたら、当然同じように受け手の立場に立ったツールになることだろう。

たとえば、ウィンドウサイズや縦横表示の切り替えに柔軟に対応してテキストが整形されるなら、それだけでも使い勝手がぐっとよくなるだろう。行間や余白の取り方は自由に設定できるようにするべきだが、アンチエイリアス文字については盛り込む必要はないかもしれない。むしろ必要なのは、全機種全環境で共通して使用できる美しい書体が用意されることだろう。

データの持ち方としては、Notes を拡張するか、専用のファイル形式を用意するかどちらかになるだろう。専用形式がまずあって、他に Notes や NewtonBook のルーティンボタンに「T-Time」というメニューが加わるかもしれない。メニューを選ぶと、自動的に T-Time に取り込まれるような仕組みになっているイメージだ。本家 T-Time のように、html 文も解釈できるようにして、NetHopper や Newtscape のようなウェッブブラウザからもデータを受け取れるようになるといいかもしれない。

また、ページめくりの自在さについても一考ほしいところだ。スクロールボタン以外にも、指でタップしやすいような大きめのページめくりボタンパレットがでてくるとか、Librarian.pkg のように電源スイッチでページがめくれるといった、片手で操作できるようなしかけが入っているとうれしい。

T-Time は革命的なソフトだが、つまるところパソコンという机の上の物体であるところのパソコンのソフトだ。ノートパソコンとて、持ち運べるモノではあっても、 MessagePad のようにいつでもどこでもというわけにはいかない。NewtonBook のように「作る」というプロセスを経ることなく、あらゆるテキストから読書環境を作り出してしまう機能こそ、 T-Time for Newton に求められているものなのだ。


980514.木曜日

【T-Time アイデア】

T-Time の機能についていくつか。

目次パレットに相当するものがあれば…

エキスパンドブックでブックを読むときは、ページゲージの次に目次パレットを出し入れするのが好きなぼくは、 T-Time で目次パレットがなくなったのがちょっぴり残念。テキストビューワーで読み込んだ HTML 文も、H タグが目次に反映されていたで、重宝していたんですけどねぇ…。

ページめくりのキーは何がいいか

ずばり、スペースバーでめくれるようにしてくれ、という意見がぼくのまわりでは多いです。エキスパンドブックになれると矢印キーでめくるのがとっても自然に受け入れられます。ところが、茄子Rやネットスケープでスペースバーでバシバシ読み進めるようなスタイルが身についている人には、矢印キーを使うことが窮屈でしかたないようなのです。たしかにスペースバーは大きいから押しやすいですし。

賛否両論あるかと思いますが、ようするにメンタルモデルが何なのか、ということなんだけどね。


さて、マック& Newton ユーザーにはおなじみのエバンジェリスト大谷和利さんも愛用の T-Time 。

ニフティのボイジャー・インフォーメーションにも案内文が掲載されて、ニフティ内でもそこかしこで静かな盛り上がりを見せているわけですが、インフォメーションにはうたってなかった機能で、これはオススメというのを書いてみますと…。

●ウェッブページは自動的にパソコンに取り込まれるので、オフラインでじっくり読むことができる!

●同一フォルダ内のテキストを次々と読み込むことできる!(ファイルオープンダイアログよさらば!)

●一度ひらいたテキストファイルは、次に開いたときは続きから表示される!

●好みのスタイル、設定を登録できる!(エキスパンドブックのテキストビューワーのテンプレートのように)

T-Time ユーザーはすでにその恩恵を享受している「あたりまえ」のことだし、エキスパンドブックに慣れている人なら「あってしかるべき機能」です。しかし、エディタや他のツールでテキストをながめていた人にはどれも新鮮でうれしい機能ではないでしょうか。

かゆいところに手がとどく。なんて気持ちいいんだ(^^)


980504.月曜日

【T-Time オフィシャルページ】

ボイジャーのホームページに T-Time のオフィシャルページが追加されました。

とうとう六月にハイブリッド版が発売されるわけですが、太っ腹なボイジャーは、マックワールドエキスポで先行販売パッケージを購入したユーザーには無償アップグレードをしてくれるそうです。

ユーザー登録ハガキをまだ送ってない人は、いますぐ必要事項を記入して投函しましょう。

【文学するコンピュータ】

榎本正樹氏の『文学するコンピュータ』(彩流社)を読みました。

ボルターの『ライティング・スペース』を引用したり、エキスパンドブックを積極的に取り上げていたのでつい買ってしまった一冊でしたが、俺的にはダメ、受け付けませんでした。

この人「参照系」と称して、いろんな作品の名前を上げてくるんだけど、それが何を意味するのか伝わってこない。ましてやそれら参照系まで「遡ってみようか、読んでみようか」という気が起ころうはずもない。榎本さん、あなたがよく勉強しているのは分かりました。ごちそうさまって気分になってしまうのです(^_^;)

省略語を勝手に作ってしまうのも読みづらい原因のようです。「エキスパンドブック・ツールキットII」を「EBTKII」と呼んでみたり、「インタラクティヴ・フィクション(これもようわからん言葉だけど)」を「I・F」と呼んでみたり。前者は「ツールキット」でかまわないだろうし、後者はそのままでもよかったのではないか。

そんなこんなで、第四章のインタビューがいちばん面白かった一冊です。

最終章のブックレビューで、米ボイジャーの創設者ロバート・スタインと、日本のボイジャーのおかしら萩野さんの『特別講演会「講演録」』というCD−ROMが紹介されていました。財団法人コンピューター教育開発センターの講演録ということなので、一般ルートでは販売されなかったタイトルなのでしょう。ぜひ一度、拝読してみたいと思いました。


ポシブルブック倶楽部へ

美しい暦へ