Densibon or Die

極私的メモにつき、たまたまご覧になられた方がどのような感想を持たれても当方は関知いたしませんのでご了承ください。


(since1999.11.17)


021220.金曜日

【ドットブックがPalmで読める! T-Break v1.0.1.2リリース開始(VOYAGER)】

PooK のバージョンアップもしなくちゃ。


021217.火曜日

【週刊ドットブック:第25回 誰が“ハリー”を捜したか?(ZDNet Mac)】

ぼくはここ数年、床屋さんにはとんと足を運ばなくなりました。生駒に引っ越してからはまったく行ってません。近所によさそうな散髪屋さんがみあたらないし、お金もない。バリカンで自分で刈ってます。たしかに最初はヘンな仕上がりでいまいちだったんだけど、だんだん慣れてきました。テレビで人気のあるニュースキャスターなどは、週に二回も床屋に出かける、という話を聞いたことがあります。もう少し偉くなったら、贔屓の散髪屋をつくるくらいの余裕は持ちたいと思った次第。身だしなみ、という矜持を持ち続けている萩野さんの器の大きさ、貧困というだけで散髪にいかない自分の自堕落さ。

話はかわるけれど、食玩の世界でビッグネームといえば海洋堂。知る人ぞ知る京阪沿線のヘンな模型屋だった海洋堂も、今や年に四回もボーナスが出るほどのイケイケ企業。ここのボスである宮脇専務がいつも口にしているのは、「日本人ほどフィギュアにお金を払いたがらない人種はいない。が、彼らはおまけにフィギュアがついているとおもしろいように買っていく」。大ヒットしたチョコQ(チョコエッグ)も、人々は中のフィギュアを購入したのではなくて、あくまでチョコを買っているのだ、という話なんですな。なんとも不思議なマーケティング心理なんだけど、こういった一種アンビバレントな関係性というものを見直していくと、紙の本と電子書籍の関係も変わってくるかもしれない。

たとえば、昔はCD−ROMが付録につくっていうだけで雑誌が売れた時代もあった。いや、CD−ROMが付かない雑誌が売りづらい時代というべきか。

T-Time のパッケージは、本のように片側を閉じたスタイルになっていて、しかも Ver.2.0 は 1.0 の約2倍の厚みを持っている。パッケージに貼り付いている冊子のボリュームはほとんど同じなんだけど、CD−ROMを封入している台紙の厚みが2倍になっていた。これは「書店でCD−ROM(厳密にはソフトウェアだけど)を売るにはページのついた部分が必要」「本には背表紙の厚さが必要」というボイジャーの判断によるものだった。しかしながら、この試みも、書店進出への必勝パターンとはいかなかったようだ。

ただ、まだ誰も見つけていない黄金律はどこかにあると思う。


021130.土曜日

【大日本印刷、Acrobat eBook Readerを採用した電子書籍を販売開始(ZDNet Mac)】

中公新書400タイトルっていうのはいいね。あの手の新書は書物としてより情報や教養として読みたいものが多いですから。そろそろ小説とアダルト系雑学とアダルト写真集ばっかりの電子本からは脱却してほしいところ。


021126.火曜日

【週刊ドットブック:第24回 東アジアに対する無知蒙昧(ZDNet Mac)】

“そのいずれでもなく、ただ高みに立ち、自分の立場だけから覗き見しているようなことが、いかに現実に対してふざけた態度であるか”


021111.月曜日

【週刊ドットブック:第23回 知るかぎりのアジア(ZDNet Mac)】

ここで気軽に「ユニコードなら云々」と言ってはいけない。が、ユニコード批判だけを安易にやっても始まらない。


021105.火曜日

【週刊ドットブック:第22回 変わる形、変わらぬシステム(ZDNet Mac)】

われわれは、試作品に夢を馳せました。しかしそこに人の営為が求められていくときに、試作品だけでは話にならなくなった。それを、居心地がいいからと留まっているわけにはいかないのではないだろうか。ぼくは出奔という方法でしかカタチにすることができなかったけど、まだまだ変わりゆく世界に対して、このままでいいとはもちろん考えてはいない。ただ、ビジネスと学術という両面から話が動き出す時代がやってきたのなら、それはそれで専門家になるか、お任せするかのどちらかではないかとも思う。自分もどちらかになるのだと。

“出版だけが、まともにものを考える際の手がかりです。この現実はこれからも変わらないでしょう。だからこそ出版人の時代とのかかわりは非常に大きいものがあるのです。こうした出版人の持つ力は、昨今の出版状況から見て本当に磐石なのでしょうか。私の危惧するところはここです。(中略)今、私の手元に置かれている二冊の本、『書物について』と『朝鮮戦争全史』は、ともに岩波書店から出されたものです。岩波がこのような出版物を作ることから手を引かざるを得ないということは絶対にないと言えるでしょうか。あるとすれば、それは私にとっては絶望にも近い落胆です。”

ともあれ、ボイジャー創立10周年、おめでとうございます。

これはまるで、「こんな21世紀になるなんて思ってもみなかった」という認識にとても似ている。『本とコンピュータ』が創刊されると知ったときの興奮と、四年後にその雑誌に対して興味が薄れてしまっていた事実にとてもよく似ている。

そして、10年前もオンスクリーンの手紙や本を作っていて、2年後にはザウルスにテキストを流し込んで小説を読んでいたことを思い出す。


021025.金曜日

【凸版とシャープ、PDA向けコンテンツを相互提供へ(ZDNet News)】

凸版はXMDF陣営に。BookJacketはPDA対応しないのか。


021021.月曜日

【週刊ドットブック:第21回 探す、買う以外の面白さもないと読者は来ない(ZDNet Mac)】

ドットブックがもたらした最高のブレイクスルーは、ネットでも立ち読みができるようにした、ということだと思っている。が、今回の講談社のように10分という時間は、正直、短すぎる。

たとえば我が家はインターネットマンションと当時もてはやされた仕様になっているが、その反動でブロードバンド化が著しく遅れている。超トロトロ環境で10分間がいかようなものかというと、ちょっとしたブックになると、転送されて表示されるまでに、ほぼ半分が過ぎ去ってしまうという状況なのだ。

ボリュームのあるブックになると、少しレイアウトを自分好みに調整しただけで、再計算の時間がけっこうかかるため、結果的にブックの中味を吟味できるのは、わずか1〜2分ということになる。

何かの都合で一旦ブックを閉じて、時間をあけて再度開いてみようとしても、同じ日のことだったりすると、立ち読み時間制限がまだ解消されていなかったりすることも多い。

本屋で長時間にわたって立ち読みする行為の問題点を、「内容を無対価で読まれてしまうこと」だけに限定して考えると失敗すると思う。

立ち読みしているあいだ、その場所に客が居座るために他の客のさまたげになるということ、商品である本を、購入するかどうかわからない人間に占有されてしまうということ、物理的に本が傷むということ、書店と他の客にとって困るのは、この3点なのだ。

ドットブックを使ったオンラインでの立ち読み機能は、これらの問題点にはまったく抵触しないはずである。

前にも書いたかもしれないが、書店における立ち読みには2種類ある。内容を確認するための立ち読みと、タダで情報を手に入れようとする盗み読みのふたつ。立ち読みの多くが後者であると思われるのでその対策に力を入れるのはわからないでもないが、とにかく10分は短い。短すぎる。

「立ち読み」という行為の持っている最大の特徴は「その商品のすべての情報にアクセスできる」という部分にある。これと同じ機能を提供している業界はほかにはなかなか見受けられない。せいぜい、アパレルの試着と、デパ地下などの試食コーナーぐらいか。

作家のコラムが読めるというのは、いかにもオンライン的な集客要素だと思うのでそのまま伸ばしていってほしいが、オンラインにおける立ち読みはいまだ本質的には成立していないと思う。すべてが情報というカタチに一元化されてしまうことが原因ではあるのだけど。

とりあえず立ち読み時間は最低30分は確保すべきだ。


021016.水曜日

【青空文庫サウンドブックス】

青空文庫で公開されているテキストファイルをコンピューターで音声化したものだそうです(MP3形式)。

かつて「電子本ってコンピュータが読み上げてくれたりしないの?」という「素朴な質問」をやたらと受けたのを思い出します。コンピュータによる読み上げは、あくまで補助的なもので、あの質問してきた人たちが求めているのはそういうのとは違うんだろうなと思っていたのですが、さて、どうなんでしょう。

とりあえずダウンロードだけしたので、iPod に転送して聞いてみることにします。

【週刊ドットブック:第20回 T3エンジンの新仕様(ZDNet Mac)】

こういうタグの詳解を知りたい、という思いもあるけれど、タグのことを知らないでもブックづくりができるようなツールの開発こそが本当は必要なのではないか、とも思う。

これは、ドットブックというフォーマットの出版がいまのところパーソナルなものではなく、ビジネス展開のツールであるとしても、同様のことではないかと。

ひょっとしたらビジネスツールはもうあるのかもしれないけれど。単に perl のスクリプトとか、そういうレベルのものとして。

T3エンジンなるものがいかなるものになったところで、あの「あなたの本を読みたい人が、きっとどこかにいる」と謳ったボイジャーのスローガンに、夢を馳せることのできた時代はもう戻ってこないのだろうなと、しみじみ思う。

が、それはボイジャーのせいだとか、そういう話ではない。たとえば、自作のワンボードマイコンに16進法でプログラムを入力するようなホビーは、今の時代にはそぐわないということに似ている。


021008.火曜日

【池澤夏樹著 ドットブック版「新世紀へようこそ」にメールコラム089、090が追加されました。(Voyager)】

8月12日の配布開始から二カ月経過して、コンテンツを補増しての再リリース。「これぞ電子出版のメリット」と誉める人もいるかもしれませんが、通常、データの変更・修正は誤植や埋め込みタグのあきらかなミスを修正する場合にとどめるべきではないかと。

今回はあるていどドットブックのデモンストレーションの意味もあるので、そういうこともアリなんでしょう。


021007.月曜日

いわゆる購読というやつをブラウザのブックマークが勝手にやっていたので分かったのですが、黒崎さんのサイトが最後の更新をしていました。たしか以前は「6月25日で閉鎖」と告知していたはずなのですが、残っていたんですね。

カラダを患っていらっしゃったのですね。それとお父様が亡くなられたそうで。仕事は辞めてしまわれたそうですが、喰うに困るわけでもないようなので、まずは心身共に100%へむけて回復なさいますように。

もう更新もないし、年末でURLが自動的に消滅するそうなので、その言葉を信じることにして、最後の更新ページをスクラップブックに登録、ブックマークを削除。


021005.土曜日

【週刊ドットブック:第19回 手間がかかっているのは著者との契約交渉(ZDNet Mac)】

“最後の段階で、画面上で本を読むという行為自身は、慣れの問題だと思います。今までは紙というインタフェースしかなかった。でも読者にとって電子本がでれば1つ選択肢が増えたということです。選ぶのは読者です。”

微妙な表現ですが、ぼくもそう思います。

ここでは紙というインターフェースをオンスクリーンの対局としてひとくくりにしていますが、たとえば、新書で作品が出て、しばらくしたら絶版になって、スグに文庫になって、これも気が付くと絶版になって入手困難。「紙」といってもそういうコンテンツころがしをやってしのいでいるのが今の出版業界。文庫の次のころがし先としての電子書籍ではなく、確実なもうひとつの選択肢としてデジタルを用意してほしい。

…といっても角川書店の本ってほとんど読んだことないなぁ(^^;)

“大変ということではないんですが、手間がかかっているのは著者との契約交渉です。上場した関係もありますが、他社とくらべてかなりきめ細かい契約になっていると思います。例えば、公衆送信権、複製権の解釈を厳密にしてあります。著者の方にも具体的な販売方法をきちんと説明し、納得していただき、印鑑をいただくことにしていますので、時間がかかります。”

このへんが作家と出版社の問題としては今後ますます浮上してくるでしょうね。ズラズラと細かい規約を記した契約書を用意して、「ワシはデジタルとかパソコンのことはようわからん」と首を横に振る作家先生に向かって、「いや、この下のところにサインをいただければ、あとはわたしたちでやりますから」と言って契約をとりつけてしまうってケースが…。

“例えば電子文庫パブリにある角川e文庫は角川書店自身が運営するサイトです。このサイトでの電子本が販売できるというのは、著者の方が著作物の公衆送信権、複製権を私どもに対して認めてくださっているということです。それを例えばPDA専門のオンライン書店とか、違うサイトで販売するためには、公衆送信権、複製権をそのサイトでの販売目的で取得する必要があります。”

これってつまり、そこ以外(書店とか取次とか)の場所で角川の電子書籍を販売しようとしたときに、角川書店としてはいろいろと契約を結んでもらう必要がありまっせ、という意味ですな。本人も以下のように続けています。

“包括的に許諾を得る方法もありますが、完全に包括的な契約を結ぶためには、著作権管理代行の事業をやるということになりますから、これはこれで大変なんです。実現できれば、音楽著作権と同じに、管理団体に申請だけすれば著作物がある料金で利用できるということになるはずなんですが。”

ようするにエージェント業務に乗り出していく、ということで。

これが電子書籍拡大の足枷になるのか、重要なビジネスモデルの確立につながっていくのかはいまのところわかりませんが、出版社が真面目に電子書籍時代の出版事業のビジネス手法を検討しているのは、とてもいいことだと思います。おせーよ、という意見もありますが。

【音楽有料配信サイト、「支払い手続きが面倒」が42% (japan.internet.com)】

たまたま見つけた、ちょっと前の記事です。

いまだ浮揚できないでいる投げ銭システムなんかもそうなんですが、決定打といえる決済システムがないのが現状で、その手間は果てしなく続きます。いろいろ出てきてはいるけど、新しい決済システムを受け入れることさえ面倒なのが一般消費者ってわけ。

クレジットカードを「危険だから」とかいろいろ言って使わない人いますが、よくよく聞いてみると、カードをわたしてサインを書いて、という「いままでやったことのない手続き」をするのが怖いという心理的な障壁が大きかったりする。


020930.月曜日

【週刊ドットブック:第17回 モニタかわれば、余白もかわる(ZDNet Mac)】

第18回のような気がする(苦笑)(じつはこれのおかげで第16回を読み逃していたことに気が付いた(^^;) )。

「音」を記録する媒体は、レコードからCDへと、まことしやかに移行していきました。誰もCDのことを「デジタルレコード」とは呼びませんでした。レコード屋さんは、僕の中ではレコード屋さんのままですが、Music Shop 。音楽店と書くことが増えました。

紙の本がデジタルに移行しようとするときに、誰かが「電子書籍」と呼びました。いろんな齟齬が、そこからはじまったように思います。

余談ですが、今回登場する『忘れられたフィルム』は、英語版は全六巻が刊行されたといいます。日本語版は残念ながら1巻のみ。このCD−ROMを手にした頃、「これの日本文化版とか、そういうのがでたらいいな、万博の記録映像とか」といったことを考えていました。日本万博30周年の頃にはマルチメディアというものがすっかりあきられていて、そういう機会にめぐまれることはなかったのだけど。


020924.火曜日

【「無料」でも「黒字」のわけ――新作マンガのネット配信(NIKKEI)】

これは詭弁だ。週刊誌で4〜5千万かかる制作費を、月額100万円のサーバー維持費でやりくりできるのだとしたら、残り4千9百万円分の経済が消失しているのである。印刷会社も写植屋も書店も切り捨てて、ビッグネーム漫画家と担当室長と編集者だけが生き残って、あとに残るのは焼け野原だ。

【週刊ドットブック:第17回 文字は流浪する 紙から離れた祖国喪失者(ZDNet Mac)】

かなり抽象的に書いてありますが、エキスパンドブック時代のことを自己批判している…ように受け止められます。

エキスパンドブックの時代、とくにハイパーカード版ツールキットからマック版エキスパンドブックが登場した頃は、受け手にとってはエキサイティングな日々でした。が、ボイジャーが目指していた電子出版はもっと大きなものだったと言うのなら、そういうことなんだろう。

出版をやるということは、厳しくハードで強固な理念がないと実践できない。が、それがあたりまえのように頑迷になってしまうのではどうしようもない。我々は頭が固く、腰が重すぎる。


020912.木曜日

【村上春樹新刊『海辺のカフカ』刊行記念書評コンテスト(bk1)】

大賞1名に1万ポイント、優秀賞2名に5000ポイント。参加者全員に新潮社の革製ブックカバーをプレゼント。これぐらいの賞品を用意すれば、そりゃ書評も集まるよなぁ。電子書籍勢も釣り賞品を惜しみなく出すべし。


020909.月曜日

【週刊ドットブック:第15回 構造改革なくして未来文学なし?(ZDNet Mac)】

「構造改革」という手垢のついた、どちらかというとマイナスイメージの言葉と、「未来文学」という耳慣れない言葉がでてきました。未来文学を検索してみると…。中国語圏で使われている言葉のようですね。

ハイパーテキストが本質的に持っている問題点については、ドン・ノーマン先生が自著で看過されていますが、ゲームの世界ではあたりまえのようにマルチ分岐、マルチエンディングが成立しており、これでもかと作り続けているクリエイターもいて、それを楽しんでいる人々が確実にいる…、それが21世紀の現状ではあります。人間は、力業でそれを乗り越え、切り開いてしまったとも言えます。

われわれは、一行前の出来事が、情緒的になにもつながりをもたなくても、カットのつらなりだけで強制的に「感動した」「怖かった」「面白かった」と感じるしかないような作品の氾濫に立ち合うことになるかもしれません。

先日、『手塚治虫の奇妙な資料』なる本を読み、手塚治虫という人が、とにかく作品をいじくりまわすのが好きだったということを初めて知ったのですが(特に『ジャングル大帝』が、なぜ自分が触れる資料ごとに違った作品のようにみえていたのかがようやく理解できました)、おどろいたのは、同じカットを使っていながら、セリフをいじくって180゜結末を変えてしまうようなことさえあったということ。これは島本和彦が『吠えよペン』でやっていたのに気が付いていたので、そういうこともあるということは把握してはいましたが、漫画の神様こそその筆頭であったのです。

同じカットでも、並べ方の工夫によって物語の情緒的なつながりさえ支配することができる…、たとえば富野由悠季という人はそうやってバンクカットだけで一本の作品をつくってしまったりするし、漫画家によっては過去のカットを切り貼りするだけで一本つくってしまうこともある。マルチ分岐、マルチエンディングが果たしてそこまで目端の行き届いた創作物たりえるのか…、軽い気持ちでやってはいけない手法なんだと思うのです。

さて、萩野さんの問いかけは厳しい。

“版木を彫るとは一体なんだろう。一瞬の構図を定着させること、七五調を練ること……版木が電子に変わっても無くなりはしない大事な要素がここには依然として変わりなく存在しています。一体どこの誰が版木に変わる電子「板」を一心に彫り続けているといえるのでしょうか? 現代の葛飾北斎や小林清親はいるのでしょうか? いたとして、今どこで何をしているのでしょうか?”

もっと商売をしなければ、と思うのはさもしいけれど、そこの何がわるいと言い返したい。そういう威勢のよさと機知が自分にもほしい。

けっきょく自分には博才もなければ商才を身につける努力もしてこなかった、という35歳の悔恨があるだけなんだけど、電子書籍で商売をしようという視点の欠落を強く認識してきたのは事実で、そんな人との出会いがなかったことこそが残念でならない。清貧な趣味・娯楽・学術の徒でよしとする人々を、利用するなり鼓舞するなり、“商売”という視点から切った貼ったする人を連れてくることができないまま21世紀を迎えてしまった。5年後のことはわからないが、そのために潜水生活を選んだ。

が、つまるところドットブック陣営がビジネスの世界でそこに切り込み、孤軍奮闘を繰り返しているだけで(そのスタンスは10年前の延長線上だが、孤独であり続けるしかなかったというのは大いなる誤算だったろう)、我々のフィールドで“商売”が成立していない現実は厳しい。


020904.水曜日

【野口悠紀雄Online、「超」整理手帳のリフィルを作成できるサービスを開始(ASCII24)】

まだ試していないので具体的なところはわかっていませんが、一括して9000文字まで扱えるらしいので、適当に分割していけば、青空文庫のテキストなどを流し込んで読むリフィルを作ることもできるんじゃないかな。A5パンチのように、自分でプリントして製本することを推奨していた人は、いちど試してみてはいかがでしょう。

超整理手帳はマンダラート手帖に乗り替える前に使っていました。中にはさんでいたのは自作のマンダラリフィルがほとんどだったけど。長いテキストを四段組にレイアウトして、はさんで持ち歩いたりもしていたなぁ。原稿の校正とかもそんなふうにして持ち歩きながらやったこともあったっけ。


020827.火曜日

【週刊ドットブック:第14回 水田に苗を植えるんだ 泥だらけになって(ZDNet Mac)】

いろんな人と電子出版・電子書籍についてメッセージをかわしていくなかで、かならず誰かが言うのです。

「紙の本に表現できないこと、電子本でないとできないことをやらなければ」。

なるほど、「電気仕掛けのブンガク賞」とは、まさにそれを求める文学賞だということです。あの頃ぼくに鼻息を荒げながら意見した人たちは、溜飲を下げることができるでしょうか。

紙の本の読み方は、多くの人が知っています。小さな頃から絵本をなんどもめくったり、両親に読み聞かせてもらったりしながら、長い時間をかけて身につけてきた作法があります。電子書籍にはそれがありません。だからエキスパンドブックは紙の本を模倣することから始めたのです。

分岐によってストーリーが変化するマルチエンディングや、音声や映像とリンクしたテキストのような試みは、ゲームの世界で積極的に取り上げられ、進化を続けてきました。今回の文学賞は、そんなマルチシナリオやメディア・インテグレーテッドな物語に親しんだ人たちが発信者となってくるのかもしれません。受け手だってそうかもしれません。ある人には慣れ親しんだ作法を、ある人は「画期的だ!」「新時代のブンガクだ!」と声たからかに評価するのかもしれません。


020812.月曜日

【週刊ドットブック:第13回 離れて遠くなろうとも……もつべきものは友達か(ZDNet Mac)】

北村さん、さっそく“4プラットフォームでの互換を配慮したTTXの作り方”の解説を始めていますね。こういうタイミングがビシッとあうと、気持ちいいです。ウェブという媒体、週刊連載というパワーの持続が求められる媒体のメリットがここにあると思います。『新世紀へようこそ』のダウンロードは今日から。

ところで佐野眞一さんといえば、本の学校では夜の席でしばしごいっしょさせてもらいましたが、酒が入ってヘロヘロな、ただのよっぱらいでした(^^;) おそらく、そんな酔いどれ親父も、ひとたび対象に向かうと、眼光するどくペンを走らせるのでしょうね。

【図書館も書物も不用、ペーパーレス大学への試み(HotWIRED)】

時期尚早、時期尚早、わしもそう思う。だがしかし、どこかが勇み足やらかして、次のどこかがまた勇み足やらかして、その繰り返しがあるから時代は進んでいく。だからある日突然、大学のすべてがペーパーレスになるという体験ができたなら、その当事者たちが感じたり考えたりしながらとった行動は、大きな糧になるだろう。保守反動なんていつだってできることなんだから、学問の殿堂だからこそ、果敢にチャレンジしてほしい。

ところで「プリントアウト」って言葉はいつから日本に定着したんだろう。プリンタから出力することを「印刷」と呼ぶことにはかなり違和感を感じてきたけど、誰もが平然と「プリントアウト」と呼ぶようになったことも、なんとも不気味だ。

これは余談だけど、平成以降の日本が獲得できた日本語が「茶髪」「援交」「ケータイ」「ワン切り」「ムネオハウス」程度のものでしかないことを、とてもふがいないと思っている。


020809.金曜日

【8月12日より 『新世紀へようこそ』(池澤夏樹)をドットブックで無料配信(ボイジャー)】

“このドットブック版『新世紀へようこそ』はWindows、Macintosh、Pocket PCならびにPalm、以上4つのプラットフォームすべてでの最適化を配慮して制作された最初のドットブックとなります。”

だそうです。北村さん、着々とノウハウを蓄積しつつあると思われ。

池澤夏樹氏のコメントが、すこぶる的確でよい。


020807.水曜日

【第17回 国民文化祭・とっとり2002出版文化展 大山緑陰シンポジウムin夢フェスタとっとり】

「本の学校」の復活? 主催者はお役所関係が取り仕切るらしく、「本の学校」大山緑陰シンポジウム実行委員会は協力という立場をとっています。“大山町では、「大山緑陰シンポジウム」を再現し…”はぁ、再現ってなんですか?

第5分科会〈出版〉「本のつくり方はもっと自由になる!?」は、河上さんがコーディネーターで、ポット出版の沢辺氏やボイジャーの北村さんがパネリストとして参加。第8分科会〈電子出版〉「調べる、学ぶ、体験する「読書」を変えるeBook」と、モロに対立した状況になっているのが傍目に可笑しい。

第4分科会〈図書館〉「“図書館”が消える日―そして、次にくるもの―」には、宇陀・田中両先生、LUNA CATさんなど、かつて交流のあった方たちが集合しているようだ。


020806.火曜日

【週刊ドットブック:第12回 何でもやってみるもんだ そして経験や失敗をみんなに伝えていく(ZDNet Mac)】

萩野さんは“誤植”とおっしゃっていますが、変換工程で予想もしなかった文字化けか何かがあったということですね。で、刷り上がってみるまでそれがわからなかった。ああおそろしい、他人事とは思えない(^^;)

それにしても萩野さんの鯔背な格好といったら。

【凸版印刷、PDA向け電子書籍222タイトルを配信〜ホットスポットでダウンロードも(ZDNet Mobile)】

採用フォーマットがよくわからない。すべてがユニバーサルになって、対応フォーマットなど気にしなくていい世の中になったのならいざしらず、いろんなフォーマットが群雄割拠している現状では、そういうことはキチンとプレスリリースに込めておくべき事柄ではないだろうか。気にする必要のない時代では、まだないと思う。

電子書籍のフォーマットは、紙の本でいえば判型、いわゆるサイズに相当するような気がする。文庫サイズ、新書サイズ、中綴じ雑誌、平綴じ雑誌、ハードカバー、物理的サイズが喚起するとりまわしの違いが、各種フォーマットが持っている操作性や表示されるフォントの違いにコンバートされているのではないだろうか。もっとも、こっちのほうはかなりスケーラブルだから一概には規定できないのだけど。


020802.金曜日

【電気仕掛けのブンガク賞】

ポイントは「ハイパーテキスト」、「メディアミックス」、「インタラクティヴィティ」を前提とした作品を募集しているというところ。

「ハイパーフィクション」を作成する「booKit」というツールも提供している。当然のようにウィンドウズ専用ソフト。

ん、この booKit はひょっとして T-Time 専用のタグ生成機能を持っているのでは…、ということは、いよいよキタ?


020730.火曜日

【週刊ドットブック:第11回 パソコンは紙より文字を大きくできて読みやすい!(ZDNet Mac)】

『CD−ROM版 新潮文庫の100冊』ではなくて、たしか、『新潮文庫の100冊CD−ROM』が正式な商品名だったと思う…。このCD−ROMはいまでもたまに取り出して読むことがある。

ちなみにこのCD−ROMは、著作権の関係からガチガチにプロテクトがほどこされていて、それぞれのブックにも暗号化がほどこされていて、取り回しはあまりいいものではなかった。

ブックのテキストを取り出すツールを配布している人がいたが、そのCD−ROMが抱えていた微妙な問題からすると、違法なツールと言わざるを得ない。それを平気で紹介している雑誌などもあったりして、当時はちょっと気分がわるかった。

次に『明治の文豪』が出たときは、ブックをPCにコピーすることが出来、中にはテキストファイルが入っているものもあったりして、ずいぶんと対応が柔軟になっていた。もっとも、明治時代の作品だったから、ということもあるだろう。

続編の『大正の文豪』『絶版の100冊』はけっきょく買わないまま現在に至っているが、最近は新しい小説よりも、昔からある小説を読みたいという気持ちが高まっているので、機会があれば手に入れたいと思っている。もっとも、その前に手元にあるブックや昔の文学作品を読み返すだけで何年もかかってしまいそうではある。『新潮美術ROMシリーズ』はかなりいいアイテムなんだけど、価格が価格だったのと、解説テキストが学術的すぎて退屈だったので最初に一冊買っただけで辞めてしまった。最後のロダンとかほしかったんだけど(カミーユ・クローデルの作品と、彼女に関するテキストが読みたかったのだ)。


020722.月曜日

【シャープ、携帯電話対応電子ブックビューワ開発へ(ZDNet Mobile)】

これでザウルスユーザー以外の人も、ザウルス文庫が読めるようになります。ハヤカワSFシリーズJコレクションも読めるね。

でも、NTTドコモの電子書籍配信試験サービスと「同じもの」ということは、Palm は OS 4.0 以上だから、どっちみち対象外だなぁ。

シャープにはブックのフォーマットを公開せよと言いたいところですが、それは言ってもはじまらないか。どこかの企業がライセンスを受けて、同人誌の電子書籍発行を支援するようなビジネスをはじめるといいんだけど。いずれどこかがそういう事業を始めるのは間違いないだろう。でももう数年はかかるかもしれない。インフラ整備、テクノロジーの整備、PDAと呼ばれる機器の普及。同人誌の主なターゲットとPDAユーザ層が重なるまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。

【週刊ドットブック:第10回 強い意志がなかったら、何だって無に帰す。偉い人が意志があるとは限らない(ZDNet Mac)】

わぁ、萩野さんが大塚さんからサインをもらって舞い上がってます(笑)

やはり萩野さんは「お前ら、残すための努力はしてるのか?」と問いかけているようです。


020716.火曜日

【イーバンク銀行、メールアドレスで送金できる“メール送金”サービスを開始(ASCII24)】

いわゆるペイパルってやつですな。イーバンクは以前は認証方法に難があったりして避けていたのだけど、そろそろ口座ぐらいは持っておこうかな。


020715.月曜日

【ドットブックがPalmで読める!ボイジャー、アーキタンプ、ハードウェアシームレスな電子出版を実現。ホームページにて「T-Break」と「PooK v2」のダウンロード配付開始(プレスリリース) 】
【ボイジャーとアーキタンプ、ドットブックをPalmで読むツールのダウンロード提供を開始(ASCII24)】

先週末にリリースがあったようですね。…おっと、T-Break のマック版は近日公開予定だそうです。T-Break はボイジャーのサイトから、Pook V2 はアーキタンプのサイトからダウンロードする必要がありますが、アーキタンプはあいかわらずマック版IEからはダウンロードできないようで。やれやれ。

ボイジャーのサイトもデザインが更新されたようです。あちゃー、ドットブックを「商業出版」、TTZを「個人出版」と縦割りしちゃってるよ。大局的にはそのとおりだから、これには異を唱えられないなぁ。いやもう、ただひたすらに「個人出版」とか「自主出版」といった言葉が嫌いなんだよ。これらの言葉はヘタレた理念で泥まみれだ。

ホントは「商業にまつわるあれこれに対応して、その分だけ余計な金がかかる出版」と「TTZという閉じたフォーマットで完結しちゃうけど、そのかわりロイヤリティも余分な費用もいっさいかからない出版」と分類できるよな。

前者を「偉い人たちが枷がないと落ち着かないとしつこいので枷付きにしてみました出版」、後者は「後付けで枷を作ったときにPDA対応っていうブレイクスルーも見つけたんだけど、そこまで開放しちゃったら枷好きの偉い人たちが納得してくれないし、どうもぱっとしない状況のままだからこれで当面は我慢してくれや出版」と言い換えても差し支えないか。

隣りの芝生を見て噛み付く輩はたくさんいるけど、開放させるだけの事実はどこにもないから、こういう流儀でやらせてもらう、というのがボイジャーの割り切りなわけで。それに対してはずいぶん前に「そうするべきです」と進言しているぐらいだから、なぁんにも問題はないのだと思う。問題が発生していないことが問題。

対応しますと言うだけ言ってそのままのところは、言わないほうがむしろいい。だからぼくは彼らの敵だ。

【週刊ドットブック:第9回 “本”として残るモノに電子本はなりうるか?(ZDNet Mac)】

もちろん萩野さんはこう言ってるわけだ。“いま、紙の本は残る努力をしいるのか?”と。“してねえだろ?”と。“消えちまうぞ、おまえら”と。

いや、“残すとか考えてないだろ、おまえら”と。萩野さんはおちついた文章を書くときこそ怒りがそこに隠されている。いやいや、残すとか残さないとか、そういう地平にもはや立てない状態の出版業界とその日本に、あきらめにもにた気持ちを悶々と抱えているのかもしれない。その矛先は電子出版に携わるすべての者にも向けられている。

ヘタすりゃ2年前の書籍だって出版社には残ってないですよ。出版社は出すのが精一杯で、残すことについては「図書館あたりがやってくれるんじゃねーの?」とでも思っているんじゃないだろうか。図書館は図書館で、さっさと閉架書庫の本を廃棄しまくっているのにね。

「国会図書館があるじゃないか、ここにはすべての本が残っているじゃないか」と言うなら、こここそまさに皮肉な話で、デジタルなものについては数年前にようやく残そうか、でもどういう基準でのこそうか、よくわからん、と中途半端な収集を始めた。電話して問い合わせたことがあるんですが、メディアに入っているモノを保存するって言うんですな。その頃すでにメディアは電子書籍にとっては一過性のモノに過ぎないって決め込んでいたから、じゃあ俺の出しているメディアを排除する電子書籍はどうするんだ?と思うと、ここには何も残らないのではないかとさえ思った。ま、これは余談だ。

電子書籍の話をするときに必ず出てくる「そのフォーマットがいつまで生き残るか云々」は、そこまで言うなら、再生環境ごと、当時のPCとOS環境まるごと保存しろといいたい。さっさとそういう活動を進めなさいと。

ここまでくると、電子書籍って時には演劇やコンサートなどと同質のものになってくる。特定の環境、特定の時間、特定の状況でないと「再現する」などということは不可能な芸能の一種。しかし芸能ならば、ある部分は確実に伝承が可能だ。

マルチメディアの名のもとに出版された電子書籍の多くは、そのパッケージが投げ売りされると同時に姿を消した。流通がなってないからだ。書店はCD−ROMを本屋で扱うには高額すぎる商品として毛嫌いしたし。出版社に問い合わせても、紙の本以上にまともに在庫しているタイトルなんてないだろう。ディアゴスティーニの雑誌にウソのような安い値段で付録に付けられることでふたたび世に出ることができたタイトルもあるにはあるが、それは出版社が残す努力を完全放棄したから成立したという裏腹な成果だということを忘れてはならない。もう次はない。

残らない覚悟の上につくられる書物もある。安い紙、安い印刷、安い製本でゲリラ的に作られるマガジン。時代と寝る覚悟の雑誌たち。残す努力もしてほしいが、残らない覚悟の書物がネットにあふれかえるなら、それはそれで頼もしい。もっとも、これまでにネット雑誌や電子書籍マガジンをうたって刊行されたものは、どれもカストリ雑誌のごとく消えていったのだけど。俺が求めているのはそれじゃあない。

さて、我らが電子本作家たちは、今もメディアやパッケージが大切だと喧伝されてそのとおりに実行している。そのたびに慣れない入れ物づくりを楽しんで、「大変だったけどけっこう楽しかったな」なんて思ったりする。そのために日常ではすっかり使わなくなったフロッピーディスクを買ってきたり、わざわざカラーコピーしたパッケージを作ったりする。「でも売り場では入れ物の出来がお客さんの興味を引くこともあるんだ」なんてことを平気で言ったりする。そんなものは販売のための努力でもなんでもなくて、ときにはたんなるごっこ遊びに陥っているだけだというのに。挙げ句の果てに印刷したパッケージがなくなったから販売終了なんて馬鹿な例もある。「このパッケージつくるの、けっこう手間がかかって大変なんだよね」なんてうれしそうに言ったりする。物理メディアを捨てよと叫んだとき、俺は彼らの敵になった。


020712.金曜日

【着実に成長を続ける電子書籍(HotWIRED)】

電子書籍を買ったことのある人! 一冊の電子書籍を最後まで読んだことのある人!


020708.月曜日

【業界初!PDAグラビアアイドルマガジン『Pocket sabra』を凸版印刷@irBitwayにて7月4日より販売開始】

フォーマットのことは特に書いてないですが、「Xiino」をつかうということは HTML ベースということかな。

【週刊ドットブック:第8回 出版社は著者にとってよきエージェントであれ! その2(ZDNet Mac)】

“良かったことといえば失敗の一部始終をつぶさに見たことです。”

わるく言う。あえてわるく言う。まず反省しなさいよ。税金無駄遣いしたんだよ? さもオレサマだけがクレバーって感じで語っていいんすか? 誰も責任を負わない、自分も当事者だという意識の希薄さ…。その反省を踏まえて、講談社はこうがんばっています、こういうことを学びましたっていうことなんだろうけど、綺麗事のようにまとめてしまったライター氏からして、おめでたいなまったく。

まぁ、何も学ばなかった人間だったら、こんなところで何かを語ることはできなかったわけで、謙虚さよりも露出することをあえて選んだ氏は、まだ元気があり、何かをやってやるという決意があるということでもあるわけで。ネットで公式に電子書籍コンソーシアムのことを反省点を踏まえて語った人間はこの人がたぶん初めて。生きる辛さもあるよなぁ。

“将来は利用権、アクセス権を売るというやり方が主流になると思います。ドットブックの「立ち読み」とオンラインの課金方式があれば可能だと思いますので、ぜひ実現してほしい。そうしたら全力でコンテンツを出します。IP電話になったら、コンピュータに電話がついてポケットに入ってしまうわけです。いつでも取りにいけるなら所有しなくてもいい。本が売れない理由のひとつは、物理的に本棚にスペースがないからだと思います。同じことをする必要はないはずです。見たい時に見られればいいじゃないですか。”

まったくそのとおりです。「いつでも取りにいけるなら所有しなくていい」のです。データは出版社が責任を持って保管してくれればいい。読者は財力の続く限り無限の書籍を「所有」することができる。

本棚を持つことを恥ずかしいと感じるような世代が社会に進出しつつあるのが2000年以降の日本なのです。本を読むということ、本を所有するということと本棚を切り離す必要性は、真剣になって取り組むべきテーマだと心得るべし。

(その結果、すぐれた本棚メーカーが廃業に追い込まれていくのかもしれない。本を愛する人たちは、その事実も冷静に受け止めなければならない)

“デジタルコンテンツのプロデュースは新卒では勤まらないでしょう。紙でも優秀な編集者を選んでもらってます。”

講談社のニッチを狙うなら、ポイントはここにある。講談社は歴史の積み重ねに絶対的な自信を持って電子書籍に取り組んでいる。それは正解だし、頼もしいことでもある。彼らがスタンダードを作り上げてくれるのはわるいことではない。しかし、10代、20代の人間が電子出版しちゃあならないってこともないのだ。頭のわるそうなヘタレな電子書籍が大量にネットに氾濫する世界を希求する。


020703.水曜日

【「PDABOOK.JP」、近日中にPalmおよびザウルスに対応(ZDNet Mobile)】

お、いよいよか?

【「PDABOOK.JP」、NTTドコモのPDAポータル「infogate」に参加(ZDNet Mobile)】

お、ブレイクの予感?

【「ブンコビューア」がバージョンアップ〜CLIEおよびシグマリオンユーザー向け(ZDNet Mobile)】

ところで、NTTドコモといえば、こっちと T-Time for PDA との関係はどうなるのだろう。ひょっとして Palm とザウルスはブンコビューアでしのぐつもりなんだろうか…。果たして PDABOOK.JP は「.book」を通すのか、それとも「.zbf」を加えるのか。

Palm ユーザーになったとはいえ、ローレゾモノクロの枯れたm105ですから、まだしばらくは深い海の底から状況をながめるだけなんだけどね。くらむぼん、くらむぼん。

【米イーインクがカラー電子ペーパー・ディスプレイをデモ(Nikkei BizTech)】

あ、この記事では「ディスプレイ」と呼称している。海外のニュースの抄訳だからなのかも。ということは、この記事をベースに日本のニュースサイトはさもE Ink 社が「電子ペーパー」と読んでいるかのように記事を書くのかしらん。


020630.日曜日

【オンデマンド出版について(美しい暦の雑記帳より抜粋)】

(020530)フランスだったと思うのですが、似たような構想が準備されていたはずなのですが、今どうなっているのかちょっと分かりません。問題は、オンデマンド印刷機が各拠点に必要であるということと、世界規模でサポートするネットワークが必要っていうことですね。当時はドキュテック(オンデマンド印刷機)が国内で10台もないといった状況だったので、日本ではオンデマンド印刷がなかなか普及しなかったのですが、最近はドキュテックも安くなってるようですし、いろいろといい機械が増えてきているようですので、ひょっとしたらそういった動きも出てくるかもしれません。少なくとも日本なら三箇所ぐらい拠点があるだけでも、迅速なら翌日、翌々日配達が可能ですから。

(020625)リクエストやアンケートの回答って、声の大きい人たちの意見でしかなくて、いわゆるサイレント・マジョリティの考え方は違うから参考にならない、という考え方が固めの部署ではけっこうあるようです。

『サイクル野郎』や『まいっちんぐマチコ先生』あたりは、たしか復刊ドットコムが働きかけて成功したタイトルだったかと。あそこの功績は意外と大きいかも。

比較的古い作品が多い中で、現役漫画家である小山ゆうの作品がラインアップされているのがちょっと意外だったり。小学館のサンデーコミックスあたりはけっこう絶版が多いのでしょう。

漫画の文庫本ブームが一段落して、文庫本化からこぼれてしまった作品たちなのかも…と思うと、ちょっと寂しい気持ちになってしまいました(^^;)

集英社もはやく参入して、ジャンプ10週打ち切りの憂き目にあった作品たちを復刻させてやってください。ってゆーか、単行本化すらされなかった作品たちを甦らせてやってください(^^;)

(020628)現在進行形の作品でいえば、「静かなるドン」がパピレスで電子書籍として販売されていますね。データサイズの制約からか、1冊あたりの頁数は紙の単行本よりも少ないようです。

定番商品に関しては、まじめな出版社はきちんと「揃い」を用意しているようですよ。よく豪遊のパターンとしてとりあげられる「こち亀全巻イッキ買い」など。

ただ、既刊コミックがすっかり売れなくなっている昨今の状況をみると、ビッグネームの作品でも今後は期待できないかもしれません。まぁ、それゆえのオンデマンドなんでしょう。

既刊コミックを購入していちばん「つらいな」と感じるのは、研磨されてひとまわり縮んでしまっていることに気付くときです。二回ぐらい日本中を巡って研磨された単行本なんて、5ミリぐらい削れているときがあります。もちろんカバーはぶかぶか(^^;)

単行本からのスキャンですか。凝ったトーンワークの作品はしんどいかもしれませんね。士郎正宗の『アップルシード』が文庫本化されましたが、あれがたしか製版フィルムか単行本だったか、どちらかから起こしたものだったはずです。教科書サイズと文庫本ではサイズが違うので、アミ点が潰れるのではないかと懸念して辞退していたが、やってみたらかなりきれいに出たので文庫本化に踏み切った、といったことが巻末に書いてあったと思います。

つまり、古い作品は原稿そのものがすでにひどい状態になってしまっていることも多い、ということです。最悪、原稿が散逸してしまっているケースも。『アップルシード』も士郎正宗氏本人が原稿を保管していたようですが、トーンの糊がだめになっていて、もはや製版には耐えられない状態だったそうです。

いずれにせよ、若干のトーンのにごりは避けられないでしょうね。まして薄墨を使ったページなどは、トーンカーブを調整して墨を飛ばしてしまったほうがいいかもしれません。印刷物はフィルムが命ではありますが、絶版ではフィルムも廃棄されているでしょうからどうしようもないだろうし。

漫画家自身からの持ち込みっていう流れを考えると、プロ・アマにかかわらず、同人誌の市場を取り込んで展開すれば、けっこう事業になるかもしれませんね。もっとも、オンデマンドって大量に刷る場合はかえって割高になりますから、数十〜数百冊のボリュームでペイする方法を考えなければならないわけで、持ち込みしても、反対に出版費用を要求される…という状況になりかねません。

オンデマンドプリンティングは10年ぐらい前から存在していたのに、なぜ最近になって注目されるようになってきたかと考えると、けっきょくは大手出版社が既存のやり方では食っていけなくなったので逃げ道を探しているってそれだけのような気がしてなりません。我々読者の側から自然と出てくるであろう夢のような部分はハナから相手にされていないように思えます。とにかく大手出版社って保守なんだよな。


020629.土曜日

【週刊ドットブック:第7回 出版社は著者にとってよきエージェントであれ!(ZDNet Mac)】

ありゃ、今回は萩野さんの記事はお休みかぁ。前回でオンデマンド出版の話はひとくぎりがついたからね。

講談社の吉井氏のインタビュー、いいね。次回、いよいよ“大失敗でした”と言い切る電子書籍コンソーシアムの話へと。とりたてて期待はしてないけれど。


020626.水曜日

【何年か先、電子ペーパーでモバイルが変わる(ZDNet Mobile)】

べつにわざわざ「モバイルが…」って騒がなくても、いろんな応用製品は出てくるでしょうね。モバイル機器は当然ながら、大きく影響を受けることになるだろうけど、本当に劇的に変化するのは、何かもっと、今まで考えもしなかったような分野なんじゃないかと。まだしっかりと考えていないんだけど、印刷とか出版とかそういうレベルじゃなくて。

しかし、どうして E Ink の応用製品がディックトレイシーの腕時計型デバイスになるのかなぁ。けっきょく、理想とされるモデルがまったく記されていないってことなんだろうな。

コンピュータ業界に関しては、多かれ少なかれアラン・ケイのダイナブック構想にインスパイアされながら発展してきたけど、モバイルというターゲットにてらしたとき、腕時計型デバイスぐらいしか、過去にモデルとなるものが存在しなかったということか…これはちょっと不幸というか虚しいというか。

E Ink の「Last Book」にしたところで、ダイナブックほどのインパクトは感じられない。


020622.土曜日

【講談社・小学館など、絶版マンガをネットでオンデマンド印刷・販売(ZDNet)】

んー、まだちょっと品揃えが弱いけど、古本屋で高額取り引きされていたような商品が容易に入手できるようになるなら、いい話だよね。出版社はこれにかこつけてアレコレと絶版扱いにしたりしないように厳重注意。

サンコミックス系列、少年画報社系列もぜひ参入してほしい。青林堂が参入するらしいので、永島慎二の『そのばしのぎの犯罪』をぜひ復刻してください。


020620.木曜日

【Palmデバイス向け「ブンコビューア」を試す(ZDNet Mobile)】

ドコモの電子書籍配信試験サービスのアレです。んあ、Palm OS 4.0 以上ですか。m105 はハナから対象外なのね。どのみち関西でPHSユーザーは無縁ですけど。

PookのTTX対応版っていつごろ登場なんでしょうね。


020614.金曜日

【eBookを図書館式で貸し出せるシステム「Adobe Content Server 3.0」登場(MYCOM PCWEB)】

著作権ビジネスでセキュリティビジネスでサーバービジネス…はぁ。

しかしながら不便を被るのは利用者というおきまりのタームは間違いだろう。コモンセンス無き世界に不平も糞もないのだから。

平積みの台にカバンを平気で置いてしまうような馬鹿どもが、本好きのための立ち読みを奪い去ってしまった。買ってもない雑誌を乱暴に扱う糞虫どもに火を放て。たとえ内容が糞以下の雑誌だったとしても。

Palm m105 を手に入れたので Pook を試してみる。作者のサイトではちょっとした苦労を強いられた。マック環境ではソフトのダウンロードすらできないのだ。これには閉口した。

よくできたツールだけに、タイプフェースのおそまつさがよけいに目立つ。


020610.月曜日

【週刊ドットブック:第6回 利益への考えが人のすべてを指図する。ご褒美はこと成るのちに(ZDNet Mac)】

まず目に付いたのが“GENIO-SPEECHで音声合成できるT-Time for PocketPC が付属しています。”の文字。え、そんな機能が T-Time と連動しているんですか。これはちょっと気になりました。Text-To-Speech にはさほど興味はないのですが、電子書籍を販売していると必ずお客さんから出てくるのがそれでしたからね。そんなときいつも「お前は朗読テープでも買っておけ」と思いながら、いろいろと対応したものです。実際、聴き心地がけしていいとはいえない合成された音声で、本の中味を聴いてみたい人ってそんなにいるのだろうか。いや、不要とは思っていませんよ。実際、そういう技術のおかげで知り合うことのできた全盲の方もいらっしゃいますから。

全身びっしりと針・棘をまとった“ボイジャーの新しいマスコット”「棘ネコ」には面食らいました。ここまでパンクな出で立ちを身にまとわないと生きていけないのかと。いや、まさに萩野さんとボイジャーの面々が「俺たちは生きている」という証しそのものなんだろう。ともかくパンツと靴下は守った。あと読書装置も。


020607.金曜日

【厚さわずか0.3mm! - 米E Inkが極薄電子ペーパーをデモ(PC WEB)】

むかしむかし田宮模型がプラ板のすごーく薄い奴を「プラペーパー」という名称で販売していました。ガンプラのディテールづけなどに重宝するアイテムだったのですが、いつのまにか販売終了。また復活してくれないかなと、ときおり思うマテリアルです。

それはさておき、電子ペーパー技術はいよいよ実用段階。がんがん量産して、がんがん単価をさげて、がんがん普及させていただきたい。『ほしのこえ』に出てきた電子ペーパーディスプレイによるカレンダーなんてのもはやくほしいよね。


020530.木曜日

【Mandal-Art for Palm OS リリース】

ひょー! 出ちゃいました。俺的にはもうこれだけで Palm マシン導入承認! 試用期間60日の大盤振る舞い。登録料金15000円はマンダラートの実力を知っていれば当然の値段。されど手元に軍資金も Palm マシンもなし。ざわざわ。中古の Palm 機でも工面するか。動作条件の「Palm OS 3.1以降」って、どのへんのマシンになるのかしらん(^^;?


020529.水曜日

【週刊ドットブック:第5回 各パートの面々徐々に集まる、力をあわせることから(ZDNet)】

今回やはり見落としてはいけないのは、萩野さんが最終的に出した費用はハードの代金ばかりで、中味を作ることに関してはまったく含んでいないということ。まさか表紙デザイン、レイアウト、編集校正に携わった四人の費用をロハで済ますってわけにはいかないでしょう。ボイジャー社員の小池さんはともかく、外部の人だっているわけだから(まぁ、どの人も萩野さんの息のかかった人だから、厳密な意味では外部の人はいないけど)。

【海外在住の人が母国語の本を読もうとするなら、電子書籍も悪くない】

ふと思ったのですが、海外で日本語の本を購入するのってやたらと高かったり入手困難だったりするから、ネットでサクッと購入できる電子書籍は、そんな人たちにとっては福音かもしれないですね。今では Amazon.com があるから日本で洋書を購入するのも以前ほど手間ではなくなりましたが、送料のこととか考えたらまだまだね。時間、手数料、送料の三得ですからね。いや、手に入るっていうだけでも十分なメリットになる場合もありますから、四得ですね。いかなる形式でもいいから、すべての本が紙の本と電子書籍で同時リリースされるように、まずはそこから。

これは考えようによっては、零細出版社、小出版社ほど電子書籍に力を入れるべきである、ということが言えますね。「ふるほん文庫やさん」も、海外への文庫供給にかなり力を入れているそうですが、海外在住の日本人たちに向けて、市場を開拓していくというのもダイナミックでおもしろいんじゃないでしょうか。


020527.月曜日

【凸版印刷が描く“電子ペーパー”のロードマップ(ZDNet)】

いまからでも遅くないから、電子ペーパーではなく電子インクと呼称すべきなのではないかと。電子の紙はプラスチックフィルムやガラス製ってことじゃないんでしょう? そのうち紙にだって電子インクをのせるつもり、あるんじゃないんですか? これは書き換え可能なインクもしくは既存のテクノロジーとまったく違ったところから出発したディスプレイ技術であって、電子の紙ではないと思うよ。後々、大いなる誤謬を生み出す元凶となるのではないかと懸念。


020523.木曜日

【米パームが電子ブック・オーサリング・ツールを発表(BizTech)】

海の向こうの話なので、日本語が通るかとか、ローカライズされるのかといったことは記事では言及されていません。

黒崎義久氏のホームページは、2002年6月25日で閉鎖。


020515.水曜日

【「ケータイの王者」電子書籍配信に参入(東京新聞)】

記事の大半はとるにたらない内容なのだが(“電子書籍は、紙媒体より低コストで済むほか、在庫管理も軽減されるメリットがある”とか、あいかわらずの方便。サーバー管理、システム開発、インフラ整備費をちゃんと計算して言ってるのか?)、以下の件はなかなかうまいと思った。

“ 装丁作家としても知られる画家の司修氏は「電子書籍はレンジでチンして食べる冷凍食品のようなもの。特に脅威は感じない」と指摘しつつ、続ける。

 「装丁家の立場から言えば、読書というのは、畑から野菜を自分で取ってきて煮たり焼いたりして楽しむ食事に似ていると思っている。手触り感のある読書は印刷された書籍でなければ無理。冷凍食品がいけないわけではないが、同じ中身なら、より味わいのある食事を、最終的に人は求めるものだ。電子書籍の発達は結果 として印刷された書籍への回帰を促すきっかけになるのでは。そうあってほしいと信じる」”

甘い、甘いよ先生。ぼくたちはジャンクフードも大好きなんだよ。冷凍食品「しか」食べない奴はいない。でも、ほとんど冷凍食品を食べてるのがぼくたちなんだよ。これは好き嫌いだけの話じゃない。ちょっとした居酒屋でさえ、冷凍食品をバックヤードで「チン」して皿に盛り付けて出してるじゃないか。

マクドナルドが、かっぱ寿司が、セブンイレブンが全国制覇しても、高級料亭はなくならない。ちゃんと棲み分けはできていく。だからたしかに先生は心配しなくてもいいと思う。先生の仕事はなくならない。ただ、ぼくたちがこれから読んでいく本は、先生が手掛けた本とは違っているかもしれないってことだけだ。

ブレイク。

「新潮文庫の100冊CD−ROM」がつくられたとき、文字校正は、安い時給でアルバイトの学生を大量 にやとって完了させたという。新潮文庫にも校正校閲部はあるはずだが、彼らの元にこのコンテンツは届けられなかった。昨今は普通 の紙の本でもまともな校正がされたとは思えないようなものが平気で出回っているので、このエピソードでは不的確か。

現在、市場に出回っている書籍は、10年前に出回っている書籍とは、作られるプロセスがまるで違っている。当然、携わっている人も違う。10年後、書籍づくりに携わっている人はまた違ってしまうだろう。もちろん個人の話ではなくて、業種とかプロセスの話として。


020513.月曜日

【週刊ドットブック:第3回 まずは読者としてこの航海に(MacWIRE-D)】
【週刊ドットブック:第4回 紙か紙でないかはナンセンス,一貫した流れをつくってやるぞ(ZDNet)】

第3回と第4回のあいだに、MacWIREは大幅なリニューアルがあったようです。

萩野さんは毒を盛るのがじつにうまいです。紙の本、電子の本と敵対関係にあるのではなくオンデマンド印刷っていうのがあるじゃないか…といった調子で始まったとおもいきや、オンデマンド印刷の不透明さというかいまだシステム化されていない部分を白日の下に晒しています。

しかし、なんというか、この、タイトルの本コくささはなんとなからないものかと(^^;)


020502.木曜日

【電子書籍って買い? Zaurusで試してみました(MobileNews)】

Palmユーザーなんだけど、電子書籍読みたさにザウルスを買ったってところがミソ。よく口実はなんでもよくて、けっきょくデバイスが買いたいだけって人もたまにいるけど(笑)、この人はどうなんだろ。

シャープ独自のXMDF形式のブックとブンコビューワの使い勝手がかなり詳しく紹介されている。ザウルスオーナーでないと普段は知り得ない部分なのでありがたい。

省スペースだけでも購入の動機にはなるとしながらも、古本として売ることができないこともさりげなく指摘している。


020425.木曜日

【電子ブック? オーディオブックがお勧め(ZDNet)】

このライター氏は Audible が気に入っているということを言っているだけなんだが、なぜそれを語るために「電子ブック」を引き合いに出さなければならないのか理解に苦しむ。

これは「中華料理はフランス料理ではないからだめだ」と言ってるだけでしかない。本人は「つかみはオッケー」のつもりなんだろうが、傍目には恥ずかしい。

まぁそれはさておき、Audible が海の向こうでは軌道に乗っているらしいということがわかって少し安心した。この手の「オーディオブック」の話を聞くたびに思うのだが、それは「朗読」と呼ばないのだろうか。それとも朗読のことを向こうではオーディオブックと呼ぶのだろうか。日本にもそんな「ブック」を販売していたところがありましたね。あれってまだ続いてるのだろうか…。

アニメやコミックの世界では、よく「ドラマ編」と称してオリジナルの寸劇を収録したCDが出ているが、あれはオーディオブックとは別 なのだろうか。声優に特化したファン層を狙って、アニメはラジオの世界でかなりの番組を持っているが、そこで「ラジオドラマ」として放送したものが後にCD化されることも多い。数年前、しばらく会わないうちに友人がすっかりその手のラジオ番組のとりこになっていたことがあって唖然としたことがあった。

ニューメディアの牽引役はエロ。その次にコアなファンを狙うのがセオリー。もっとあからさまにコア層にフォーカスした展開をするべきなのだ。赤川次郎を商品化している場合じゃないんだよ(^^;)

ライター氏は6000タイトルで満足しているようだが、総花的にチョイスした6000は、どのジャンルも薄くなる。しかし、アニメのドラマ編を6000タイトルそろえたとしたら、これはなかなか強力だ。いやべつに、落語とかそういうのでもいいのかもしれないけど。


020420.土曜日

【iPodがテキストビューワになった!「READ OR LISTEN」】

いつかかならず出てくると思っていたが、その日は案外と早かった。iPodで任意のテキストの表示を可能にするツール。アプリケーションにテキストファイルをドラッグ&ドロップすると、.vcf形式のファイルを自動生成してくれます。.vcfファイルの規定値を超えるファイルは自動的に分割。切り出す文字数など、いくつかの設定が可能なので、たとえば一画面 におさまるぐらいの文字量で切り出せば、右矢印キー(?)だけでどんどんと読み進めるといった使い方もできます。

なお、アプリの名前の由来は、作者が文系アクションOVA『R.O.D(READ OR DIR)』にハマっていることにちなんでつけられた模様。主人公の読子・リードマンは無類の「書物を愛する女性」だが、彼女が電子書籍やデジタルテキスト(とその閲覧ツール)まで愛してくれるかは、ぼくにとっても興味深いところ。なお、アプリの名前の由来は、作者が文系アクションOVA『R.O.D(READ OR DIR)』にハマっていることにちなんでつけられた模様。主人公の読子・リードマンは無類の「書物を愛する女性」だが、彼女が電子書籍やデジタルテキスト(とその閲覧ツール)まで愛してくれるかは、ぼくにとっても興味深いところ。

まだ試してないけれど、「iPod Text Editor 1.1.1」っていうのも評判いいね。…いま試してみた。うわぁ、こっちのほうが圧倒的に使い勝手いいです(^^;) ファイルも無駄に分割されないし、基本的にエディターなので加筆修正もアプリ上でできてしまう。使い方は、よくあるテキストエディタ様の画面 が表示されるので、そこにテキストを入力したりコピペしたりして、普通にファイル保存。できあがったデータファイルを直接 Contacts フォルダーに入れるだけ。

【東京国際ブックフェアと併催で“デジタルパブリッシングフェア”が開幕――NTTドコモ+シャープの参入で電子出版ビジネスが本格化(ASCII24)】

「シャープは前からやってるじゃん」と突っ込むのはお門違いで、ドコモが手を挙げたということは、あっというまに3200万人強もの市場がひらけるってことなんですな。いや、実際は FOMA 前提となるからまだこれからの市場か。

「ドコモ」イコール「インフラ(流通・決済手段)」ですから、これは強力です。悪貨は良貨を駆逐する…いや、ここで使ってふさわしい言葉かどうかはまだわかりません。

しかしまぁ、eBook巨大帝国と老舗のドットブック、後発のXMDFって、なんでもかんでも対立構造つくっちゃうんだねぇ。分かりやすいんだろうけど、そういう視点でしかモノゴトを見ることができなかったり語ることができないとしたら、とても貧しいことなんじゃないかな。

シグマリオンの写真に付いているキャプション“特徴的な画面 サイズなので読みにくそうだ”にワロタ。

【電子ブックの2大勢力が新ソフトウェアを展示──東京国際ブックフェア2002(ZDNetMobile)】

ブンコビューワはザウルスとシグマリオンだけかと思っていたら、Palm版やPocketPC版も存在するんですね。

【シャープ,システム液晶の電子ブック応用例を参考出展──東京国際ブックフェア2002(ZDNetMobile)】

よくみたらこのデモ機むちゃくちゃ小さいんだね。一番下の写真のタバコの箱をみてようやく気が付いた。

【週刊ドットブック:第2回 番外編 ブックフェアで大反響(MacWIRE-D)】

インディペンデント・パブリッシャーズのコーナーが紹介されているんだけど、その単語はひとことも出ず“ボイジャーの青空文庫などを知っている人であれば見慣れた光景だし,「フロッケ」を覚えている人であれば,懐かしい気分になれる場所である。”と、なんともあいまいな表現。青空文庫はかなり無関係だと思うのだが、レポートをした人の脳内引き出しでは同じところに納められているのだろう。

“ドットブック・タイトルの,FDや8インチCD-Rで展示即売が行われていた。”という記述も週刊ドットブックの記事とはいえ、なかなか乱暴な表現。べつに取材したわけでもなく、ぱっとみて印象で書いていることが分かってしまう。そういうものなんだろうな。

ツッコミとか隅つつきとかはさておき、心に留めておくべきは、ここで展開されているスタイルがレポーター氏にとって「なんだか懐かしい気分になる」ものであったということ。氏の個人的な過去の活動に関連しているのかもしれないが、おそらくそれだけではないだろう。「手作りの」とか「個人で」といったスタイルや、「FDやCD−R」にそれらを納めて販売するという手法そのものがすでに懐かしい風景でしかない、ということである。

「エキスパンドブックは電子のガリ版」などと形容した人がかつていたが、今、ガリ版で制作された本がずらりとならんでいたら、やはり「懐かしい」と安易に形容してしまうかもしれない。ガリ版はある分野ではいまも立派な現役の印刷手法だし、志村章子さんたちのようなガリ版の最前線で活動されている人たちにとっては、それはかなり頓珍漢な形容に感じられることだろう。

いずれにせよ、世間の目からすると、もはや周回遅れな光景であることは間違いない。新しけりゃいいというわけでもないが、ここは明日ではなくて昨日の延長、それ以上でも以下でもないことにひとり苛立つ。それゆえにわたしは彼らの敵だ。

【ユビキタスな書棚】

通信が高速化されて、オンラインの決済システムが整備されていくのなら、そろそろ「データをダウンロードさせることイコール電子書籍の販売」という考え方を取り去ってほしい。本を買うということは、その本を所有する権利を購入するということだ。紙の書籍は物理的に紙の束を買った。しかし電子書籍は違うだろう。データは一箇所にあればそれでいいのではないか。あとはいつ、どんなデバイスからでも、その人がその本にアクセスできる権利を与えてくれればそれでいい。

ブロードネット・ボクサーのようなオンラインのPDA、関心空間のようなオンラインの情報コミュニティ。これらはアクセスするツールも場所も選ばない。

個人の蔵書をオンラインに持つことはできるはずだ。そこに行けば、いつでも必要な本をとりだすことができる、そんな書棚。ブックデータは各出版社がオリジナルを持っていればそれでいいではないか。購入者かどうかを認証する手続きは、もうすでにできあがっているようなものなのだから。個人のストレージにデータを保存しなければならないなんて、このネットワーク時代にいささか古くさい発想だとは思わないだろうか。

この話をすると、かならず「本を購入するときの匿名性」を主張する陣営とぶつかることになる。ネットワークとデジタルの社会で、完全無欠100%匿名であろうとすることは不可能のように思えてならない。ネットワークから自分を切り離す、徹底的に社会から逃げる以外に方法がないのではないかと。なにか方法があるなら教えてほしい。

ふと『ガタカ』という映画のことを思い出す。データにあらわれるモノを是とする社会の隙をついて身分を偽りながら夢を叶える男の話。


020419.金曜日

【シャープ、ザウルス文庫で“ハヤカワSFシリーズ Jコレクション”を発売――紙の書籍と同時発売(ASCII24)】

先日「ハヤカワSFもそろそろやってほしい…」と書いたばかりだが、このようなカタチでまことになった。“1990年代以降に本格デビューした日本人SF作家の作品を収録する新シリーズ”ということで、ちょっと思いとは違うのだけど、言い換えれば原液(デジタルテキスト)のある作品を整備していくということだろう。


020418.木曜日

【ボイジャー,東京ブックフェアにて,電子出版ワークショップを開催(MacWIRE-D)】

T-Time に関する書籍は『インターネット快適読書術』『ひらけ!T-Time』の2冊しか刊行されていない。これらは極初期のバージョンに基づくもので、現行バージョンの T-Time が採用しているタグの仕様に関する情報掲載されていない。現在も、せいぜいボイジャーのサイトで尻すぼみ的に公開されているものしか参照先がなく、その後のドットブックへの流れについても、ボイジャーのサイトにある資料がすべて。これがドットブックをとりまく現状である。

ワークショップとはいえ、おそらく「こうこうするときにはこのタグをこのように入力する」という話がメインになるのだろう。タグはあくまで手入力なのだろうか。この点については変わることはないのだろうか。

HTML編集ソフトの原理を応用すれば、ある程度のプログラムを組むことができれば、自動的にタグを挿入して体裁を整えるソフトウェアを作成することはそれほど手間ではないのでは…と思うのはシロウト考えなんだろうか。ボイジャーにあれこもれも頼るのではなく、ないものは自分で作る…。自分自身、その方面 に才能がないのがなんとも残念だが、かつてルビタグを自動挿入する AppleScript を Jedit 用に発表した人がいたことを考えると、場合によってはスクリプタブルなエディタと AppleScript を駆使するだけでもできてしまうのではないかと思うのだが。


020417.水曜日

【紀伊國屋書店と武蔵野女子大学,「Adobe eBook Solution」を採用(MacWIRE-D)】

個人的には神戸大学がNeXTを大量購入した事例を思い出したりして(^^;)


020416.火曜日

【BBSの匿名書き込みに著作権認める 東京地裁(ZDNet)】

見方を変えれば、匿名の書き込みでも書いた人は責任を持つ必要がある、ということでもあるな。

【雑誌34誌の編集長、個人情報保護法案の廃案を求める共同声明を発表(ACSII24)】

彼らの反対しているメディア規制3法には「青環法」も含まれている。


020415.月曜日

【本も机も鉛筆もない「未来の教室」(HotWIRED)】

これでいいのかどうかは別にして、こういった日々の学習環境が紙の書籍じゃないものをベースに構築されていくことの延長線上にできあがっていくリテラシーもあるだろう。

【週刊ドットブック:第1回 電子の本が明日の出版(MacWIRE-D)】

北村礼明さんの「ワンポイントレッスン」なんてのも始まりました。しかしずいぶん前から連載がストップしていまだ完結していない「T-Time 作家のためのタグ入門」にリンクをはるとは、北村さんも大胆だなぁ(^^;)

クリエイター向けの「MacWIRE-D」での連載とはいえ、「ドットブックの作り方」を伝授するということは、そろそろドットブックのライセンスについても新基準が用意される(アマチュア版元もドットブックを配信できるようになる)時期が近付きつつあるということなのだろうか?


020411.木曜日

「電子書籍は印刷コストがかからないだけ安くなるはずだ」と言うのは阿呆の言うことだと個人的には思っている。

電子書籍は印刷工場の仕事を奪い、さらに取次の仕事も奪う。そのかわりサーバー管理、サイト運営などのコストが別 途かかってくる。ディストリビューター(出版社自身かもしれないが)はそう言うだろう。これはまぎれもない事実であり、それなりの投資を伴っている。

我々はむしろ、そんな言い訳に対してこのように反論しなければならない。

「電子書籍をダウンロード販売するなら、通信費用を購入者に負担させることになるのだから、その点についてはディスカウントした価格を設定するべきだ」。

ありがちな話だが、多くのタイトルを購入する人には、それなりの還元があってしかるべきだろう。1冊をベースに収益を考えることは現状でもあり得ないとは思うが、当面 は、同じタイトルがどれだけの人に読まれるか(タイトル別の販売部数)よりも、一人の読者がどれだけのタイトルを購入するかにフォーカスをあてた戦略を立てるべきだと思う。リピーターになりたい、と思わせるあと一歩の味付を求めてやまない。

この手の仕掛けはオンライン書店はけっこううまくやっている。書評や感想を登録するとポイントが発行される、といったサービスも当たり前になってきた。効果 の程はさだかではないが…。

たぶんまだ持ち出しが続いていて、成熟した産業が転換するためにはいっぱいいっぱいなんだろうけど。


020409.火曜日

【シャープ、ザウルス文庫に池波正太郎の『鬼平犯科帳』が登場(ACSII24)】
【ザウルス文庫,「鬼平犯科帳」の専門店「鬼平ウェブ文庫」をオープン(ZDNetMobile)】

さすが鬼平ともなるとニュースになる。いや、鬼平って読んだことなかったりしますが(^^;)

早川書房もそろそろ電子書籍やってくれないかなぁ。銀背とまでは言いませんから、ハヤカワSF文庫の絶版モノを手軽に読めるようにしてほしいっす。いや、そうなると創元SFもがんばってもらいたくなるわけで。


020401.月曜日

 


020322.金曜日

【カシオペア・ラジェンダを買うと、電子書籍が2冊無料でダウンロードできる「電子図書券プレゼントキャンペーン」3月20日より開始!】

PDABOOK.JP で合計1200円までの電子書籍タイトルを2冊ロハで手に入れられる、というキャンペーン。ハードウェアにお試し版のブックをむやみにバンドルするよりはかなり現実的なスタイルですね。


020319.火曜日

【イーブック端末,モノクロ版は2万円で今秋にも登場(ZDNet)】

電子書籍コンソーシアムの一番嫌なところは、「我こそは電子書籍でござい」という顔をして「電子書籍」という言葉に泥を塗ったことだ。実証実験が終了すると、すかさずイーブックイニシアティブジャパンが設立され、今度は「イーブック」という言葉を穢してしまった。

「イーブック端末」といういかにも幅広く電子書籍を読むための装置のような名称でありながら、これは 10daysbook のコンテンツだけを扱う専用機であるということを忘れてはならない。

モノクロタイプの「E Inkの電子ペーパーと“似たような方式”」の液晶はちょっと気になるところ。ひさしぶりに 10daysbook にアクセスしたが、永島慎二さんの『若者たち』がラインアップされていた。手塚治虫の全作品の刊行がスタートしているが、これに加えて永島慎二作品もどんどん収録されていくのなら、そのために「イーブック端末」に手を出すのも個人的にはやぶさかではない。

もっとも、記事には肝心の書籍データの配信方法や端末の記憶容量についてはまったくふれられていない。「約100冊読める」だけバッテリが持ったとしても、おそらく100冊収録はできないだろう。

電子書籍の前にあるハードルは「読むための装置」もさることながら「流通の手間」のほうが大きいと思える。いかに「ブロードバンド・常時接続が一般ユーザーに広がったことが電子書籍の普及を後押ししている」とはいえ、わざわざパソコンを使って購入、さらに端末を接続して転送、読み終わったらデータを削除して空き容量 を確保してから再転送するなどという手間をどう捉えるか。


020318.月曜日

【Kacis Book CD-ROM「現代用語の基礎知識 2002」が発売(MacWIRE)】

この手のリファレンスと Kacis Book は、考えてみたら相性よさそうですね。“Kacis Book 「現代用語の基礎知識 2001」も収録した”ということは、昨年も発売されていたのかな。

ところで、Kacis Writer って、まだ OS X バージョンがないのかな。

【電子書籍配信サービスのモニターサービスを実施及びモニター募集】

残念ながら関東甲信越エリア限定の実験。コンテンツは100冊程度、月に3冊までダウンロード可能というすばらしくミニマムな規模。参加企業が22社で、このボリュームというのはなんというかかんというか…。モニターが1000人、コンテンツが100冊。かなり強気。

コンテンツのフォーマットやビューワに何が採用されるのかが気になってしまうのは、もはやサガですな(笑)

参加企業から類推すると、ドットブック陣営も eBook 陣営も両方入ってるんですな、これが。それぞれに出せるフォーマットで出してくるのかなぁ。

【Pocket PC向け電子ブックをPalmデバイスで──ボイジャーとアーキタンプが提携(ZDNet Mobile)】

近頃はちゃんと記事になるようになった。ようするにドットブックもワンソース・マルチユース形式に対応しました、といったところでしょうか。もし TTX から完全に手間なしでドットブックと PooDoc の両方に対応するとしたら、ちょっと画期的よね。

【ジャストシステム、1冊から製本を申し込めるサービスを開始(ASCII24)】

一太郎、マイペンシルというジャストシステムの製品で作ったデータをネット経由で送って製本発注するシステム。これはありそうでなかったかも。これで「一太郎で自分史を…」といった方も安心して原稿が書けるというものです。なお、どうやらマイブックとも提携したようで、系列メニューに入り込んでいます。


020314.木曜日

【ボイジャー、アーキタンプと提携。力を合わせてPDA電子出版の普及へ拍車!】

TTX(いわゆるドットブックやTTZファイルを生成するまえのソースファイル)からドットブックとPooDocの両方が生成できるようになる、ということらしい。また、ドットブックをPooDoc形式に変換する「T-Break」なる変換ツールも登場する。

Palm版T-Timeをどのような方法で実現されるのか楽しみにしていた人も多いと思う。PalmオーナーではないためにDOCビューワーについてはあまり知らなかったのだが、Pookは相当な出来のようだ。「Seton Notes」というアウトライン型データ管理ツールと組み合わせることでライブラリ管理ができる、という点も魅力的。

マックユーザーゆえにPocketPCには手を出しづらく、どうしたものかと思っていたが、これでPalmに走る、という方向性も見えてきた。はてさて。


020312.火曜日

【ニフティ,個人がオリジナルコンテンツを販売できる「@pay」(ZDNetBroadband)】

最低100円からのカード決済代行システムである。ヤフオクばりの評価システムも備えるという。問題は、販売側はニフの会員である必要があり、購入する側もニフの会員かCombo会員である必要があることだろう(Combo会員ってなんですか(^^;?)。100%オープンな決済システムではないわけ。まぁそれでも、これはなかなか画期的なシステムですよ。たとえばサイバーブックセンターの売りは「カードで決済できる」というのを主催者から聞かされたことがあるが、もはやそれがアドバンテージでなくなるわけですから。ちなみに販売手数料は商品価格の15%。

…あ、リンク先メモるの忘れてた(^^;)


【とあるメーリングリストへの発言より】

「サポート」してもらわなければ読むことのできない本なんて、読まなければいいのに。

本を読むには、ある程度のスキルが要求されるのはあたりまえのことで、わたしたちがそれをあまり実感しないのは、小さい頃からなにかにつけ本を読む訓練をしてきたということと、いつのまにか自分のスキルにあった本しか読まないようになるからに他なりません。

パソコンを使うということは、ナード的知識やスキルに隷属することを受け入れる必要があります。「OSがあってアプリケーションがあってデータがある」という構造が前提になっているモノを御することから自由にはなれないのです。

サポートしてもらわないと読めないのなら、サポートを必要としない本を選ぶようにするか、サポートしてもらわないでも読めるようになるまでスキルをみがくしかありません。

サポートしてもらわないと読めない本は、本ではないのです。少なくともその人にとっては。

勉強しないと読めない本(理解できない(^^;) )
体力をつけないと読めない本(重くて持てない(^^;) )
時間をとってじっくり取り組まないと読めない本(やっぱり理解できない(^^;) )
歳を取ると読めない本
レイアウトが奇抜すぎてよほどの耐性がないと読めない本
なんと書いてあるか読めない本(写経とか、昔の写本とか(^^;) )

紙の本でも、そういう本はゴマンとありますよね。形態やシステムの問題を口にするなら、通 勤電車の中で読むには巨大すぎる本、ブ厚すぎる本、重たすぎる本など、仕組み故に読めない本はたくさんあります。文字サイズが小さすぎたり、文字組の行間がせますぎたりして読めない本もありますよね(アート系の本や雑誌など。戸田ツトムとか(笑))。

なんにも違わないと思うんだけどなぁ。

【とあるメーリングリストへの発言より・その2】

自動車は便利。自動車に乗りたい。でも乗り方が分からない。さてそんなときはどうするか。

○運転できる人に運転してもらう
○タクシー、バスなど、料金を支払って解決する
○教習所に通って練習する

ただで教えてください。クルマを買ってきたけど運転の仕方が分かりません。すぐにワタシがクルマに乗れるようにしてください。

…そういう人はいないし、もしいたらどうかしてます。

ところがコンピュータの話になるとそれがまかりとおると思っている人がじつに多い。正気の沙汰ではないと思いませんか。

そのおもしろさを聞かせることはできます。
そのたのしみ方を話してみせることはできます。
でも、本当に愉しんでもらうための努力は自分でしていただかないと。


020311.月曜日

【レコードのよさを語る人はレコードしか聴かないか?】

そんな奴も実際にはいるが、ほとんど頑固なオーディオマニアだろう。世間はCD買ったりmp3で聴いたりする。

俺は映画って映画館でないと愉しめなくて、レンタルビデオで映画作品を借りることってまったくないんだけど、「映画はビデオ」って頭から決め込んでる人もいるね。

ひとことでくくれるものかどうかわからないけど、利便性に人は流れていったと思われる。

ようするに、電子書籍っていうのは紙の手触りがとかインクの臭いがとかそういうもんではなくて、まだまだ扱いづらいってことなんだよ。それだけの話。


020309.土曜日

【どうしてCDはデジタルレコードと呼ばれなかったのか】

どうして電子本は電子本を名乗ろうとしたのか。
ってゆーかこの名前を言い出した奴は誰だよ?

一説には津野海太郎氏であると言われているが…。


020216.土曜日

【電子書籍はなぜ味気ないのか(NIKKEI NeT)】

誰だそんなことを書くのは、と思ったら仲俣さんじゃないですか。ようするに電子書籍には色気が足りないんじゃないかと。このあたりの話はやりはじめるとじつに業が深い。

「出版崩壊」とか「本殺」とか言われてすでに久しいが、死に体の出版社がやることにロクなことがないのは当然の帰結でしかなく、鬼子のように電子書籍を扱ってきた連中が何をやったところで“未来永劫うまくいかない、と断言”できる。

業界の人間に近付いてみればそんなくだらない話がとぐろを巻いているばかりで、一方、個人でぽそぽそやっている人たちと話をすると、そういうものに対するカウンターですらあり得ない寒さと厳しさを目の当たりにするだけなのである。

では自分に策はあるのか、自分はどういうスタンスで走っていくのかと問われると、正直なところまだ光明は見つけられず、海の底を這うようにして暮らしている。これは辛いことだ。

技術的な問題にも触れておこう。TTZ が登場したとき、ボイジャーに「検索エンジンに対応する方法を考えるべきだ」と進言したことがあった。仲俣さんの指摘しているとおり、“いまの電子書籍はただの孤立したコンテンツでしかない。どこにも、どこからもリンクの張られていない、検索エンジンにもひっかからないウェブサイトがあったら、誰にも読まれないだろう。いまの電子書籍はそれ以下だ”。

ボイジャーは現在、T-Time で読めるデータの中味を検索する「T-Search」というツールを提供している。これは TTZ だろうが PDF だろうが、ファイルの中の文字列を検索することが可能なすぐれたツールだ。検索結果 もリスト化された T-Time 用のファイルが作成されるので、複数ある文書もワンクリックで T-Time で閲覧可能となる。

T-Search は自分のハードディスクの中にあるファイルしか検索できない。しかし、もしこの機能が各種検索エンジンと結びついていったら…。世界中のサーバーにアップロードされている TTZ ファイルやドットブックファイル、さらに PDF ファイルまでが検索対象に成り得るのなら、どれだけすばらしいことだろう。ボイジャー単独ではこれは成し遂げられないだろう。google のような検索サイトと、電子文庫パブリのような電子書籍出版社連合サイトが共同で作り上げるべき事柄なのである。そうなったとき、電子書籍はふたたび「拡張された本」としてインターネットの世界と融合していくだろう。


020210.日曜日

【BIGLOBEにPDABOOK.JP登場】

BIGLOBEのアカウントを持っている人は、BIGLOBEの支払いで購入できるようになったってわけ。もちろん本家 PDABOOK.JP も並行して展開中。


020205.火曜日

【凸版印刷、電子ペーパーの主要部材量産ラインを年内に立ち上げ――米イー・インクに追加出資も(ASCII24)】
【凸版印刷,電子ペーパーのパーツ量産へ(ZDNetMobile)】

電子ペーパーってやつは、なぜか「紙の本に変わる夢のデジタルペーパー」として語られることが多い。が、実際は「やわらかい素材で作られたディスプレイ」のようなものがほとんどのように思える。素材がパルプやそれの代替物でないかぎりは、紙よりもセルやビニールのシートのようなものになるのではないか。

素材が「そういうもの」である以上、どのようにすぐれた技術であっても、それをイコール「紙の本に変わる物」と世間が受け入れるには、かなりの困難が待ち受けていることだろう。ディスプレイはディスプレイであって、「書き換え可能な印刷物」とは違う。そんな齟齬がつきまとう。

しかしeインク(E Ink)の発明者であるジェイコブソンが初公開したビデオによると、なんと紙に E Ink を塗布し、ディスプレイペーパーとして表示できるレベルまで到達しているという。紙の上にインクが印刷されるように、電子インクが印刷される。なるほどそんな特殊印刷は凸 版ならお手の物だろう。いまどきの電子部品は印刷物のようにプリントされることが多いのだから。

紙との比較はナンセンスだと思う。電子ペーパーのテクノロジーの持つポテンシャルをそんなことでスポイルする必要はない。この「紙か○○か」という比較はことあるごとに取り沙汰されるテーマだが、オンスクリーン読書に親しんだ自分には、その判断基準には本質的な間違い、ボタンの掛け間違いのようなもどかしさ、微妙に音程の狂った楽器演奏のようなむずがゆさを感じないではいられない。

ともあれ、そんな不定愁訴のような季節をこえて、一日も早くeインクを応用した製品が登場する日を心待ちにしている。


020201.金曜日

【@irBitway,「PDAフライデー」Pocket PC版を発売──スクープ写 真をPDAで(ZDNetMobile)】

本誌ではモノクロページだったものもカラーで提供されるのだとか。“同コンテンツは,高画質の画像をPDAで閲覧可能とする,イリンクス開発のPocket PC向け高画質ビューワ「Xiino ChannelViewer 1.1日本語版」の導入により実現したもの。”ということですが、どんな感じになるんでしょうね。目次があって、記事をタップすると本文にジャンプ、写 真のアイコンをクリックするとピクチャーがあらわれる…そんな感じなのかな?

おきまりの「電子本」という言葉も記事には出てこないので、画像ビューワがメインなのかもしれない。もっとも、フライデーが雑誌だから、電子「本」と呼ぶのを記者がためらっただけかもしれないけど。


020129.火曜日

【インディペンデント・パブリッシャーズフェア,渋谷にて開催(MacWIRE-D)】

“電子本のユーザー団体「ポシブブック倶楽部」”…舌噛んでますね。なんにせよ、MacWIRE で取り上げられたことは、いいことだ。

ポシブルブック倶楽部のインディペンデント・パブリッシャーズのページには「パブリッシャーズ宣言」と題した LUNA CAT さんのテキストが掲載されている。これは2000年の東京国際ブックフェアに出展するときに、自分の言葉では他の人を説得できるテキストが用意できなかったから、お願いして書いていただいたものだ。

彼女も、いきなり頼まれた仕事だったので「インディペンデント・パブリッシャーズとは何か」をはっきりと了解して書いたわけではなかったので、いきおい総花的な語りに終始することになった。インディペンデント・パブリッシャーズという言葉を提唱した当事者が込めた思いは、東京国際ブックフェアで配布された出版目録の「インディペンデント・パブリッシャーズ諸君、いまこそ電子出版のパラダイムを変えよう!」に収録されている。ここに記した3つのパラダイムを実践していくことが、あらゆる行動のバックボーンに求められてくる。ようするに自覚なきインディペンデント・パブリッシャーズは、誰がどんなに旗振りしようとも形骸となってしまうことを否めないのではないか。

ここに乖離を感じるのだが、それは適確な方向性を示唆することもなく、ましてや何一つ実践に至ることなく「いちぬ けた」した故のことなのだから、いまさら何を言っても戯れ言である(まぁでも問わず語りにここに書くことは続くのだろうけど)。

誤解しないでほしいのだが、今度ひらかれるプロジェットでのフェアを否定するつもりはまったくない。むしろ、どのようなカタチであれ、あらゆる外的要因や社会情勢にひるむことなく、道を模索し続ける現スタッフの方たちや参加される版元の方たちには、こうべを垂れる他に術を持たないのが自分なのだ。

えーと、ひとつだけ。インディペンデント・パブリッシャーズのページには、ポシブルブック倶楽部のトップページへのリンクがない。これはいただけない。これはすぐにでも改訂するべきだろう。

ぼんやりした頭でもこれだけは感じるのだが、電子出版、電子書籍の世界は、もう少し語られる機会があってもいいのではないだろうか。インディペンデント・パブリッシャーズがいまだに当時の宣言文しかコンテクストを持たないというのは、あまりにも寂しすぎる。ポシブル堂書店の田辺店長は寡黙にこなしていく実践の人である。彼は電子出版の荒野に黙々と木の芽を植えていく。彼が行動してそれで世の中のすべてが事足りるわけがない。土地は耕され、人の手が入ることで命を吹き返す。誰かが語り合い、テキストを紡ぎ出してほしい。単なる熱意だけの遠吠えや、調子のいい未来論はいらない。もっとふくよかに、この世界をとらえるための、その一助となる言葉たちが必要なんだ。この痩せてしまった土地をふたたび耕していってほしい。


020128.月曜日

【東芝、タカラ、大日本印刷、教育プラットフォーム事業で合弁会社を設立(ASCII24)】

ありゃりゃ、先日セガとベネッセと LeapFrog が業務提携したと思ったら、なにやら別 のところからも似たような話が出てきました。こちらは「EX-Pad(エクスパッド)」ですか。なんだかやってることがずばりダブってるんですけど…。きな臭いというか、どこに行ってもこんなパイの奪い合いばっかりなのね。タカラは「ベイブレード」と「リカちゃん」がキラーコンテンツですか。

こうなると、なんだかバンダイがおっちょこちょいな類似商品を出すような気がしてきました。あの「次世代ゲーム機」が白熱していた頃にうっかりちゃっかり発売されたプレイディアのような奴。

トミーも黙ってないだろうね。ポケモンを武器に乗り出してくるだろう。任天堂が余計な牽制をかけて、商品化に失敗する…なんてシナリオも考えられるな。

ベイブレードが10年持つとは思えないが、これら一連の「○○ Pad」のキモは、子供たちにとって新しいプラットフォームが提供されることになる、ということだろう。子供たちのゲーム機ばなれは相当なものらしいが、それに拍車がかかることになる。

しかしながら、モノとしてはやや大きいので、ゲームボーイのように日常的に携帯することができない。微妙な棲み分けが行われるのかもしれない。


020125.金曜日

【セガトイズとベネッセ、米LeapFrogと提携――“音で遊べる未来の本”を発売(ASCII24)】

最初に記事のヘッドラインと画像をみたときに思ったのは、セガは「PICO」の後継機を考えているのかな、ということだった。セガが想定しているタイトルをみると、あながちその予想ははずれていないのではないかと思う。「PICO」のようにテレビにつなぐのではなく、本体の上で完結するから、テレビ中毒を心配する親御さんもこれなら安心といったところか。一方ベネッセは進研ゼミの中一講座の教材として利用するということなので、ローティーンの学習ツールとしての展開を考えてるのだろう。

しかしなんというか、二つ折りで複数のページ状のものが綴じ込まれていれば、どんなものでも「本である」と言い切ってしまう肝要さは、いったいどこから来るのだろう。

よく見るとセガが4〜9歳をコアターゲットに発売する「CoCoPad」と、ベネッセが中一講座の教材として準備している「QPad」は、本体の形状がかなり違う。サイズも「CoCoPad」のほうが二周りぐらい大きいように思える。

3月21日発売開始とのことだが、もしかしたら今年の年末あたりには、うちの息子もこれで遊びながら学んでいるのかもしれない。「英語であそぼう」や「えいごりあん」のソフトが出たらスグに買ってしまうかも。

個人的には、英語学習も大切だが、正しい日本語、美しい日本語を学ぶ知育玩具もほしいと思う。


020110.木曜日

【紙か神か】

「ブラウン管は何をするものか」。
多くの人がテレビをみるためのものだと答えるだろう。
そして、人々はテレビ漬けになりながら、
本のほうが智のアイテムとしてありがたがるだろう。

極端な話、シネスコサイズに24コマで撮影し、
映画館で読むような文学があってもかまわないハズなのに。

写真画質だろうがピコリットルだろうが、
マイクロドライでプリントしたほうが、
印刷物に近いテイストを持っている。
印画紙に紙焼きしたような仕上がりでページレイアウトされたものは
読みたくない。

HP-200LX のモノクロ液晶はうつくしい。
クリエのハイレゾ画面よりもよほど美しい。
Duo280 のモノクロTFTも美しかった。
くっきりしたドットの向こう側に、液晶を構成する黒いつぶつぶが見えるようで、
それらが描き出す文字は得も言われぬ美しさを放っていた。

紙の手触りなんて、もう忘れてもいい。
インクのにおいも、もう忘れてもいい。

ゆるやかにフェードするページイメージ。
ひっそりと影を落とす。
画面に溶け込むようなアンチエイリアス。
その向こうに閃くインテリジェンス。

かつて巻物だった書物たち。
かつて羊の皮が使われていた書物たち。
かつて活字など使われることなく、手で書き写されていた書物たち。
彼らを忘れてしまったように、もう紙の本のことも忘れよう。

布貼りの丸い背表紙。
ラシャ紙にくるまれ、厚紙のジャケットにおさまり、
糸のしおりをはさみ、タイトルに金箔が押され、
蔵書印が押されていた書物たち。
彼らを忘れてしまったように、もう紙の本のことも忘れよう。

こんなことを書くと、どうしてゆがんだ受け止められ方しかされないのだろうか。
君は本について言葉をかわしたことなんて一度もないのだろうに。
自分の思考で、きちんと話したこともないのだろうに。


020109.水曜日

【コンテンツワークス、村上龍氏の書き下ろし短編をオンデマンド出版のみで発売 (ASCII24)】

個人的にオンデマンドは装丁がショボイ、という印象がある。化粧箱に入っているのはそういった印象を払拭するためなんだろう。オンデマンド印刷の機械もそれなりに普及してきており、印刷単価そのものはまだまだ高いが、在庫管理やその他のコストをあわせて考えると、それなりに実用レベルにはなってきた。村上龍の短編は1冊2500円で販売されるらしいが、一般 的な書籍流通と製造ルートで流したとすれば、いくらぐらいの単価となったのだろう。

オンデマンド出版が変えるのは、製造と流通の仕組みだ。巨大な印刷機械を所有する印刷会社が淘汰され、千万円単位 の機械を購入した印刷会社に仕事が流れる。しかしオンデマンド出版なるものがもっと普及しなければ、その印刷会社も生きてはいけない。もしかしたら、出版社がその機械を購入して、印刷会社はすべからく出版事業から閉め出されるのかもしれないけれど。また、いわゆる取次会社と書店もこの流れからは閉め出される。オンデマンドによる少部数出版物は、現在の出版ルートではおよそ流通 し得ない商品だからだ。じつは読者も出版の世界から隔離されることになる。オンラインの立ち読み機能は、読者が購入する「書物」そのものを検分することとは根本的に違っている。ドットブックなどのオンスクリーン読書物とは違うのだから。