NHK経営委員の暴言暴走が止まらない。
NHKと言えばつい、先だって籾山会長が、「従軍慰安婦問題はどこでもあった」
「特定秘密保護法は決まったことだ」「政府が右と決めたことを左とは言えない」
の問題発言をして国会に招致され、釈明に追われたことは記憶に新しい。
その次は、NHK経営委員の作家・百田尚樹が3日、東京都知事選候補者田母神俊雄の応援演説を行った。
NHK経営委員の立場で選挙で特定の候補者を支援することも問題はあろうが、その発言の中身が
酷いものだった。
「南京大虐殺はなかった。アメリカ軍が自分たちの罪を相殺するためにでっち上げられた」
「義務教育の子どもたちにはまず日本人に生まれたこと、日本は素晴らしい国家であることを教え、
戦争における残虐行為などは教えるな。」
などと訴えたのだ。
更には、NHK経営委員で埼玉大学名誉教授の長谷川三千子が、1993年に朝日新聞社で抗議自殺した
右翼幹部を賛美する追悼文を昨年10月に書いていたことが発覚。
これらの発言だけを見ると、ネットウヨクか一部過激な保守論壇誌の中のコラムの一部かと見間違えるような
内容だ。しかしこれらは紛れもなくあの天下のNHKの経営者の発言なのだ。
政府が決めたことをチェックするのがマスコミの最も大切な役割だ。決めた中身に問題があれば、 どんどん追究する。彼らが知り得た情報は、基本的には国民に開示する。当然のことだ。 それを政府の言う通りに情報を垂れ流したり秘匿したり、過去の歴史や事実もときには修正して報道する などというのは全くの御用メディアであり、国民にとって罪悪以外のなにものでもない。 それでは民主主義国家とはとても言い難い。
では、どうしてこんな人物共がNHKを牛耳るようになってしまったのか。
NHKの経営委員とは本来どういう人達なのか。
一言で言えば、「公共の福祉について公正な判断をすることができ、広い経験と知識を持つ人の中から、
国民の代表である衆参両議院の同意を得て、総理大臣が任命する」という手続きで選ばれた
人達である。
こう書けば、おわかりいただけるであろうが、NHK経営委員は、時の国会勢力や内閣の影響を強く
受けているということだ。
今回の人選は無論、衆参多数を占める安倍自民党により同意を受け、安倍首相の任命によって決まった
ものだ。つまり、NHK経営委員=安倍晋三、と言って構わない。
第2次安倍内閣が発足してから1年以上が過ぎた。
安倍内閣の目指す危険な政策の中身がはっきりしてきた。
秘密情報保護法案の強行採決、年末の靖国神社参拝、その他集団的自衛権の解釈変更を今後目指すという。
政策そのものが危険で悪質なものばかりなのは言うまでもないが、この男の恐ろしいところは
自分に反対するもの自分の気に入らないものは何が何でも排除しようとする考え方である。
(安倍のマスコミ封じ込め対策は今に始まったことではなく、10年くらい前にもNHKに対して番組改変を指示
した疑いがある。)
こうしたマスコミの取材制限や情報の操作をこれ程までに徹底して行おうとした内閣は、戦後では他に類を見ない。
同じようにタカ派的な考えを持った中曽根康弘、小泉純一郎でさえ、これほどまでにマスコミを押さえつけるような
ことはやらなかった。中曽根、小泉は、内容の良し悪しはさておき彼らは自身の弁舌によってマスコミ受けを狙う傾向
があった。マスコミの報道の自由を制限しなくても、自分自身の言葉で世の中を動かしてみせるという自信が
あったのだろう。対して安倍晋三は、自分の都合の良い人物ばかりを周囲で固め、自分に反対するものは一切拒否し、
聞く耳を持たないタイプ。懐が狭い!度量が小さい!ある意味、自分自身に自信が持てないのだろう。
憲法の問題などがそうである。憲法9条を改憲する必要性を国民に説明説得する、という自信がないから解釈改憲で
集団的自衛権を変えようなどと言いだすのだ。
いずれにしても、いつまでもこのような人物に首相をやらせておくことは国民の利益にはならない。 早く首相の座から引きずりおろすとともにNHKの経営陣も総入れ替えし、まともなNHKを取り戻すことを 切に願う。