東日本大震災、福島第一原発事故後初めての国政選挙ということで注目された今回の衆議院選挙。 デモ参加者としては1960年の安保闘争以来の人数となった反原発デモも行われ、原発問題も争点となった今回の総選挙。 結果は、民主党は230議席から大幅減の57議席、自民党は294議席獲得の圧勝、日本維新の会は54議席獲得の大躍進、 卒原発を訴えた未来の党は61議席から大幅減の9議席、共産党は9議席から8議席、社民党は5議席から2議席と後退した。 公明党は21議席から31議席、みんなの党は8議席から18議席と増加。
民主党の大敗は事前からわかっていた。前回の選挙で公約になかった消費税の増税を強行し、大飯原発の再稼働など国民無視
の政策を実行したのだから負けて当然だった。前回民主党に向かった票をどこの党が取り込むかが注目だった。
だがその行き先は一斉に右へ行ってしまった。
確かに民主党といういい加減な中道政党が失敗した以上、ある程度右寄りの政党へ流れるのは致し方ない面もある。
しかし、通常は右寄りの政党が議席を伸ばしたら、左寄りの政党も議席を伸ばすのが普通である。
ましてや、脱原発が争点となり7割の国民が将来的には原発廃止をすべきと答えており、現に大規模の原発反対デモも起こった
のだ。にも関わらず、インフレターゲットや公共事業バラマキ復活や憲法改正、集団的自衛権の行使等の危険な自民党
(無論脱原発なんてやる気など更々ない)、バカウヨ前都知事と手を組んでから脱原発や企業献金禁止など主要政策が大幅に後退
し政策のブレまくった日本維新の会、主張している政策と全く異なる自民と維新に二股をかけたいかがわしい宗教政党の公明党
のような、声高に激しいことを言う右翼政党や、世渡り上手の政党だけが議席を伸ばした。共産、社民のような左翼リベラル政党
だけでなく、卒原発を掲げた未来の党までが大幅に議席を減らしたのは異常な事態である。
国会勢力を見ると、あのナチス政権獲得時のドイツよりも遥かに右傾化しているのである
(・・・1933年3月5日時点で、ナチス:288、共産党:81、社会民主党:120、カトリック中央党:93、
国家人民党:52。議員定数が今の日本より多いが、ナチスが第一党とはいえ過半数ではなくバランスよく様々な政党が議席を持っており、
共産、社民だけで200議席持っていた。共産党は真っ先に力尽くで非合法化され、社民、その他の政党も解散させられ、
ナチス一党独裁となったのだ。・・・)。
少なくとも現代においてこれほど右傾化著しい国は、どこかの軍事独裁政権を除き、民主主義国家の中では前例がない
のではないか!
ナチスは力尽くでリベラル政党を排除したが、日本人は、ナチスが力尽くで行ったことを選挙で行ってしまったのだ。
無論、日本の共産、社民にも問題はあった。未来の党も余りにも準備不足で結果として反原発票を分断する役割しか果たせなかった。
共産、社民は主張することは正しいが、どちらも同じようなことを主張しており選挙協力くらいはもっと出来たであろう。
しかし、あれだけ酷い原発事故が起きても、あれだけ反原発政党が選挙で票が取れないと、これは国民の意識に問題があるとしか
思えない。
結局のところ、日本人は目先の経済のことばかりに目が眩んでしまったのだ。
今迄の日本人の大部分は、身の丈に合わない住宅ローン、その他借金をしてしまった。仕事は常にあるものだ、給料は常に上がっていくものだ、
と何故か思い違いをしていた。
そのため不況になると、まず自分の仕事を減らさず給与水準を守ることのみを考え、自分より弱そうな人や外国人を叩いたりし、
環境問題に目を向けることなど考えもしなかった。自分の生活さえよければ戦争が起ころうと、原発事故が起ころうと関係ない、
という発想に陥ってしまったのだ。円安が進んで物価が上がることだけが良いことだと勘違いしたのだ。
ちょっと考えればデフレを脱却したところで、労働環境の根本的改善を行わなければ、物価だけ上がって雇用も給料も増えなくなるという
ことは容易に想像がつくはずである。
福島や福井といった原発立地自治体の選挙民も皆、自民党支持。原発がないと雇用がなくなるのが困る、というのが本音らしい。
こういうバカな奴らを「絆」とやらで、支えてやることが本当に良いことなのか、つくづく疑問に思えてしまう。
「福島の人達のために、福島産の農産物を消費しましょう」とか「瓦礫を受け入れましょう」なんて冗談じゃない。
震災や津波で多くのものを失ったことは、とても気の毒だと思う。しかしそこで生じた瓦礫に放射能が混じってしまったことは、
はっきり言うが、自己責任だ。自分達で望んで原発を立地してもらいその結果事故が起き、その結果生じた放射能まみれの瓦礫を
他の地域で受け入れる必要などない。
どうやら、日本人は、もう一度戦争を起こして犠牲者を出すか、もう一度大きな原発事故でも起こらない限り、意識は変わらないようだ。
否、それでも駄目かも知れない。ナチスのように独裁者が一方的に力尽くで反対するものを排除したのであれば独裁者を暗殺すれば解決だ。
だが、日本の場合は選挙によって自然にそうなったのだから、これは、救いようがない。
この国はいずれ崩壊するであろう。