しげぼうの言いたい放題


・年金支給開始を遅らせるなら年金制度自体をやめてベーシックインカムにした方がましだ!(2011年10月24日)

厚生労働省は11日、60歳から65歳へと段階的に引き上げている厚生年金の支給開始年齢について、2030年度を 想定している引き上げ完了時期を9年繰り上げて21年度とする案を社会保障審議会年金部会に示した。また、支給開始年齢 そのものを68〜70歳へと遅らせる案も提示し、68歳とした場合の引き上げスケジュールを公表した。ただ、定年延長 などの法整備は進んでおらず、早期実現は困難なのが現状だ。

冗談じゃない、というのが正直なところだろう。 確かに少子高齢化に伴う年金の財源不足が深刻化しており、そのための対策を取らなければならない事情がある。
そもそも年金制度とは、高齢者を弱者とみなし、高齢者が安心して一生を送れるようにするための弱者救済のための国家制度 というのが建前であった。高齢者は体が衰えているので無理に働かすことは出来ない。医療機関にもなるべく負担をかけずに 受診していただこうという弱者重視というのが基本にあった。ところが日本は世界一の長寿国となり、保護すべき高齢者の数が 増えてしまった。こうなると保護すべき高齢者の数を絞り、60歳代の方は「あなたがたはもう少し働けるでしょう。もう少し 頑張りなさい」となってしまったのが問題の発端なのである。
しかし、企業などの民間企業の定年は大半が60歳となっている現状では、若い世代では8年から10年も収入空白期間が生じて しまう。これは、どう考えても問題である。
そもそも、人間は一人一人個性も違えば体力、能力等がみな異なるという事実を考えるべきだ。その人の天寿はどれだけ であり、何歳までが労働可能期間で何歳からは年金で余生を送るべきかなんてことは特定できるものではない。 今まで年金を払ってきたのに68歳でいよいよ年金をもらえる歳になった途端に死亡してしまう方もいるだろう。散々労働でこき 使われた上、国家社会に与えるだけ与え、何の恩恵も受けずにこの世を去るなんてことになっては死んでも死にきれないだろう。
それと、60代で働く能力、体力があったとしても、実際に今の日本でそれだけの労働需要があるのかも問題である。 御承知の通り、戦後の日本では、最初のうちは、男性が外に出て働き女性は家庭を守るというライフスタイルだった。 それが、男女雇用機会均等法が出来て、女性が社会進出した。更には外国人労働者もお金の貯まる日本に進出し、経済界も喜んで それを受け入れた。本当に経済のパイが拡大し人手不足が深刻化しているならまだしも、今は全くの逆である。働きたい人間の 数は増えているのに経済自体は成長の限界を超えてしまい労働需要は縮小しているのだ。 そこへ高齢者の定年延長が重なることになれば、若い世代の雇用にしわ寄せがいってしまう。しかも若い世代は仕事がないどころ か年金も将来受け取れなくなるという泣きっ面に蜂状態なのだ。
要するに、今の年金制度は弱者に味方しているようで、全くそうではない。単に長く生きられた健康強者に有利な制度であり、 何よりも世代間不平等など一貫性に欠ける最低のシステムなのである。

となれば、もっとマシなシステムとして考えられるのがベーシックインカムである。 ベーシックインカムとは、国民が暮らしていける最低限のお金を国民に直接配り、働くことで更に収入を上乗せして豊かに なっていける仕組みである。新党日本の田中康夫氏やみんなの党などが推奨している。
国民に最低限の所得補償を行う代わりに、今迄の年金、失業手当、生活保護などは廃止するとしている。 これなら、年金の管理など行政の無駄な手間暇が省けるし、上記のような世代による年金支給格差もなくすことが出来る。 何よりも貧困者をなくすことが出来、経済的な犯罪(万引きして刑務所へ→出所後仕事につけずまた万引き→再び刑務所へ のパターンなど)は大きく減らすことが出来るだろう。勿論、刑務所服役期間中の犯罪者、国で面倒を見ている皇族関係者、 その他行政より住居や食事の世話になっている者は対象からはずすべきなのは言うまでもない。
問題があるとしたら、財源の問題、国民の勤労意欲の低下などであろう。
が、今日本に必要なのは、「働かざる者、食うべからず」「よく働きよく遊べ」などという価値観を捨てることである。 昔のようにモノを作って皆に行き渡らせれば幸せである、という時代ではないのだ。 ましてや、電力安定供給の名の元に原発を推進して更に経済活動を活発化させようなどというのは愚かもいいところだ。 極論すれば必要なモノは既にあるのだ。働くことの意味自体が薄れつつある時代なのだ。 無駄なモノを作らず消費しない、地球環境に気を配る人間がもっともっと恩恵を受けるような社会の仕組みを模索する ことこそ大切ではないか。
以上のことを考えると、ベーシックインカムは今後大いに検討していく価値がある政治課題と言えそうだ。

とにかく、年金を最初60歳から支払うとしていたのを65歳に引き上げ、更に68歳または70歳に引き上げていくという 馬の前に人参ぶら下げて走らせ結果何も与えないというふざけたイカサマ政策は断固許してはならない。これを強行すれば 厚生労働省の役人の身に何が起ころうとも不思議ではない


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