菅内閣に対する不信任案が否決された。正直言って政治的空白が生じなかったことは良かったと思う。
菅内閣は、被災地の復興に向けての手際の悪さを指摘され内閣不信任案を提出された。私も確かに手際の悪い面は感じるし、
そもそも前にも書いた通りTPP問題や消費税問題などに対する政策も支持出来ない。原発問題も、浜岡原発の停止を行った
ことは評価できるが、これは防波堤を拡張するまでの暫定的な措置。その他の原発に関しては、存続するつもりらしい。
ドイツでは、メルケル首相は、福島第一原発の事故を受けて、遅くても2022年までに原子力発電から脱却
する方針を決めた。
その他、スイスでは2034年までには、すべての原発を廃止にすることを決定するなど世界各国で原発政策を
見直す動きが加速している。にも関わらず日本の菅内閣は何をやっているのか!!
不満を言えばきりがない。
さりとて、他の誰なら復興を手際よくやれるというのか?
ここは、しばらくは菅内閣に政権を任せ、与野党で足りないところは補っていく(何も大連立などすべきと言って
いるのではない)、というスタンスで行くのがベストであろう。
被災地の復興と原発問題に力を注ぎ、政党間や党内グループ内で足の引っ張り合いをすべきではない。
自民党も民主党反主流派も何の戦略のかけらも見られなかった。そもそも原発を戦後に推進してきたのは長年政権の座にあった
自民党ではないか。その自民党が何を偉そうに菅内閣を批判できるのだろうか。今回の地震や津波などによる被災地の復興に
向けての時間や労力が原発問題で削がれてきたという現実をどう考えているのか。
民主党反主流派もひどい。
とりわけ、鳩山前首相の言動には私もあきれ返った。菅直人では国難に対処できないから不信任案に賛成すると当初言った。
別にそういう意見そのものは構わないし、ではどうすればよいのか鳩山なりに世間を納得させられるものがあるならよい。
ところが、採決当日になって、菅直人に復興にメドがつけば辞めても構わないと言われて一転して不信任案に反対票を投じ、
他の造反議員も少なく否決された。その後、鳩山の認識では復興法案にメドがつく6月中に菅は退陣するとのことだったようだが、
福島原発の冷却が開始される10月以降になりそうだと聞くと激怒。「人間として信頼できない。ペテン師だ!不信任案に賛成すれば
よかった!」などとマスコミに不満をぶちまけた。
だが、一般人の感覚からするとこれは全くずれている。まず、内閣不信任案が否決された、ということは内閣が信任された
ということに他ならない。信任された内閣のトップに対して早く辞めろ、ということ自体が筋が通らない。これでは、
国会軽視の発想である。
そもそも不信任案に反対してやるから早く辞めろと取引すること自体が異常であり、例えそういうことをやり取りしても普通は
公にしないものだ。
菅と鳩山の間では、民主党を割らない、自民党政権復帰を阻止する、予算や復興のための法案成立に全力をつくす、復興にメドが
つきしだい菅内閣は退陣する、などの約束が交わされたようだ。しかし、それは民主党内での密室の中での話に過ぎない。
密室の中で何を話そうと自由なのだが、その中の話をマスコミの前で言った言わないを水掛論をしてどうするのだ。
不信任案否決を受けて続投を宣言した菅の言動は(例え心の中で早期退陣を考えていたとしても)当然のことである。
もし、菅に早く辞めて欲しいと鳩山が本気で思っていたのなら鳩山は有無を言わず賛成票を投じるべきだったの
ではないか。鳩山としては、菅直人を降ろしたいが解散総選挙になると民主党は負けそうだから自主的に辞めて
欲しかった、というのが本音なのだろう。何とも幼稚な言動だ。人間として信頼できないのは鳩山の方だ。
菅直人は、何ら辞める必要はない。辞めないでください、ここで辞めたら国会軽視です。政治空白が生じます。
以上・・・