麻生内閣の支持率が巻き返しつつある。
時事通信社が10〜13日に実施した4月の世論調査によると、麻生内閣の支持率は前月比7.6ポイント増の
25.2%。「首相にふさわしい政治家」では、麻生首相が26.7%で、20.6%の小沢民主党代表を
上回った。毎日でも麻生内閣支持率24%と3月より8%増えている。その他の項目でも時事通信社と似た
結果が出ている。
定額給付金や緊急経済対策として15兆円のバラマキなどで如何にも仕事をしているかのような
見せかけを行っていることが要因の一つだ。テレビが定額給付金を有り難がって受け取り、仏壇にそれを
供えて手を合わせる老人夫婦などを国民に見せつけたことなどがかなり影響しているのだろう。
そして最も大きな要因は、民主党小沢党首の秘書が西松建設からの違法献金で逮捕されたことであろう。
小沢本人や民主党支持者からは、これは国策捜査などと言って検察のやり方を非難する声も上がっている。
はっきり言って、小沢が白であれ黒であれどうでもよい。検察のやり方が正しいかどうかは時間が経てば わかってくることだ。それに、比例区の投票先をどこにするかでは民主党の方が自民党をまだ上回っている。 民主党としては、若干自民党に追い上げられているが、小沢問題を何とか始末すれば圧倒的優位に立てる ことには変わりない。
そんなことよりも、問題なのは、こうした世論調査のやり方である。
どこの世論調査でも
「麻生さんと小沢さんではどちらが総理にふさわしいと思いますか?」
とか、
「次の衆院選で自民党と民主党のどちらに勝ってほしいか」
などと間口の狭い質問をぶつけるのだ。誰が見ても両方ダメなのに、強引にどちらかを選べと言われても
困るだろう。
日本人の脳ミソの働きは、後で見たものの記憶が強く残り、前に見たものの記憶が打ち消されて
しまうという特質を持つ。小沢が何か金に汚そうな人物である、という後から見たイメージが、
麻生の今迄の支離滅裂な言動や無能さがかき消されてしまう。そうして「小沢さんはダメですね、
だったら麻生さんしかいないですね、ハイ麻生さんと書きましょう」と言うような極めて恣意的誘導的な調査の
結果をたれ流しするのだ。
ふざけるな、である。聞くなら次のような問いにすべきであろう。
「総理にふさわしい人は誰ですか?@麻生さんA小沢さんB志位さんC福島さんD自民党で麻生さん以外の人
E民主党で小沢さん以外の人、Fその他の人、Gいない、Hわからない」という具合に。
更に「DEFを選んだ方は具体的に名前をお書き下さい」と入れれば尚良い。
また、どの政党に投票しますかと聞きさえすれば、自民党と民主党のどちらがよいかなどと敢えて聞く必要はない。
この程度のことをどうしてマスコミはわからないのか?
このようなマスコミの偏向報道は、以前からあった。特に、中選挙区を廃止して小選挙区制度を導入したころから
酷くなったようだ。カネのかからない、2大政党がいつでも政権交代が可能な制度、などと囃し立ててきたが、
実際はカネもかかり、自民党の一党独裁に拍車をかけた。
政治家の質を高める必要も確かにあるが、このような事態を招いた日本のマスコミの罪は極めて大きいと言わざる
得ない。マスコミの変革こそがこの国の改革の一歩であろう。