しげぼうの言いたい放題


・アメリカ型カジノ資本主義の崩壊!新たな時代をどう築くか(2008年10月31日)

アメリカ発の世界大恐慌。リーマンブラザースの経営破綻の後、世界中の株価が暴落し、日本も 大きな影響を受けてバブル後の最安値を下回ってしまった。
今回の問題は、単に一時的なパニックとか循環的な景気の波などではないことは、おおよそ察しが つくであろう。規制緩和など自由放任主義が景気を活発にし、世の中を豊かにする、という発想が 根本的に崩れたことを意味している。返済の能力のない人や組織にカネを貸し、そのカネで世間が 活気づいたように見えたが結局は実態がなかったということだ。

そんな中、政府・与党が30日「追加経済対策」を発表した。 主なものを列挙すると、
・総額2兆円の定額給付(全世帯に一定額の現金または商品券を配布)
・過去最大規模の住宅ローン減税
・高速道路料金の大幅値下げ
・雇用保険料の値下げ
・中小企業向け法人税の軽減
・地方自治体への「地域経済対策臨時交付金」
などである。総額は、26.9兆円にもなるという。
はっきり言って、これらの殆どは意味なしだ。定額給付などで一定額を国民にばらまいたところで みんなが豊かになれるわけではない。カネがそれだけ出回ればモノの値段もその分上がり、 実質的には何も変わらない。むしろ、それにより財政を圧迫するのであればマイナス効果の方が 大きい。こんなことは、経済の基本中の基本だ。
住宅ローン減税などは、マンションや不動産を国民に買わせることが目的であり、これらの業界の利益 を追及するためだけの政策だ。
高速道路料金の値下げなども車を乗らない人間にとっては何の意味もない。そればかりか、環境対策 としても、大きなマイナスだ。
雇用保険料とは、働いている人が毎月納める保険料の軽減だが、それをやるなら完全失業者への給付期間 の延長の方が有効だ。
中小企業向け法人税の軽減と言っても、法人税すら払えない赤字企業も多く、実効性に乏しい。
どれもこれも、与党の選挙向けのバラマキ作戦であり、3年後は消費税を増税すると言う。

このような愚かな政策しか出てこないのは、地球全体の大きな時代の変化がまるでわかっていないのだ。 物欲の追及や自分が儲かりさえすれば良いという価値観、カジノ型の資本主義が崩壊したのだ。 もっともっと新たな価値観を持たなければならない。
国民にもっとモノを買わせるとか、株価を上げるとか経済指標の数値を上げることは目的ではない。
だったら何が目的なのかということだが、私の思いをいくつか言わせていただけるなら、 心の豊かさ、自然との共生、弱者への配慮 などであろう。例えば、朝9時から翌日1時まで働かされながら月給12万円という人間がいる一方、何年かけても 就職自体が出来ない人間もいる。個人の能力的な問題もあるだろうが、これは社会の根本に問題があることは 間違いない。そのような、刑務所よりも劣悪な労働環境で人を奴隷のようにコキ使う企業経営者やそのバック にある経団連などの圧力団体を厳しく取り締まることこそ大切だ。 ライフ&ワークのバランスを取りつつ、無駄な生産活動、消費活動を抑え込むことは、環境にも優しい生活環境 を作り出すことに繋がり、人類の永続的な繁栄をもたらすのだ。 また、ライフ&ワークのバランスが取れれば、家庭的なトラブルも減少し、犯罪の減少にも繋がる。
少子化対策だ、子供を産み増やせ、などと言っていながら、産婦人科や小児科を減らすような政策の根本的 見直しも必須だ。最近では、東京で、脳内出血を起こした出産間近の女性が8つの医療機関から受け入れを断られ 死亡した問題が起ったが、このような問題はかなり以前から全国各地で発生しており、丁度1年前の当サイト でも取り上げた。あれから何も変わっていない。政府はこうした問題に対して無策を続けているのだ。
その他、食糧の自給率をどうやって増やしていくかも大切な問題点だ。
目先の経済対策よりも、やるべきことはもっとあるのだ。

こうした、問題点には、野党第一党の民主党でさえ、政策の中に具体的に盛り込まれていない。 子供手当の創設や高速道路の無料化、最低賃金の引き上げなどに触れてはいるが、今一つピントこない。 今迄の価値観の延長線でしかないからだ。
自民党、公明党の与党の政策は、民主党の言っていることのパクリが多く、選挙向けのバラマキでありお話になら ないことは言うまでもない。
「蟹工船」ブームで注目を浴びている共産党は、派遣労働者の正規雇用化などを主張しているが、派遣にすらあり つけない無職の人をどうするのか、過労死問題をどうやって解決するのかなどの具体策が今一つ曖昧だ。 口当たりの良い言葉ばかりが目立つが、財源や国民の負担せざる得ない部分をぼかしているように思える。

どの政党も今迄の社会の枠内での付け刃的な発想しかない。 衆議院解散総選挙は、どう転んでも来年の9月までには行わなければならないが、各政党とも 将来のビジョンとか本当に改革すべきものを明確にまとめて、国民に示すべきだ。


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