7月29日の参議院選挙、案の定自民党の惨敗であった。自民党37議席は、1998年の橋本政権時の44議席を 下回り、1989年の宇野政権時36議席に匹敵する記録的な負け方だ。
全くとんでもない内閣だ。安倍首相は消えた年金問題では、この問題を最初に告発した民主党長妻議員
に対して、当初「そんな事実はない。国民の不安を煽るな」などと社会保険庁の不祥事を隠蔽するような発言
をしていた。それが、「(社会保険庁発足時の)菅直人が悪い」「労働組合が悪い」などと言い出し、
社会保険庁の民営化など付け刃的法案を強行採決し、いかにも自分達だけが国民の味方であるかのようにアピール
した。1年以内に全ての国民の年金照合を終えるなどとホラを吹いた。
憲法改正国民投票法案では、与党単独で中身が曖昧かつ危険な内容を強行採決した。
その他、閣僚の次々と明るみになる不祥事や、誰が何を言ったかさえ忘れてしまうほどの失言の連発。
与党敗北を予感してか、投票日を当初の予定を強引に1週間伸ばして、夏休みシーズンにずらした。
皆が遊びに出かけ、投票率が下がることを期待したのだろう。
流石に今度ばかりは、日本国民は、だまされる事はなかった。
ところが、これだけの惨敗を喫した最高責任者の安倍が続投するのだという。
1998年の橋本首相、1989年の宇野首相いずれも自民党大敗の責任をとって首相を辞任している。
一体この男の神経はどうなっているのか?
「私の基本政策が否定されたわけではない」「厳しい結果だが、美しい国をつくるというお約束を
果たしていくのが私の使命だ」
余程のバカであるか、確信犯的な民主主義否定論者かのいずれかであろう。
本当にバカであれば安心であるのだが、私は、後者の方を疑っている。
この男の祖父岸信介が、安保反対の国民運動を無視し、「声なき声の支援がある」などと言って強行採決を
行ったことを思い起こすが、裏には相当の並々成らない覚悟があるのだと考えるのが自然である。
お約束、などと丁寧なことばを使いながら、内心参議院なんて関係ないぜ、と心の中で思っているのだろう。
確かに今回の結果で、参議院は野党が多数になったが、それで野党が完全に有利になったわけではない。
衆議院では、依然与党で3分の2の議席を占めている現実には変わらないのだ。
今の衆議院議員の任期は最長2年あるのだ。
本来なら衆議院を解散、総選挙を行うのが筋であるが、この裸の王様には、そんな常識すら通用しそう
もない。開き直った裸の王様は、今後2年間衆議院の絶対多数で教育問題や自衛隊問題や消費税増税等やりたい
法案全てを押し切り(参議院でいくら否決しても衆議院で3分の2の多数で再可決を連発する)、任期満了まで
解散をしないだろう。まさに死ぬまで総理の座を手放すつもりはないのだろう。憲法も民主主義も
かなぐり捨て、時には自衛隊の国民監視情報も駆使し、逆らう者に圧力をかけることもやりかねない。
いずれにせよ、安倍をバカだバカだと侮ることは禁物である。民主党も勝った勝ったと喜んでいる場合
ではないのだ。
本当の勝負は次の衆議院選挙であろう。それまでに民主党を中心とした参議院がどれだけチェック機能
を果たし得るか?参議院の存在意義が今ほど問われている時はない。民主党がここできちんと責任を果たせば、
政権政党への道が大きく近づくであろう。
全てはここ1、2年で決まる。