2月23日の日刊ゲンダイの俵孝太郎の辻斬り説法(テーマは「幼稚園児殺害朝日新聞の特落ちに疑問」)
を読んで非常な違和感を感じた。この中で俵は、滋賀県長浜市の幼稚園児メッタ刺し殺人事件の犯人について、
殆どの新聞が「中国人、あるいは中国籍の鄭永善」と書いていたが、朝日新聞だけは「中国出身の谷口充恵」
だったことに関して朝日の特落ち(他社がみな書いている事実を書き落とすこと)をまず非難しているのだが、
以下のように続けている。
・・・しかし、これは特落ちでなかったのかもしれない。日ごろ中国べったりで、真偽も定かでない「日帝」
の「暴虐」を糾弾してやまない「朝日」のことだ。隣人の子2人を刺し身包丁で20回も刺して惨殺する
ような犯罪を中国人女性がやるはずがない、中国生まれの日本人の犯行に違いない、と全社的に思い込んだの
かも知れない。・・・
この男は、旧日本軍は中国に対して悪いことは何もしなかったとでも言いたいのだろうか?
朝日社員が全員、中国人は良い人だと信じきっているということも根拠のない言いがかりだ。
ゲンダイとあろうものが、このような偏向文章をそのまま掲載しているのはどういうことか?
今回の事件の犯人は身勝手で非常に凶悪であるし、死刑になってもやむをえないであろう。
が、我々読者の立場から見れば、それが日本人であろうが中国人であろうが、あるいはアメリカ人であろうが
そんなことはどうでもよいのだ。大体犯人は、中国籍とはいえ日本で暮らしてしかも日本名も持っている。
出身地など関係なく、日本の裁判できちんと裁かれるのなら特に問題はないのだ。
朝日が取材不足で犯人が中国人であることを認識できなかったのか、知っていて書かなかったのかは定かではない
が、中国人でも真面目に日本で生活している人も多い。そういう人達への偏見をなくすという意味では朝日の書き方
の方がむしろ正しかったのではないか、と私は思う。(もっとも以後は朝日も「鄭永善」の名前で報じているが)
報道においては、要は犯人が逃げているのか、捕まったのかがわかればよい。もちろん動機の解明や背景も必要で
あるが、そいつがどこの国の人であったかなど民族的な問題をことさら大きく取り上げる必要があるのか?
俵だけでなく、一部週刊誌、ネット掲示板などでも上記朝日の問題を取り上げているのがあるが、そこまで
犯人が中国人であったということにこだわるのはどういうことなのか?中国人は日本の生活に溶け込むのが大変
だったのだから罪を軽くしなさいとでも言うのか、または中国人はすぐに犯罪を犯す悪い民族で中国という
国も悪い奴で成り立っている悪の国だとアピールしたいのかいずれかであろう。
理由にならない理由で凶悪犯罪者の罪を軽くするか、凶悪犯罪者以外の中国人の偏見を増すだけだったら、
そんな報道こそやめるべきである。
意味のない報道を他にも例を挙げれば、精神鑑定が云々という話も同様である。こちらに関しては、私も過去に 書いているが、まじめにリハビリに取り組んでいる精神患者の方の偏見を増長して、悪いことをやった本人の罪は 軽くなるというのは理にかなわないし、そんなことは最初から報道しないようにすべきである。 それよりも、未成年犯罪者の指名手配写真の公開や、出所後の凶悪犯罪者の居住地などを報道して もらうことの方がよほど我々には為になる。だが、そういうのは犯罪者の人権を守るために出来ないで 済まされてしまうのだ。
こうして見ると、バカウヨとバカサヨの悪いところだけを抽出し、つなぎ合わせたものが、現在の日本の犯罪報道 と言って過言ではない。エセ人権派とよばれる人権一辺倒のバカサヨ、一つの犯罪を利用してナショナリズムを かきたて弱い者いじめをし、戦後の社会や憲法まで見直そうと主張するバカウヨ、どちらも凶悪犯罪について語る 資格はない。今迄の考え方を根本から見直し、悪い人間だけが厳粛に裁かれ、被害者やその他関係のない人に偏見 が及ばないような犯罪報道のあり方をしっかり考えていくことが大切である。