しげぼうの言いたい放題

 


・朝日・読売の共闘は大歓迎だ!(2006年02月11日)

最近の言論界の右傾化は相当な深刻な状況にある。 首相の靖国参拝を強力に支持し、歴史問題では日本の侵略戦争を正当化する論調も珍しくなくなった。 対東アジア外交では、日本は土下座外交をやめろ、中国こそ日本の脅威などと敵対心丸出しである。 更には、朝日新聞など彼らと反対の考え方を主張するメディアを徹底的に叩きのめすような論調だ。 中国に少しでも同調したり、日本は間違ったことをしたと言おうものなら反日とか国賊などとレッテルを 貼り、自分達だけが絶対に正しいと思い上がっているのだ。

あえて具体的に名前を挙げれば、産経新聞とその系列の「正論」、文芸春秋系の 「諸君!」などがひどい。朝日を目の敵にしてやれ捏造だ反日だと騒ぎ立てる週刊新潮 も、自分達はもっと悪どい裏の取れない記事を書いて、1年に何十件も訴えられて敗訴している。 イラクで人質に取られた3人が自作自演だったなどと書いたのも新潮であるが、これも根拠がなくうやむや。 かといって彼らに謝罪するでもなし。

そんな中で、憲法改正など保守的な論調を繰り広げてきた読売新聞が靖国問題、歴史認識、アジア外交 などで、朝日新聞と共闘するのだという。 朝日新聞社出版の「論座」2月号では、朝日新聞・若宮主幹と読売新聞・渡辺主筆(以下ナベツネ氏と 表記)が靖国問題を中心に対談を行なった。その中で、ナベツネ氏は、「国際関係も正常化 するために、日本がちゃんとした侵略の歴史というものを検証して『事実、あれは侵略戦争であった』という 認識を確定し、国民の大多数がそれを共有するための作業を開始した」とのことだ。
ナベツネ氏は既に昨年に、読売新聞の社説で首相の靖国神社参拝を批判し、自らが田原総一郎氏との対談 (オフレコVOL.1)で、同様の趣旨の発言を行っている。自身の軍隊での体験談(自身が受けた暴行やいじめなど) も語られていた。軍隊の野蛮さや残虐性を直接肌で実感しており、その言葉には説得力があった。 今回の「論座」でも更にその立場を鮮明にし、同業他社との連携に踏み込んだことは意義深い。
大変好ましいことである。 憲法を改正するにしても、国連常任理事国入りを目指すにしても、先の大戦について、国家国民全体として きちんと認識し、総括しなければ意味がないしどの国からも信頼されない。 ある意味、当たり前のことであるのだが。

読売新聞と言えば、発行部数1000万部を誇る世界一の巨大メディアである。 右に行くか左に行くかで、日本の世論はかなり大きく異なってくることは間違いない。 その意味では、巨大メディアのトップの良識を感じることが出来た。 裏を返せば、ナベツネ氏が上記と逆の立場を主張していたら、この国はどれほど恐ろしい状況になってしまう のか。想像するだけで恐ろしい。 ここはやはり、朝日・読売連合で権力側をしっかりチェックし物を申すことに期待したい。
ちなみに先の「論座」2月号は、反響が大きく売り切れ状態となってしまったようだ。 このような内容のものが品切れになるほど売れるなら、まだこの国も見捨てたものではなさそうだ。


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