しげぼうの言いたい放題

 


・日本の選挙をどんどんつまらなくする供託金制度(2004年07月15日)

11日の参議院選挙で、自民党は改選の51議席を下回る49議席で敗北した。 地方の1人区で民主党に議席を奪われたものの、都市部では候補者を絞り込み共産党を食って議席を奪回し、数の上 では、−2議席に食い止めた。しかし、改選の51議席という数字自体が元々自民党としては少ない数字であり、 3年前の66議席獲得から見ると、明らかな不振であり、民主党の50議席を下回ったことから文句なしの敗北で ある。

自民党の負けは当然大歓迎ではあるが、今回の選挙では私としては何か引っ掛かるものがある。
参議院比例区は、かつては何十ものミニ政党が名乗りを挙げ、それぞれが個性をはっきして、国会の中でもそれなりに 存在感を示したものだった。(サラリーマン新党、税金党など) 今回の選挙では、既成政党以外のミニ政党は、みどりの会議、女性党など3政党に留まった。 しかもそれらは全て議席なし。既存政党では共産党が議席を大幅に減らし、社民党も2議席しか取れなかった。 民主党の躍進は歓迎ではあるが、そのまま自民党と2大政党の流れになってしまうことが果たして良いことなのか 疑問である。民主党は、旧社会党、さきがけなどが中心となって立ち上げたが、新進党の片割れや、自由党などの 保守派が次々と流れてきてのっとられてしまい、今では憲法改正論者が6割から7割にも達している。勿論現在の 自民公明政権が潰れ政権交代が行われることがあれば癒着などを断ち切り多少はマシになるであろうが、大変化は 起こらないであろう。

このような状況をもたらした大きな要因の一つが供託金制度であり、小政党を国政へ参加出来にくくする弊害の 一大要因である。供託金制度に関して詳しい説明は以下のようなサイトを参照されるとよいと思う。 この方の意見は全くその通りと思う。 http://www.law.kobegakuin.ac.jp/~kinosita/FAQ/jinken/5-6Q4.htm
参議院選挙の場合、選挙区で一人あたり300万円、比例区で一人あたり600万円かかり (95年選挙より前までは、それぞれ200万円、400万円だった)選挙で負けるとその負け方によって没収されて しまう。この額の大きさは世界的にも日本が一番多いという。(朝日新聞7月13日夕刊)事実、95年の 供託金値上げにより、選挙に名乗りを挙げる政党や個人が大幅に激減してしまった。 供託金制度そのものの意義があるのか?これでは、カネのある個人や組織しか政治に参加出来ないことになるし 民主主義の観点から言っておかしいと私も思う。選挙に負けたら罰金を取るようなものである。 こんな制度は廃止するか、金額を大幅値下げすべきである。勿論、極右政党や単なるパフォーマンス政党も出てくること になるが、最初から否定するのはおかしい。あまりにバカな政党は国民が落とせばよいだけの話だ。

それよりも、政治と宗教の分離などのほうが余程大切なことではないのか。 2大政党化が進む中で着々と議席を伸ばしている某宗教政党などは目に余る。セミナーを開き、集まった人 を強引にそのまま不在者投票所へ向かわせ、自分達の指定した政党、候補者名を書かせる。裏では「言うことを聞かないと 地獄へ落ちる」とか何を言っているのかはわからないが相当な圧力がかかっていることは間違いない。 「俺の一言で、信者たちは必ず言う通りに投票する。選挙区では、あんたのところの候補者名を書かせる。その代わりに あんたたちの支持者の名簿をよこせ。その者達には、比例区ではうちに投票してもらう」なんてことも平気で言う。 (そして本当に名簿を渡してしまった某保守政党も情けないが・・・) こんなやり方が許されるのか?このような宗教的手段で投票に圧力をかける政党を取り締まることのほうが少数政党 をつぶすより重大なことではないか。

今考えると昔の参議院選挙は色々な人間が出てきて面白かった。衆議院では小選挙区制度を導入し、2大政党化が 進んでいる。せめて、参議院くらいはそういう方向に進んで欲しくないというのが私の願いである。


  戻る