風のささやき

透明な血潮流すあなたへ

今 あなたは
何処にいるの
どんな想いを抱いて
なにを見ているの

見上げるビルの森
ちぎられた空は息苦しく
行きかう人が礫のように
ぶつかる痛みに
心を閉ざしてはいないか

夕暮れの空
燃え立つ炎を心にも点し
後悔で身を焼き
残りの生まで諦めに
燃やし尽くそうとしていないか

体は火照り熱を帯びるのに
頭は泥のように重たく眠り
人も時間も乱れた夢の渦に
囚われ息もつけないのではないか

あなたの優しすぎる心は
自らを責める言葉を
深く深く心に突き刺す
癒えない傷口からは
透明な血潮が
とめどなくあふれて止まらない

僕は両手で
その哀しみの奔流を
食い止めようとするけれど
手にかすみ草のような
白く儚い哀しみが咲くばかり
そうして あなたは
青い薔薇のように
寂しく笑っている

あなたの痛みが鎮まりますように
涼やかな初夏の風が
真っ白な包帯となり
あなたの心をそっと包みますように

あなたはただ一人の
かけがえのない人
幾度でもその本当を繰り返したい
意地悪な言葉に惑わされず
大切なあなたを心に描いてほしい