風のささやき

12月の初め東京にて(断片)

風吹けば落ち葉の飛瀑潜り抜け

小春日や落ち葉地面に打ち当たる音

バス待つ人たち落ち葉隔てて遠い人

似ていると思いその度にドキリとする道で

銀杏敷く金色の敷布まずあなたからどうぞ

ずっと手を引いて歩きたいそんな落ち葉の一本道

煤けた銀杏すっかりと老人の体

一枚一枚の色が違うことに今さら気づいている

一つ一つの葉が全体になり黄金色

影が長くなり銀杏の根元に届く

影の色は薄墨風でも吹き消せる

小学校の校庭走る子供僕の遠い日の片影

笑顔が伝染している僕にも伝染する次は誰へ

燃え上がった街もやがて鎮まる

子供の頬に唇当てるとカサカサと