人波に漂う
夜の街の人波 飲み屋街のざわめき 楽しそうなバカ騒ぎ 渦を巻く話し声 その渦にまかれ 酒くさい息で 空っぽになった グラスを握りしめていた 僕は何だろう さっきまでの 楽しそうな顔を脱ぎ 赤い顔の波になって 夜の人波を漂う 絞り出した笑い声の底で 酔いきれない 氷点に冷えこむ 人波は 地下鉄に飲まれ ガラスの破片のように 街の灯りが刺さる 見られたくないものを 眩しさで 隠しているみたいだ 細い路地裏に すべりこんで 息をひそめる 僕は何だろう やがて姿を消すために 人波に溺れ ここに漂う 僕は何だろう ビルの隙間には 月もない やせ細った空
人波に漂う自分がちっぽけ過ぎて。Last Updated 2026/03