木漏れ日の茶会
これはどんな重力だろう 向かい合えば自然と 心が引き寄せられる やがて木陰に重なり 透き通り一つの風になって 自由に世界を巡るようだ 木漏れ日が眩しい 贅沢な時間に 何を語り合おうか 話すことはたくさん 心に湧いてくるけれど いざ話そうとすると 言葉はあまりにもどかしい 秒針に言葉をくくりつけて 一つ一つ舌にのせる 本当は 瑞々しい 葡萄を口に含むように 新鮮な心を まるごと味わって欲しい けれどもどかしい会話に ゆっくりと分かり合うこと それも楽しみだと知る ともに歩む田舎の小道のように懐かしく 反芻する牛の食事の楽しさを知る あなたと過ごす昼下がりの憩いに 持ってくれば良かった 紅茶の道具でも しかたなく風の中から借りる 透き通ったカップを二つ そこに梔子の香りを注いで 高く鳴らし乾杯をする ありきたりの話しで良い 心に湧いたものを素直に それをお菓子のように甘く 楽しめる二人であるから こんなにも心が引き寄せられて 近づくことは嬉しい 何も持ち寄らなかったけれど 贅沢な夏の午後の透明なお茶会 ゆったりと開くお茶を待つように 香りに満ちる刻をただ慈しむ