風のささやき

新緑の唇

若い葉っぱの笑いはあどけない
新緑の唇には光がふるえる

背中から強い風が吹くと
一斉に向けられる
それこそ何千万もの
陽気なざわめき

無邪気さはまぶしい
瑞々しい陽射しの
照明をあびて
下手な役者のように僕は
目を奪われて
次の台詞を忘れる

そのぎこちなさが
可笑しかったのだろう
もっと大きくなる笑い
たくさんの緑の唇

その飾らない観客たちの
心からの喝采に
張りつめた僕の心も
揉みほぐされている