日曜の村へ
小さな風の戯れに 波紋をたてる岸辺 そこからはもう先のない 日曜の静かな村で 炭を焼く煙の昇る方へ 白い帆をはり進みゆく船は 水と空の青さに挟まれたまま 動けなくなるやがて 涙を湛えて青ざめた湖 浸す指先の冷たさは 芯から凍る体の予感に満ちて 悲しいばかりに鳴き騒ぐ 姿の見えない野鳥たち 流れてくるのは 石のような黒い流木 せめてものなぐさめに 浮かべてみる木の葉に あかぎれる手のひらで さざ波をたてた ものうく 獣達が呻きながら 通り過ぎる深い森 時間が凍りつく夕刻 湖水に炎を流す夕日にも 燃え尽きない無惨な日々の記憶に いつしか重くなる頭をうなだれて 終わりのない責め苦に 呆然とするばかりだ 黒くなる湖水に青ざめて やがて表情を失ってゆく闇の帳