風のささやき

Shimbo氏、nano夫(なのお)。小ささは任せてくれよ!

 もともと、かなり気が小さいShimbo氏。なにをするにでもビクビクとしているという。例えば、初めて入るお店では、「ぼったくりの店だったらどうしよう」と想像し始めるともうおしまい。動機が激しくなり、脂汗が額に滲み、血の気が失せて行くのだと言う。そんな時、Shimbo氏の脳裏には、怖い顔の人に脅かされて、カードを奪い取られ、多額な借金を背負って、以降悲惨な生活を送るという場面が、鮮やかに浮かび上がるのだという。そこで、新しい店に入るときには、かならずShimbo妻が先頭を切り、Shimbo氏は、その手につかまって、「おっかなくない? ねえ、おっかなくない!?」と入って行くのだという。

 それに、大きな物音がすると、過敏に体が反応するのもShimbo氏だ。以前、道を歩いていた時に、何かが破裂するような音がして、飛び上がって驚き、その後、頭を抱えて小さくなったのがShimbo氏だ。Shimbo氏の耳には確かにそれが、鉄砲の音に聞こえたのだそうだが、その様子を見た通りがかりの女子高生は、「馬鹿ジャン」とShimbo氏を見て、クスクスと笑いながら通り抜けていったのだという。「いや~、俺だけ、飛びぬけて、超反射神経!」などと、いきがっていたが、後から、Shimbo氏がシュンとしていたのは言うまでもない。

 そんなShimbo氏を見たShimbo妻がしみじみと「あんたはほんとに気が小さいわね」
 痛いところを疲れて逆切れするShimbo氏「ああ、どうせ、あっしは、小さい男でやんすよ」
「あんたみたいな小者、見たこともないね」とShimbo妻。
「ああ、どうせあっしのハートなんて※1ナノ程度でやんすよ。これから、あっしをnano夫と呼んでくだせえよ!」
「そう、そりゃピッタリだわ。せいぜい、蚤と心臓比べでもしてるのね。ふふん」
 それ以来、Shimbo妻の中ではShimbo氏はすっかりとnano夫。「おい、こっち来いよnano夫!」とShimbo氏を呼ぶのだという。

 ハーブたちにもすっかり睨みが効かなくなったShimbo氏。「お前ら、とことん摘んでやるぞ!」と脅しても、「はいはい、nano夫さん!」と軽く無視するらしい。それを窓越しに見ながらShimbo妻がニヤリとしているのは言うまでもない。

※1ナノ=1メートルの10億分の1

今週のおまけ

オーイ!見えねぇんだよ、nano夫!