風のささやき

世界にはばたけ卵おじさんグループ。Shimbo氏、前世は湯の花

 先日、軽井沢銀座商店街で観光客がバタバタと倒れているとの通報が警察にあったとのこと。一時は、サリンでも撒かれたのではと緊迫した現場であったが、幸い観光客はしばらくすると次々に目を覚まし、一様に「腐った卵のような匂いが急に鼻にこみ上げて、目の前が真っ暗になった」と証言したという。

 そんな騒動があったことを知らずに、硫黄たっぷりの温泉につかり、卵おじさんに変身したShimbo氏は、買い物を済ませた軽井沢銀座を後にしていたのだという。「今日もいい買い物ができた」と買いこんだばかりの蜂蜜を熊のプーサンのごとく舐めてご機嫌になっていたのだという。

 もっともこの騒ぎは、Shimbo氏のみが原因というわけではなかったようだ。Shimbo氏と伴に行動していた友人も、Shimbo氏程ではなかったものの、卵おじさん2号、3号となって、世界にはばたく卵おじさんグループを形成していたのだ。たまごおじさん連中の異臭はお互いに共鳴しあい、強まり、毒素を高め、ついには有毒ガスに勝るとも劣らない効能を生み出したのだ。その匂いは、おじさん連中の乗った車の、隙間という隙間からも漏れ、排気ガスの変りに、腐った卵の匂いを撒き散らしていたのだという。

 道路沿いの「おいしい桃あります!」の目立つた看板も新たな悲劇の始まりだった。目敏いShimbo氏がそれを見つけ、美味なものには機敏に反応する卵おじさん連中は、早速車を降りることとなった。おじさん連中が降り立った瞬間、そこは腐った卵地獄。美味しそうな桃をニヤニヤしながら、手にとったり、匂いをかいだりするおじさん連中の中で、一人商売人のおばさんだけは、苦しそうな表情を見せていたのだという。もっともそこは商売人の根性。異臭に鼻をつまみながらも、Shimbo氏の手から現金を受け取り、卵おじさん連中の後ろ姿を見送ると、糸の切れた操り人形のようにパタリと地面に倒れ込んたのだという。ここでも知らぬ間に被害者を作っていた、罪な卵おじさんグループであった。

 さて、そんなShimbo氏、こんどは車の途中から、硫黄がモクモクと噴出している場所を見つけ、友人に車を止めさせたのだと言う。そうして、「危険、有毒ガス発生」の看板を乗り越えると、友人の制止もきかずに、悠々とその場所に入って行き、何度も深呼吸を繰り返していたのだという。さすがに唖然とする、卵おじさん2号、3号に、「硫黄こそ我が命の源、俺の前世はきっと※湯の花だったね」と告げるShimbo氏がいたのだという。

 Shimbo氏がニヤニヤしながら出かけた日から、ハーブたちは、背中に冷たい汗がすべって行くような嫌な感覚が去らなかったのだという。その予感は見事にも的中した。Shimbo氏が部屋に帰ってくるなり、すべてのハーブたちが気絶したのは言うまでもない。

※Shimbo氏は卵おじさんです。一般の方は危険なので、噴出する硫黄を吸い込むのは止めましょう。

※湯の花とは、温泉の成分の沈殿物です。

今週のおまけ

僕らも未来の卵おじさんグループ!