風のささやき

春 時候

春の景色

春の夜軽き寝息を数えおり

季語:春の夜

悪寒して余寒か痛む喉からか

季語:余寒

旧正の陽ざしの長閑浴びに立つ

季語:旧正

外の風浴びたくている春半ば

季語:春半ば

二月尽米研ぐ水のまだ痛し

季語:二月尽

寒戻り弁当売り子の手もみかな

季語:寒戻り

種を撒く気持ちにもなり二月尽

季語:二月尽

春闌けて写真撮る花多くあり

季語:春闌ける

春なんだ重い衣服が邪魔なんだ

季語:春

泣く風邪の子や啓蟄の家の中

季語:啓蟄

寒の明け人猿集う猿の山

季語:寒の明け

春たてりいそしぎの名の白き船

季語:春たてり

「春」の字を乗せて身軽な電車かな

季語:春

麗かが暮れる寂しい留まらん

季語:麗か

喫煙場もうもうとして二月尽

季語:二月尽

春や立つ車椅子の子の足も立て

季語:春や立つ

別れ際泣く子いじらし抱くうらら

季語:うらら

春の闇寝ぬ子脅すは親の鬼

季語:春の闇

春寒し子供ら三人膝に抱く

季語:春寒し

枝先や春受信する感度良さ

季語:春

パン焼けた甘い香目覚まし浅き春

季語:浅き春

春遅しやきもきテレビに食い入りぬ

季語:春遅し

啓蟄やつかまり立ちの子の微笑

季語:啓蟄

浅き春二日続けて寝小便

季語:浅き春

春淡き火を焚き暖を求めおり

季語:春淡き

春立てりベンチに集う昼弁当

季語:春立てり

また一つ春越える子の重さかな

季語:春

布団剥ぎ掛ける幾度と春夜なり

季語:春夜

春めくや甍の鱗光あり

季語:春めく

耐え柔く地蔵のお顔暮の春

季語:暮の春

子がこぼす葡萄液拭く彼岸かな

季語:彼岸

モメンタム君の言葉が失くす春

季語:春

北国の遅々たる春を楽しめり

季語:春

子に蹴られ目覚める春の朝寝坊

季語:春

流木や日永浮くなり沈むなり

季語:日永

うららけし何故今日に逝く人のあり

季語:うらら

春遅し布団の暖に子をくべる

季語:春遅し

春朝日眠たいまなこに矢のごとし

季語:春

春めいて湯気ほのかなる露天風呂

季語:春めく

春の朝湯気立ち茹だるポストかな

季語:春の朝

言の葉の軽はずむこと初春かな

季語:初春

春めきて雨晴れ上がり道は銀

季語:春めく

名ばかりも立春うれし寒き朝

季語:立春

縄を飛び春に踊るや若き足

季語:春

春立ちぬ爪先に見る紅の月

季語:春立ちぬ

立春や布団の上で子と相撲

季語:立春

春寒し不機嫌に待つ来ぬ電車

季語:春寒し

傘差す手役目を嫌がる寒戻り

季語:寒戻り

枝先もこそばゆがって春たてり

季語:春たてり

重き服愛想つかして弥生尽

季語:弥生尽

春寒し名所の松も逆立てり

季語:春寒し

鉢増えて花屋の軒先埋まる春

季語:春

野良猫の毛並みの汚れ余寒空

季語:余寒

憤る心いさめる春に会う

季語:春

鉢植えはしょげて花屋の寒戻り

季語:寒戻り

動き出す車光りて浅き春

季語:浅き春

立春や和みはじめた陽に浴す

季語:立春