風のささやき

窮屈な靴履き替えて進級す

春休み指立て数え二年生

肩車重くなったな入園児

雛菓子を食い散らかすのみ男の子

キョトンとす校歌の波間新入生

入学す緊張の色親のみで

四月馬鹿からかう子は留守生一本

ほがらな絵だ上手だ早や進級す

子の熱や嘘つく間なし四月馬鹿

桃の日や子のパンチ浴び添い寝する

それぞれの暮らし集めてメーデーの旗

メーデーの人波一人空見やる

初めての春服何着せ街行かん

男のみ雛あられ食い散らすのみ

白酒の相伴もせず夜半に帰す

畑打ちや土に混ぜこむ陽射しかな

烏賊焼きを食べて花見ず子はいびき

蹴りかかる子を弄んでやシャボン玉

風さらう風船次に我も空へ

春の夢うつらうつらと苦しめり

眠る子ら熱に寄り添う春の風邪

くしゃみしてくしゃみ重なり花粉症

子は背丈越しゆくものよ春の夢

春風邪の熱食い散らす夢に酔う

花粉症仲間ばかりの車両かな

春風邪の布団剥ぎたし空の色