縄紋について

(Last update: 2022/09/22)

2008年、仕事として企画展図録『縄紋多種彩々 -土器を飾るパターン-』を執筆した。
入門者向けのテキストになるよう構成したからか、図録は数年で売り切れた。
その後、増刷はされず、今後も予定はない。しかし、今でもたまに入手の希望を耳にする。
このたび、発行者(水子貝塚資料館)の了承を得て、PDFを公開することにした。
　図録縄紋多種彩々(PDF：6.0MB)

ご注意いただきたいことが数点ある

14ページの「弥生町式の結節紋区画羽状縄紋（南通遺跡）」は、再観察の結果、オオバコ回転紋だった。詳しくは下記PDFを参照。
富士見市南通第3地点出土の弥生土器について -オオバコ回転文の一事例-（PDF：1.1MB）
その後に確認された事例もある　寄贈された弥生土器について（PDF：795KB）
15ページ「坪井論文に基づく『席紋計』」は、一辺五分の四角形も原論文に載っていると誤解されることがあった。見出しどおり、坪井論文に基づいて作図したものである。

展示関連事業として講座を企画した。
　平成19年度ふじみ考古学教室「縄紋五題噺」
　2008年
　1/27(日)「右巻き？左巻き？ -縄紋入門-」早坂廣人
　2/09(土)「縄紋を極める　-縄文前期の縄紋-」黒坂禎二氏
　2/23(土)「南と北から見た縄文土器の範囲と境界」伊藤慎二氏
　3/02(日)「弥生土器の縄文 -東の弥生と続縄文-」石川日出志氏
　3/15(土)「“縄紋博士” 山内清男の仕事」大村裕氏
第1講はさておき、第2～4講は “僕の考えたベスト・オーダー” であった。ご快諾いただいた各氏にあらためて感謝する。

第1講の内容はpdfをアップロードしたが、図録と補い合うものである。
　「猿にはできない縄紋原体」　「老化防止に縄紋原体」
という2つの標語？は、我ながら気にっている。

黒坂氏の講師紹介では、学生時代に『深作東部遺跡群』の報告書に大きな刺戟を受けたことを話した。

伊藤氏への依頼は、次の2つの業績を踏まえてだったが、
　　伊藤慎二2000.12『琉球縄文文化の基礎的研究』ミュゼ
　　國學院大學21世紀COEプログラム第Ⅰグループ 2006『東アジアにおける新石器文化と日本Ⅲ』
打合せの段階で、元々シベリアの土器に関心があり、結果として沖縄の土器の研究が先になったと伺い、驚いた。日本周辺にとどまらず世界各地の先史土器との比較から縄紋土器の特徴を検討された。

石川氏の講座は、「最初の弥生式土器」(弥生町貝塚の壺)に縄紋が有ることから話を切り出された。

大村氏の発表原稿は、同年に加筆修正をして論文化され、その論文は、下記単行本に改題して収録されている。
　　大村裕 2022.06『続日本先史考古学史の基礎研究 -山内清男の学問とその周辺の人々-』六一書房

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