ニフティー・サーブ歴史フォーラム縄文会議室での発言の再録です このページには「縄文酒?」関係の発言を集めました なお、実名参加者に呼びかけている部分はイニシャルにしました 誤字・誤変換は修正しました ----------------------------------------------------------------------------- 秋田県池内II遺跡の報道を受けて ----------------------------------------------------------------------------- 00652/00652 HFC03726 早傘 果たして酒は作ったか? (14) 99/02/05 00:00 00650へのコメント ピンポーン 池内さ〜ん 税務署の者ですが。 「税務署? 何も注文した覚えないけどなぁ」 当たり前です ^^; こちらが用が有って参りました。 届を出さずに酒を作った疑いがあるのでお話を聞かせてください。 「そんなもん作ってませんよ。何の証拠があってそんなこと言いますのぉ?」 お宅が裏山に捨てたゴミの中に、葡萄なんかの種が仰山有った。これはとても 食うたとは思えん量だ。葡萄酒を作ったんでしょ。 「何でいきなり酒というところにいきますの?」 種はまとめて濾し袋に入っておった。これは酒を絞ったということだ 「絞り汁を飲んだだけですよ。接骨木(「にわとこ」を変換したらこうなった) の汁は体に良いと、みのもんたが言ってました :-p 」 その汁を発酵させたんやろ。分析したらなぁ、アルコールにたかる少女奪え じゃなかった(~~; ショウジョウ蝿の蛹まで見つかったぞ。 「それは始末が悪くてすいませんでした。近所に人がいるわけで無し、放り投げて 埋めないでおいたら、何やら細かい蝿がたかるやら、そのうち妙な甘ったるい匂 いがしてくるやら、大変でした。これからは注意します。」 あんたが発酵させたんじゃないのか? 「そんなもん、バナナの皮だって、捨てておけばそのうち腐るでしょう 発酵なんて難しい言葉使ったて、要するにそういうことですやん」 しかしなぁ、分析した先生も酒を作ったんだろうと言ってるぞ。 「あの先生、酒好きで有名でしょうが。あの先生こそ酒作ってるんやないの?」 そんなことはないと思うがな。まぁ、今日のところはわかりました。ですけど、 調べて気になることが出てきたら、またお話聞きに伺いますよって 「はいはい。(やっと帰るか)」 あ、最後に一言、念のため。 勝手に酒作りは イ ケ ナ イ 。               詳報に期待する 早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00660/00662 HFC03726 早傘 RE:酒造り、今こそ実験考古学!? (14) 99/02/11 13:13 00657へのコメント こんにちは かまくらさん このところ遠出が多く、レスが遅くなりました > アルコール度数が1%以上だと違法になってしまうんじゃなかった >かと記憶してるんですが、どうでしたでしょうか?ただ、1%に満た >ないアルコール飲料では満足できない方も多いですよね、キット。(^^ゞ 酒税法が有る以上、税務署はよいとはいわんでしょう。 (~~) ただし、製造そのものが社会的に許されない麻薬などと違い、間接税の徴収 を目的とした法律で、個人が自分で消費する飲食物の製造を禁止することは 「間違い」だとする意見は、説得力があるし、ドブロクを作ろうとか、自家 用ビールの作り方といった本も出版されていますね。 形式的には違法であっても、たとえば知り合いがドブロクを作っているとし て、やめさせようとか告発とかせずに、うまくできたら一口飲ませてね (^^) というのは、まあ・・・・・・・ ^^;              強くはないけど色々な酒を飲んでみたい早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00661/00662 HFC03726 早傘 RE:ニワトコの果実酒 (14) 99/02/11 13:13 00658へのコメント こんにちは OBITO さん。このところ遠出が多く、レスが遅くなりました >ニワトコの果実でなにかを造っていた(さらに流通していた?)と >考えるのが自然ですね。 そこまではまず確実ですよね。あとは彼等が フルーツジュースやジャムを楽しむ「健康的」な人々だったか 果実酒を楽しむ「文化的」な人々だったのか 絞り汁にしても発酵させたにしてもそれを「薬」として用いたのか 色々な場合を想像した方が、いきなり「酒」とするよりも豊かな縄文文化観 が開けると思うのであります。 そういうことでまあ、安易に酒作りというのは池内といったのであります どこの遺跡かは忘れましたが、ガマズミの種がまとまって発見されたことも あり、これもやはり果実酒の材料ではないかといわれました また、近世のアイヌは儀礼用に稗酒を作っていたことから、三内丸山のヒエ も酒の為に栽培したのではないかという意見も一部に有ります(私も賛成)               某史跡公園にガマズミを植えさせた早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00665/00665 HFC03726 早傘 RE:ニワトコの果実酒 (14) 99/02/11 19:04 00664へのコメント こんばんは ヒメバラモミ さん。お待ちしておりました。 最近木の実関係の話題が多いのにヒメバラモミさんの御発言が無く 寂しいと思っておりました (^^) >分析した先生のセットを知っているだけに、#652の早傘さんの発言に笑い転 >げてしまいました。おまけに関西弁だし。  そうでしょ そうでしょ (^^)v (^^)v               ヒメバラモミの脂肪を抽出したことが有る早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00871/00871 HFC03726 早傘 ニワトコ酒醸造成功 (14) 99/04/29 23:26 00692へのコメント 「あの先生とうとうやりおった!」 え、何を....もしや? 「そのもしやだ。ニワトコ酒を自分で作りおった」 ということは、酒税法違反で捕まって、歴博の教授もクビ? 「そこが一筋縄でいかない。酒のことになると知恵が湧くようでうまい手を使った」 いや、酒以外でも素晴らしい研究をされてますけどね 「サハリン(樺太)に行ったときに人家の脇に生け垣のようにずらりと並んでい るのに目を付け、それを採集して作ったというんだな」 それなら日本の酒税法は関係ないですね。でもロシアの法律は? 「それはよく知らないが、できた酒の度数は2%未満だったというんだな」 そりゃ、ロシア人からすればジュース同然ですね 「先生の話だと‘食欲をそそるようないいにおいがした’‘それほど甘くない ジュースのような酒でした’ということだ」 それは飲んでみたいなぁ。 「ところが作った縄文酒は2合だけで、一人で飲んでしまったそうだ」 あらま。他の証言者はいないの? 「これまで話してきたことは、週刊朝日の最新号(5.7-14合併号)に基づく んだが、この記事を書いた記者が岩田一平さんなんだな」 その人って『縄文人は飲んべえだった』とかいう本をまとめてなかったっけ? 「そうそう、だからな、多分・・・・・」 フムフム・・・・・・ ・・(中略)・・ 「ということで、次のOFFはサハリンで縄文酒作りだ!!」 パスポート持ってないんだってば                     早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00888/00892 HFC03726 早傘 RE:ニワトコ酒醸造成功 (14) 99/05/02 00:52 00872へのコメント こんばんはYさん >奇妙なことにアイヌ民族の伝統の中にはニワトコ酒が見当たらないのです.さては >和人が酒を造って広めたのかな?  どぶろくも同様ですが・・・. >もう一つ,ヤマトには果実酒を作っていた記録があるでしょうか?   少なくとも、円筒土器文化でニワトコが何かに利用されたのはほぼ確実である と思われます。さて、アイヌ文化に酒以外でもニワトコ(エゾニワトコ)は利用 されていないのでしょうか。利用されていないならば、断絶しているというだけ のこと。異常なまでのニワトコの集積は縄紋文化の中でも普遍的ではないですし。 それはそれとしても、アイヌ文化に縄紋文化の要素の残存を探るという視点に立つと アイヌ民族はどのような酒を嗜んでいたのかが興味深いところです。御紹介いただけ ないでしょうか。 >お酒の好きな早傘さんたちに教えてもらいたいのですが,よろしく. Yさんに比べたら、若い時の鍛え方も、実績も、足下にも及びません(^O^) (学問と同様に)                     早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00891/00892 HFC03726 早傘 RE:酒が存在しないわけない!? (14) 99/05/02 00:52 00884へのコメント こんばんは加茂鹿道さん >九州の縄文時代後期中葉以降の注口土器は非常に大きいので、現在も九州の >人が大酒呑みである傾向と一致していて、興味深い。 遺伝学の成果では、下戸遺伝子(アセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子)の 比率が低い東北地方や南九州が大酒のみの傾向が有ると。そして、下戸遺伝子 は弥生以降の渡来系に由来するという説が有ります。だとすれば、縄紋時代に はどの地方も体質的には、呑兵衛だったということになるようです。 まあ、酒呑みは体質よりも訓練だという、悪しき伝統もあるようですが。 >ただ、謎なのは、現代の土瓶や急須とは注ぎ口の向きが逆についている理由が >わかりません。縄文の土瓶は注ぎにくいと思うのですが。 これ、どういうことを指しているのかよくわかりません。御説明をお願いします。                  酒が好きだけど弱い半縄半弥体質の 早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00893/00894 HFC03726 早傘 RE:酒が存在しないわけない!? (14) 99/05/02 12:17 00891へのコメント 修正です >下戸遺伝子(アセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子)の これだとアセトアルデヒド脱水素酵素が下戸の原因みたいに読めますね。 アセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子が陰性の場合に下戸なのであります。 (エタノール(エチルアルコール)は体内で分解されてアセトアルデヒド になり、それを脱水素酵素で分解する。脱水素酵素が作れないと尿で排泄 されるまで悪酔い状態))                    だったと思う^^; 早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00952/00958 HFC03726 早傘 RE:酒は… (14) 99/05/17 00:19 00914へのコメント こんばんは Yさん RESが遅くなってすみません >にして陶酔,これが東日本の縄文文化の秘密儀礼だとすれば面白い.考古毒物学 >の研究グループを立ち上げる必要がありそうに思うのですが,お酒好きの方々い >かがでしょうか.でもこの分野だと研究費がとれないかな? JTあたりがスポン >サーになってくれるとよいのですが.代表はもちろん早傘さんにお願いします. 考古俗物学の方が面白そうな :-p > 酒のない地域は,世界の至る所にあります.古い時代にはいわゆる北方の少数 >民族にはアルコールが無かったように記憶します.しかし,ドラグはいろいろと >存在していたようです.そういう意味で眺めると,東日本はアルコールの存在す >る地域とない地域の境界領域ではないでしょうか?  民族誌に詳しい方の発言 >を期待します. ・・・と二日酔い状態での書き込みでした. 民族誌には暗いのですが、手元の文献の気になる記載を。 『講座 食の文化 第1巻 人類の食文化』(味の素食の文化センター 1998) P422-423に「伝統的な酒の分布」という図が掲載されています。この図によると 黒竜江流域・沿海州・オホーツク北岸・カムチャッカ・千島・北海道は 「漿果・樹皮・樹液の酒」の分布圏となっています。詳しい説明はないのですが。 この図を編集したのは国立民族博物館の吉田集而さんです。吉田さんは東アジアの 酒についての論文をいくつかお書きになっているので、根拠があっての記載と思い ます。どなたか、この記載のもとになる報告をご存知ないでしょうか?                      早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00954/00958 HFC03726 早傘 RE:注口土器の口 (14) 99/05/17 00:19 00919へのコメント またまた こんばんは Yさん 加茂鹿道さん >本当は縄文文化の文化圏について書き込もうと思いフォーラムを覗いた途端に 是非是非そちらもお書き下さい \(^^)/ >注口の口の形態は指摘通りです.御猪口に入れて飲むのではなく,直接に・・・. 口の形態と注ぎやすさについては実験してみないとなんともいえないかなと思った まま、なんにもしてないので発言を避けておいて、 注口から直接飲むのだというのは、私も先輩から教わったことが有ります。 昔から(数十年前から)言い伝えられてきたのでしょうか? ある民族では、少年は大人の男性から男のエネルギーに満ちた液体を与えられ 飲むことで大人になっていくのだそうで、この話を本で読んだ時に、注口土器 の使い方の話を思い出したものです。 >朝日新聞の第1面に秋田の縄文遺跡から織物にくるまれていたらしいニワトコ種子の >ニューズがありました.辻誠一郎先生は発酵させた果実を搾ったのではないか,と >お考えのようです. 他の新聞では2月上旬に報道されたのに、3ヶ月も寝かせておいて、GWの暇ネタ に取って置くなんて、特落ちがよほどくやしかったのかな?などと、よけいなことを 考えてしまう。もしかして、その3ヶ月の間に追実験をやったのかな?とか・・・ > 縄文時代の酒と麻薬の日々・・・三内丸山でもこのストーリーが加われば,もっと >退廃の雰囲気が漂うでしょうに.考古学者岡田先生ににらまれるかな? >ごめんなさい  あまり不真面目で. やはり、Yさんを代表に「アブナイ縄紋文化研究会」(略称:アブナイじょう) を立ち上げるようですね。 真面目な話、最近どんどん増えている縄紋復原集落はどれも、妙に健康的な “公園”になっていて、縄紋の「匂い」がしないのが不満です。                          早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00953/00958 HFC03726 早傘 RE:酒は… (14) 99/05/17 00:19 00918へのコメント こんばんは Fさん >企画展で「酒の考古学」をやってみたいと思い少々 >関連資料を集めてみたことがあるFでした(酒弱いです)。 三重県でやるなら「小豆の考古学」というのはいかが 副題は 「赤福の起源は縄文時代だった!?」 (^_^)                   小豆も好物 早傘 ----------------------------------------------------------------------------- 00984/00986 HFC03726 早傘 RE:酒は… (14) 99/05/23 00:30 00974へのコメント こんばんは GIRAさん 御紹介いただいた『論集 酒と飲酒の文化史』を購入しました。 GIRAさんに代り、このツリーに関わる部分を紹介すると、 P89-P132に吉田集而氏の論文「口噛み酒の恍惚剤起源説」が載り、 その中に“狩猟採集民は酒を作っていたか”という項目が有ります。 それによるとシベリア東部のチュクチやカムチャダールなどの民族は カバノキ属の樹皮と樹液、また、スイカズラ属の樹皮、あるいはキイチゴ 属やコケモモ属等の果実から酒を作っていたそうで、現在は蒸留酒が多いが 蒸留の技術はロシア人から伝えられたもので、元々は発酵酒の伝統が有った のだろうと吉田氏は考えています。ただし、吉田氏以外の研究者は、酒造の 習慣そのものがロシア人から伝えられたという説による者が多いようです。 また、アイヌに関しては、樺太アイヌが白樺やイタヤカエデの樹液から 酒を作る習慣があり、美幌のアイヌはサルナシやヤマブドウの果汁から 酒を作ったそうです(美幌の例は「分類アイヌ語事典−植物篇」が典拠)。 他にもいくつかの事例をあげています。 以上のことから、吉田氏は東北アジアの狩猟採集民に樹皮・樹液・漿果の 酒を作る伝統が有ると考えています。 その他にも興味深い論考が多数載っています(ちょっと高いけど) よい文献を御紹介いただきありがとうございました。 ところで GIRA さんは注口土器の用途についてどうお考えですか :-)                     早傘