初めての北アルプス

 私の北アルプス初体験は、「準備しっかり、現地でのんびり」のページに書いたように立山でした。とにかく高山帯にしか棲息しないライチョウを見たいというのが主目的で、ここはそのライチョウのメッカ。しかも標高2400mの室堂平まで立山黒部アルペンルートの乗り物が連れて行ってくれます。登山を志す者としては安易な選択かもしれませんが、なにしろこちとら登山に関しては経験も師匠もなしの身、安全第一で北アルプスや3000m級山岳を体験してしまおうと思えば一番てっとりばやそうなところです。

 登山だけでなくバードウォッチングも兼ねているので双眼鏡、望遠鏡、三脚、カメラ、交換レンズとどっさり持って来てしまったのが、ちょっと初心者にふさわしくありませんが、そこはコースの難易度を減らしてカバーします。

アプローチ

 大阪から夜行列車で富山へ。地鉄、ケーブル、バスと乗り継いで弥陀ヶ原で途中下車。そこから旧道を天狗平まで約3時間歩きました。たぶんこのコースはそんなに歩かれてないと思うけど、結構平坦で景色も変化に富んだなかなかいいコースですよ。たくさんの池塘が点在し、霧の中にワタスゲが揺れてとても幻想的な雰囲気を醸し出してくれます。こういう風景は、低山ハイクでは巡り合えません。高いところに来てよかったなあと実感させてくれます。途中の川を渡るところは雪もあり、そこでしばらくミソサザイの姿とさえずりを楽しみました。天狗平まできて、室堂までもうひとがんばりしようかと思ったらバスが来たのであっさり楽な方を選びました。
 で、室堂ターミナルに着いて、人ごみにビックリ。まるっきり観光地だったんですね。雪渓で山スキーをしてる人、登山装備の人、ハイヒールはいてる人ってもう様々な人がいます。なんか雰囲気こわれたなあという思いが半分、こういうにぎやかな所をベースとして登るんだからまあ安心だなというホッとした思いが半分というのが正直なところでした。

登山届

 ターミナルには登山届を出すところもありました。これまた初体験。項目を見るとやたらくわしくいろいろな項目が並んでいます。私のような簡単な登山では書けるところってホンの一部だけ。名前とか住所、連絡先、簡単なコースだけ書いて入れときました。なんか本格的に山に登るんだなあって感じになります。

 さて、評判の名水を水筒につめていざ出発。目指すは浄土山のライチョウ。でも、いきなり登る方向がわかりません。しばらく地図とガイドブックとコンパスを眺めてたんですが、結局、自然指導員の人に道を聞いてわかりました。うーむ前途多難ぢゃ。

いざ出発

 室堂山までは遊歩道を歩くだけで普通の観光客も歩けるような道です。そこから浄土山に向かう途中に雪渓があります。嬉しくなって、持ってきたフルーツの缶詰を雪の中で冷やし、その間、大きな岩で少しお昼寝。いやあ、いい気分。
 そこからは大きな岩ばかりの急な登り。手も使ってよじ登るところもあり、これまたささやかながら北アルプスの山を登ってるんだなあという気分。浄土山ではあっけなくライチョウ、しかも親子連れの姿を見ることができ、感激しましたね。ここは立山連峰を見渡せる眺めがいいところで、持ってきたストーブでお茶を沸かし、ティータイム。ここはわりと人が通らない静かなところなので、山っていいなあと一人で悦に入っておりました。

初めての山小屋

 ここまでは昼寝、休憩も入れて室堂平から約3〜4時間の行程です。まだ昼の3時にもなってませんが、山の本によると、山小屋へは早めに入るのが常識ということだったので、一の越山荘で山小屋泊まり初体験に挑戦することにしました。受け付けに行き、貼ってある料金表を見ると素泊まりから始まって1食付から3食付まで細かく分かれています。今日の晩御飯と明日の朝ご飯の2食つきだなと思ったけど、待てよ、明日は3000mの雄山山頂でご来光を見たいな、山小屋の朝ご飯って何時から始まるかも知らないし・・・と一思案。わかんなかったら聞くのが一番と、受け付けの人に聞くと、山頂までの往復はすぐだから、上でご来光を見て戻ってから朝ご飯は十分食べられるとのこと。そうやってる人も多いですよとのことで1泊2食付で申し込み、前金でお金を払います。夕食は5時、さすがに山小屋の夜は早いや。

 部屋は6畳ぐらいで布団がいっぱい積んでありました。先客は1組。挨拶をして荷物を置くと後からも親子連れがやってきて、結局、1畳に1人の割合です。時間が来ると小屋の人が呼びに来て食堂で夕食。この小屋は宿泊人数が多いので先に着いた人がまず食べる仕組みになっているようです。内容は学食のランチ程度。ま、こんなもんか。
 他の部屋では布団をしいてもう寝てる人もいるのでびっくり。まだ6時だぜ。後は暇なので同じ部屋の人と雑談。こういうのもなかなかいいですね。私は山については全く知識がないから、山の話題では聞いてるだけ。話を向けられて「いや、主目的は登山じゃなくてバードウォッチングなんですよ」と軽くかわしたつもりが珍しがられ、逆にいろいろ質問されることとなりました。
  みんな明日はご来光を雄山で迎えるということで早めに寝る支度。布団をしきつめ枕もとの帽子の中にヘッドランプと水筒を入れておきます。私は結構夜中に喉が乾くもんですから。ポケットザックには明日雄山に行くための用意を詰めてこれも枕元へ。早朝、暗い中、ごそごそしなくてもすぐに出発するためです。山小屋では消灯後は自前のヘッドランプの明かりだけが頼り。トイレのついでに外に出て夜空を見るともう信じられないぐらいの星が光っています。多すぎていつもは見分けられるおなじみの星座がわかりません。あまりにも寒いのですぐに中に入りましたが、短時間のうちに流れ星や人工衛星まで見ることができました。

3000m峰のご来光

 午前3時すぎからあちこちの部屋でごそごそ起き出す物音が聞こえます。私も4時前に起きて寒風よけにレインスーツを着込み、雄山へと出発。頂上からは神社から聞こえてくる太鼓の音。真っ暗な中、急な坂を懐中電灯やヘッドランプの光の筋が何本も走っています。これが一人だと心細い限りですが、みんな数珠つなぎ状態で登っていくので真っ暗の中でもまあ安心、1時間足らずで頂上につきました。そこにはコンクリート造りの立派な社務所があり、お守りなんか売っています。周りはご来光を待ちうける人でいっぱい。やがて雲海の中から現れた日の出の瞬間はホント感動的でした。なんたって、初体験だもんね。しかも3000mなんだもんね。でも、セーターを着込んでも寒かったーー。そこから少し離れて小高いところがあり、そこに並んでる人がいるのに気がつきました。500円払ったらそのてっぺんにある祠でお神酒をもらって御払いをしてくれるんだそうです。しかも、そここそ、ホントの3000m地点!!当然、500円払いましたがな。なかなか商魂たくましいね。この神社。
 かくして、私の北アルプス、3000m峰および、山小屋初体験は無事に終わり、ちょっぴり自信をつけて、以後、山登りの世界へと少しずつ足を踏み入れていくのでありました。


大阪=夜行急行=富山=富山地鉄=立山=ケーブル=美女平=バス=弥陀ヶ原

弥陀ヶ原--歩行約3時間+観察時間(?)--天狗平=バス=室堂ターミナル

室堂ターミナル--歩行約1時間--室堂山--歩行約40分--浄土山(ライチョウ観察)

浄土山--歩行約30分--一の越山荘(泊)--歩行約1時間--雄山--歩行約40分--一の越山荘

一の越山荘--歩行約1時間--室堂ターミナル

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