AITC公式ウェブサイト<保存文書9>
93.11. Word Talk (by Tomoki) 返信  引用 
名前:Tomoki    日付:8月15日(金) 22時42分
Tomoki: 今回は準備が大変だった。最初はいつもの通り5種類の語根を選んで「これでいいかな」なんて思っていたが、Pre-Test用に例文を探し始めると、例文どころか単語そのものが出ていない辞書があり、「こりゃ覚えても意味ないかな」と思い、もう一度語根を選び直した。その際に、3冊のタネ本を基に、これまで使われていない語根のリストを作った。これが時間を食った。そこからあらためて5種の語根を選び、何とか間に合わせた。
 今回は準備時間が少なかった(延長はしたけれど)ことと、発表が7回もあったことをどう思っているかききたい。
Yoko: 前回はPost-Testの結果に満足したが、今回は満足ではない。
Sue: Pre-Testでは手も足も出なかった。私にとってはなじみのない単語ばかりだった。
Yoko: 私が担当した語は難しかったが、聞き手に興味を持たせられたのでよかった。



114.Re: 11. Word Talk (by Tomoki)
名前:Mal    日付:8月23日(土) 0時7分
文字の配列で単語を捉える事は意味深いことだと思うけれど、
意味の側から単語を捉えてみたらどうでしょうか?
言葉は、その形(文字の配列)だけでなく、同時にその内面(単語の意味)も派生的に進化していってるように思います。簡単な単語であっても色々な難しい意味を持っていたり、会話で用いるだけの意味であったり書き物でしか用いない意味もあったり様々です。
Sueが言うようなunfamiliarな単語が増え過ぎてしまっては、持ち帰って学生に説明する意味合いも薄くなってしまうと思います。

同じ語根を持つ単語は同じ意味の派生の仕方をしていることもあったりしますし、このセッションの可能性は、まだまだ広いように思います(語源、意味源、《音源》)。
すべてを変えてしまう必要は全くないと思いますが+αのものを付け加えてはどうでしょうか?
直感的な意見で、学問的な意見でなくてすみません。


119.もう少し具体的にお願いします。
名前:Tomoki    日付:8月24日(日) 21時31分
Malの意見を読みましたが、よく分からないところがあるので、もう少し具体的に説明してください。

1.「意味の側から単語を捉える」とは、具体的にはセッションの中でどのような活動をするのでしょうか?

2.「言葉は、その形(文字の配列)だけでなく、同時にその内面(単語の意味)も派生的に進化していってるように思います。」とは、「どの単語も時間の経過と共に、一義ではなく多義になっていく」ということでしょうか?

3.「同じ意味の派生の仕方」というのは具体的にはどのようなことでしょうか?よく形容詞では日本語も英語も最初はいい意味で使われていたものが、悪い意味を帯びるとか(例、言語道断、happy)、その逆もあります(例、適当、sophisticated)。しかしながら、同じ語根を持っていても品詞が異なる単語があるわけですから(例、very, verify, verisimilitude)、品詞の枠を越えて同じ派生の仕方をするとは考えにくいのですが。

4.Malの提案を実現すると、このセッションにどのような目的(現在は3つあります。「過去のAITC」で確認してください)が新たに加わるのか、または、既存の3つのうちどの目的がより達成されやすくなるのかが、よく分かりません。

人の書いたものを引用して質問を作るのは、何か揚げ足取りみたいで好きではないのですが、厳密を期すためにこのような形にしました。また、よく分からないからそのままにしておこうかとも考えたのですが、せっかく提案をしてくれたので、議論を始めることにしました。AITCを新鮮な目で見た人の意見に何か改善のヒントがあるかもしれませんので。


122.ラテン語を使う人は居なくても英語は今も進化してる、という事かな
名前:Mal    日付:8月27日(水) 12時42分
う〜ん、具体的な答えになるか分かりませんが、
1,2について言えば
「新鮮な目」で初めに少し変だなと思ったとっかかりは、「ラテン語を使う人は居なくても英語は今も進化してるんじゃないのかなぁ」という発想です。毎年更新されてる時事英語辞典の中には同じスペルの単語であっても違う意味が書かれていることが多々あり、今も英単語が進化してるのが分かります。でも、その進化の方法は配列を変えるのには限界が生じてる事が多く、従来の単語が意味だけを変えてることが多いように思います(他に連語の単語化などありますが)。また、語源で理解すれば体系的に量を覚えられるけれど、多義的な単語の意味(質)を見落としてしまうのでは、と。今回わたしがそうだったのですが、例文であったり口語・文語の区別や類義語・対義語などそれ程提示できず、ただイメージだけを説明したような形になってしまいました。実際diluteのfigurative useまで説明しませんでした。
 セッションの組み立てとしては2種類のmini-lectureを用意します。初めのmini-lectureでは今まで通りの物を作成します。次のmini-lectureは、出来るだけたくさんの英英辞典を駆使して一つ単語(初めのmini-lectureの単語の一つを抽出)の意味を掘り下げていきます(例文、類義語などを多量に挙げる)。ただ、この時の抽出される単語は多義的で文字数の少ない方(play,veryなど)がベターなので、ある程度、限定する必要があります。その掘り下げられた意味は品詞を変えて派生した単語の意味に近かったりします(3の答にもなるかな)。

3について言うと
不確かな知識でごめんなさい。少ないですけど、そういった物が多少なりあったと思いますよ。−tributeの単語は−tributionになっても同じ構文を取ったり、意味の捉え方が似ていたと思うのですが。
確かライトハウス英和辞典に単語メモのような形でsuccessなどについて派生図で説明してたと思うのですが、あんなイメージでしょうか・・・。

4について言うと
2種類のmini-lectureをするので「口頭発表能力を伸ばす」を達成しやすくすると思います。また、「語彙力を高める」→「深い語彙力を高める」になるでしょうか・・。

http://www.markagent.com/


125.まずは訂正
名前:Tomoki    日付:8月27日(水) 22時27分
119番の投稿で例に出したhappyはsillyの間違いです。sillyは最初happyの意味だったのが、後にfoolishの意味になったのです。勘違いしていました。


128.前回提示した質問とMalからの回答を照らし合わせてみます。
名前:Tomoki    日付:8月28日(木) 22時21分
1.「セッションの組み立てとしては2種類のmini-lectureを用意します。初めのmini-lectureでは今まで通りの物を作成します。次のmini-lectureは、出来るだけたくさんの英英辞典を駆使して一つ単語(初めのmini-lectureの単語の一つを抽出)の意味を掘り下げていきます(例文、類義語などを多量に挙げる)。ただ、この時の抽出される単語は多義的で文字数の少ない方(play,veryなど)がベターなので、ある程度、限定する必要があります。」
 始めの部分は同じということなので、同一の語源をもつ複数の単語について話をして、次にその語源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り上げて、その単語の一つ一つの語義を解説する話をするわけですね。ここまでは分かりました。でも、なぜ文字数の少ない方がいいのでしょうか?(これは質問5とします。)

2.「同じスペルの単語であっても違う意味が書かれている」「従来の単語が意味だけを変えてる」という表現から、質問2に対する答はYesと解釈します。「英単語が進化している」とは「1)新たな語義が付加される 2)別の品詞として使用される(元は名詞なのに動詞として使われるようになるなど)」の両方を含むと考えていいですか?(質問6)
 また、「その進化の方法は配列を変えるのには限界が生じてる」のくだりがよく分かりません。「配列」とはNo.114の投稿からすると「綴り字」のことだと思われるのですが、「進化」「配列」とも定義せずに使用しているので、冒頭のくだりがよく分かりません。質問7とします。

3.僕の質問は「同じ意味の派生の仕方」とは何かということだったのですが、回答には「そういった物」という表現で受けてしまったので、未だにその具体例または定義が不明確です。後に続く「−tributeの単語は−tributionになっても同じ構文を取ったり、意味の捉え方が似ていた」という記述からすると、
He attributed the fire to the short circuit.

His attribution of the fire to the short circuit
の「文法関係」(主語・動詞・目的語等のつながり)が並行的であるということでしょうか?これを質問8とします。

4.「2種類のmini-lectureをするので「口頭発表能力を伸ばす」を達成しやすくすると思います。また、「語彙力を高める」→「深い語彙力を高める」になるでしょうか」これはよく分かりました。

ということで、新たに質問5〜8が生じましたので、回答をお願いします。6と8はYes/No Questionsなので答えやすいと思いますが、残り2つは記述式になるので、じっくり時間をかけて回答してもらって構いません。文章だけで理解し合うのは、なかなか大変ですね。何を訊いているのかが明確な質問を作るのも結構難しいものです。


132.知識ないもんで、毎度感覚的(経験的?)な意見に終始して恐縮です
名前:Mal    日付:9月7日(日) 14時59分
遅ればせながら個々の質問にお答えします。

質問5の答え
文字数が少ない単語はdis-,in-,-ableなどで修飾される前で、語根の意味をより直接的に表してると思うからです。
 また、文字数の少ない別の品詞になる前の様々な意味を“内包している”ように思います。例えば、successはsuccessfulとsuccessiveの二つの形容詞に派生しますが、前者はsuccessの「成功」というイメージを、後者はsuccessの「連続」というイメージをそれぞれ継承してます。逆にsuccessはそれら二つのイメージを“内包している”と考えます。様々な意味・イメージを“内包している”という考え方から一つの単語の意味を掘り下げる、ということは重要だと考えました。
(ただ少なすぎてもボヤけた意味であったり、偏った意味を持つ場合も多々あります。その辺は、ある程度文字数から離れて厳選する必要があると思います。)

質問6の答え
YESです

質問7の答え
「文字の配列」=綴り字
「進化」=英単語全体の経時的な変遷の在り様、と捉えて下さい
「その進化の方法は配列を変えるのには限界が生じてる」のくだりについて、
私の勝手な思い込みの部分があるかもしれませんが、全くオリジナルな綴りを持った単語というのは時事英語に入ってこないように思うのですよ。新たな綴り方を増やすには飽和状態(語源の側の飽和か英語使用者の記憶の限界かは分かりませんが)に達していると思うのです。

質問8の答え
基本的にYesです。
「同じ意味の派生の仕方」というのは「文法関係」(主語・動詞・目的語等のつながり)が並行的であるということもありますが、加えて次のような意味も含ませたかったのです。
質問5の答えで使ったsuccessの例を用いれば、successfulとsuccessiveの二つの形容詞に派生します。ここで、insuccessという言葉があった時insuccessfulとinsuccessiveという派生語を持ち、successfulとsuccessiveの修飾された意味を持つという考え方です。「そういった物」というのは、この考え方が出来る単語のことです。

「文章だけで理解し合うのは、なかなか大変ですね。」
私自身の国語力の無さと考え方の抽象さがあいまってTOMOKIさんに煩わしい思いをさせてすみません。でも私は、こういった筆談の方が理解が深められて好きです。実際の会話でなかなかタイミング良く、適切な言葉を使えない所がありますから・・・それじゃまずいんですけどね。

↓英語教材を実際に使って効果を調べているページがあったので参考までに載せておきます。私もこういったページを見て厳選した教材を使ってみようかなぁ、どうなんでしょう・・・

http://www.lifecity.ne.jp/genesis/watereden/english/index.html


136.Malの考えを再構成するとこんな感じ?(1)
名前:Tomoki    日付:9月12日(金) 23時41分
これまでのやりとりの中で、Malの最初の意見の細部が分かってきましたので、ここで一度議論を整理する意味で、その全体を以下に書いてみます。黒い字は最初の書き込みにあった文章で、青い字は私からの質問に答える形でMalが補足した文章です。赤い字は私がMalに質問した時の書き込みからとった部分です。全文はデータ量が多くて一度に送信できないので、分割して書き込みます。

<blockquote>文字の配列で単語を捉える事は意味深いことだと思うけれど、意味の側から単語を捉えてみたらどうでしょうか(=同一の語源をもつ複数の単語について話をして、次にその語源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り上げて、その単語の一つ一つの語義を解説する話をする)?

言葉は、その形(文字の配列=綴り字)だけでなく、同時にその内面(単語の意味)も派生的に進化していってる(=どの単語も時間の経過と共に、一義ではなく多義になっていく)ように思います。簡単な単語であっても色々な難しい意味を持っていたり、会話で用いるだけの意味であったり書き物でしか用いない意味もあったり様々です。

「新鮮な目」で初めに少し変だなと思ったとっかかりは、「ラテン語を使う人は居なくても英語は今も進化してるんじゃないのかなぁ」という発想です。毎年更新されてる時事英語辞典の中には同じスペルの単語であっても違う意味が書かれていることが多々あり、今も英単語が進化してる(=1)新たな語義が付加される 2)別の品詞として使用される(元は名詞なのに動詞として使われるようになるなど))のが分かります。でも、その進化(=英単語全体の経時的な変遷の在り様)の方法は配列を変えるのには限界が生じてる(=全くオリジナルな綴りを持った単語というのは時事英語に入ってこないように思うのですよ。新たな綴り方を増やすには飽和状態(語源の側の飽和か英語使用者の記憶の限界かは分かりませんが)に達している)事が多く、従来の単語が意味だけを変えてることが多いように思います(他に連語の単語化などありますが)。また、語源で理解すれば体系的に量を覚えられるけれど、多義的な単語の意味(質)を見落としてしまうのでは、と。今回わたしがそうだったのですが、例文であったり口語・文語の区別や類義語・対義語などそれ程提示できず、ただイメージだけを説明したような形になってしまいました。実際diluteのfigurative useまで説明しませんでした。
</blockquote>


137.Malの考えを再構成するとこんな感じ?(2)
名前:Tomoki    日付:9月12日(金) 23時44分
Sueが言うようなunfamiliarな単語が増え過ぎてしまっては、持ち帰って学生に説明する意味合いも薄くなってしまうと思います。

同じ語根を持つ単語は同じ意味の派生の仕方(=「文法関係」(主語・動詞・目的語等のつながり)が並行的であるということもありますが、加えて次のような意味も含ませたかったのです。

successの例を用いれば、successfulとsuccessiveの二つの形容詞に派生します。ここで、insuccessという言葉があった時insuccessfulとinsuccessiveという派生語を持ち、successfulとsuccessiveの修飾された意味を持つという考え方です。)をしていることもあったりしますし、このセッションの可能性は、まだまだ広いように思います(語源、意味源、《音源》)。

すべてを変えてしまう必要は全くないと思いますが+αのものを付け加えてはどうでしょうか?

セッションの組み立てとしては2種類のmini-lectureを用意します。初めのmini-lectureでは今まで通りの物を作成します。次のmini-lectureは、出来るだけたくさんの英英辞典を駆使して一つ単語(初めのmini-lectureの単語の一つを抽出)の意味を掘り下げていきます(例文、類義語などを多量に挙げる)。ただ、この時の抽出される単語は多義的で文字数の少ない方(play,veryなど)がベターなので、(文字数が少ない単語はdis-,in-,-ableなどで修飾される前で、語根の意味をより直接的に表してると思うからです。

 また、文字数の少ない別の品詞になる前の様々な意味を“内包している”ように思います。例えば、successはsuccessfulとsuccessiveの二つの形容詞に派生しますが、前者はsuccessの「成功」というイメージを、後者はsuccessの「連続」というイメージをそれぞれ継承してます。逆にsuccessはそれら二つのイメージを“内包している”と考えます。様々な意味・イメージを“内包している”という考え方から一つの単語の意味を掘り下げる、ということは重要だと考えました。)ある程度、限定する必要があります。その掘り下げられた意味は品詞を変えて派生した単語の意味に近かったりします。(ただ少なすぎてもボヤけた意味であったり、偏った意味を持つ場合も多々あります。その辺は、ある程度文字数から離れて厳選する必要があると思います。)

2種類のmini-lectureをするので「口頭発表能力を伸ばす」を達成しやすくすると思います。また、「語彙力を高める」→「深い語彙力を高める」になるでしょうか。

以上の内容で、Malの言わんとしたことが表されていれば、これについて私自身の考えを述べてみたいと思います。


138.Re: 11. Word Talk (by Tomoki)
名前:Mal    日付:9月14日(日) 18時45分
=の所のほとんどが≒ですが、私の言わんとしたことが表されていると思います。Tomokiさんの考えを聞かせてください。
 余談ですが、十五夜の次は十六夜(いざよい)、その次の日を立待ち(立って待ってれば月が前日より遅く出ることから)、また次の日を居待ち、またその次の日を寝待ちというそうです。辞書の上では同じ意味でも二つとして同じ響きの言葉がないのは不思議ですね。


143.私の考えです。
名前:Tomoki    日付:9月24日(水) 22時5分
9月21日に文化祭が終わり、やっと返信を書く時間ができました。私の考えを述べてみたいと思います。

論点1.
文字の配列で単語を捉える事は意味深いことだと思うけれど、意味の側から単語を捉えてみたらどうでしょうか(=同一の語源をもつ複数の単語について話をして、次にその語源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り上げて、その単語の一つ一つの語義を解説する話をする)?

 ここの部分はMalの「提案骨子」に当たると思います。しかしこの提案は、現状のWord Talkでもすでに実現されていると思います。例えば、割り当てられた語根が-ceed/-cede(=to go)だった時のことを考えてみます。まず、-ceed/-cedeの例としてexceed, precede, recede, succeedについて取り上げることとします。-ceed/-cede= to goであることから、最初の3例の意味は、それぞれexceed= to go beyond, precede= to go before, recede= to go backになることを説明することができます。次に、succeedの意味を説明する時に、suc(<sub)=under, afterとceed= to goより、succeed= to go afterというsucceedの原義が説明できます。B succeeds A in the alphabet.の例では、その原義が使われています。これで語源からなぜsucceedがto followという意味を持つに至ったのかが理解できます。
 この時点でWord Talkを聞いているpartnerの方は、当然「なぜsucceed= to achieve what is attemptedなのか」という疑問が出てきます。ここでsucceedの語義をto achieve what one goes afterとすることで、2つ目の語義も語根から説明することができます。
 このように現状のWord Talkの形式でもMalの提案にある「語源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り上げて、その単語の一つ一つの語義を解説する話をする」という部分は実現されていると思います。

論点2.
語源で理解すれば体系的に量を覚えられるけれど、多義的な単語の意味(質)を見落としてしまうのでは、と。今回わたしがそうだったのですが、例文であったり口語・文語の区別や類義語・対義語などそれ程提示できず、ただイメージだけを説明したような形になってしまいました。実際diluteのfigurative useまで説明しませんでした。

 ここは「提案理由」に当たるところだと思います。この部分に関しては、私は逆の見方をしています。Malも認める通り、一つの単語は時間の経過とともに多義(2つ以上の語義を持つこと)的になります。そのような多義語の全体像をどう捉えるかが、ここでの焦点だと思います。Malはそれを個々の語義に対する例文や類義語・対義語を提示することによって、その語の持つ全体像を捉えようとしていると思います。
 しかしこのやり方では、個々の語義同士の関係がはっきりしないのではないでしょうか。例えば、succeedの語義@「継承する」A「成功する」を説明するのに、例文や類義語・対義語を提示しても、「succeedには2つの意味がある」ということは分かっても、その2つの語義の関係が見えないうちは、その単語の全体像はつかめたとは言えないと思うのです。というのは、単語の全体像には、各語義だけでなく、各語義間の関係も含まれると思うからです。「各語義間の関係」を別の言葉で言い換えれば、「語義を広げてきた歴史的過程」と言ってもいいでしょう。Malの言葉で言えば「『単語の意味の派生的進化』の過程」になると思います。
 これを語源を用いて説明すれば、すっきりと行きます。再びsucceedを例に取ります。本来の意味がto go afterであることから@の意味ができ、to go afterに意味の限定がかかってto achieve what one goes afterという意味(A)になったと説明できます。したがって、歴史的には@の意味のほうがAより先に現れています。(CD-ROM版のThe Oxford English Dictionary Second Editionによると、@の意味は1375年が初出ですが、Aの意味は1450年が初出です。)
 このように語源を有効に活用したほうが、むしろ多義的な単語の全体像を把握するための近道になると思います。最近の辞書での語源情報の充実傾向も、「語源情報は単語の全体像を把握するのに有益である」という考えを反映しているものと思います。

以上、Malの提案に対する私の考えを述べてみました。結論として、MalがWord Talkに求めていることは、現行のやり方でも実現できていると私は思いますが、いかがでしょうか?


144.「できる」と「している」の明確な区別をお願いします
名前:Mal    日付:9月28日(日) 11時44分
Tomokiさんは論点1の答えでは「実現されている」で結んで、論点2では「反映している」と結んでいて、最後は「実現できている」で結んでいます。結局、Tomokiさんはどちらだと思われているんですか?
 私は「できる」と「している」は大きく違うように思います。「できる」だけを強調してしまったら、個々人で色々取り組むことは「できた」けれど、結局、みんなで何を「していた」のかが分からない、というようなことにはならないでしょうか・・・?
 それから、今回の一連の書き込みの意図の根底には、「目的を特化した形の、もっとアクの強い個性的なセッションがあってもいいのでは?」という思いがありました。アクは強すぎても弱すぎてもいけないとは思いますが、弱すぎてはセッションの枠組みの意味がボヤけてしまうと思います。
 確かに論点1と論点2については私も「できている」とは思いますが、全員が「している」のレベルではないように思います。私は「色々できる」セッションよりも「何か特定の事をしている」ようなセッションを増やした方が参加者の達成感にも繋がるし次のセッションへのより高い意欲にも繋がると思いますが、いかがでしょうか?


147.回答(1)
名前:Tomoki    日付:10月4日(土) 18時23分
Malの返信にはいくつもの論点が含まれているので、一つ一つ取り上げていきます。まずは、次の部分に対する答です。


Tomokiさんは論点1の答えでは「実現されている」で結んで、
論点2では「反映している」と結んでいて、最後は「実現でき
ている」で結んでいます。結局、Tomokiさんはどちらだと思
われているんですか?


一般的にどんな主張も主語と述語からなる文で表現されます。そこでMalによって引用された3つの述語の主語を確認しながら、私の考えを振り返ってみましょう。引用された主語とその述語の関係をはっきりさせるため、それ以外の部分は、すべて( )内に入れて引用します。

<論点1>

(このように現状のWord Talkの形式でもMalの提案にある「語
源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り上げて、
その単語の一つ一つの語義を解説する話をする」という)部分は
実現されている(と思います)。


<論点2>

(最近の辞書での語源情報の)充実傾向も、(「語源情報は単語の
全体像を把握するのに有益である」という考えを)反映している
(ものと思います)。


<結び>

(結論として、MalがWord Talkに求めている)ことは、(現行の
やり方でも)実現できている(と私は思いますが、いかがでしょう
か?)


これらの主述関係を押さえた上で、上の引用文の核心を抽出すると、次のようになります。
 論点1での「という」という語句は同格を表しているので、これは


(1)「語源を同じくする複数の単語の中から多義な単語を一つ取り
上げて、その単語の一つ一つの語義を解説する話をする」は実現され
ている


と言うことと同じです。
 論点2での「という」も同格を導きます。「も」は主格を表す助詞ですので、結局、


(2)(最近の辞書での語源情報の)充実傾向は、「語源情報は単語
の全体像を把握するのに有益である」を反映している


ということと同じです。
 結びの部分は


(3)MalがWord Talkに求めていることは、実現できている


と、単純化することができます。

 ここでMalからの質問に答えます。(1)(2)(3)すべてが私の考えになります。なぜなら(1)(2)(3)は互いに矛盾せずに成立するからです。
 なお、論点2でのポイントは、


このように語源を有効に活用したほうが、むしろ多義的な単語の全
体像を把握するための近道になると思います。


の部分です。(2)の文はその主張を補強するために出した論証(argument)です。

今回までのやりとりで、私がWord Talkに込めた思いと、MalがWord Talkに求めたものが同じだったと理解しています。Malも次のように、


確かに論点1と論点2については私も「できている」とは思います、、、


と記しているので、記事114番に書かれていた提案に対する私の回答は、理解してもらえたと思っています。


148.回答(2)−1
名前:Tomoki    日付:10月13日(月) 22時0分
次にMalの返信のタイトルにもなっている次の論点

「できる」と「している」の明確な区別をお願いします

について考えたいと思います。Malは次のようにも述べています。

 私は「できる」と「している」は大きく違うように思います。「できる」だけを強調してしまったら、個々人で色々取り組むことは「できた」けれど、結局、みんなで何を「していた」のかが分からない、というようなことにはならないでしょうか・・・?

そこで、私が「〜できる」と表現した部分を取り出してみると、以下の6例ありました。そのうちの(1)〜(5)は、すべて「語源情報を使えば、これこれのことができる」という文脈で使用されています。比較しやすいように、>>>以下でその部分だけをつなげてみました。青字の部分は「語源情報を使えば」の部分に相当します。
(1)-ceed/-cede= to goであることから、最初の3例の意味は、それぞれexceed= to go beyond, precede= to go before, recede= to go backになることを説明することができます。
>>>-ceed/-cede= to goであることから、、、、説明することができます。

(2)次に、succeedの意味を説明する時に、suc(<sub)=under, afterとceed= to goより、succeed= to go afterというsucceedの原義が説明できます。
>>>suc(<sub)=under, afterとceed= to goより、、、、説明できます。


(3)これで語源からなぜsucceedがto followという意味を持つに至ったのかが理解できます。
>>>語源から、、、理解できます。

(4)ここでsucceedの語義をto achieve what one goes afterとすることで、2つ目の語義も語根から説明することができます。
>>>語根から説明することができます。

(5)本来の意味がto go afterであることから@の意味ができ、to go afterに意味の限定がかかってto achieve what one goes afterという意味(A)になったと説明できます。
>>>本来の意味がto go afterであることから、、、説明できます。

6例目は結論部分に見られます。
(6)結論として、MalがWord Talkに求めていることは、現行のやり方でも実現できている

このうち、Malが問題にしているのは(1)〜(5)の部分だと思います。なぜならば、(1)〜(5)の「〜できます」の主語は、すべて「私たちは」つまり「AITC参加者は」とすることができるからです。(6)の場合、「できている」の主語は「ことは」の部分なので、(7)のように、「実現できている」を「実現している」と変えても、実質的に大きな意味の違いは生じません。

(7)結論として、MalがWord Talkに求めていることは、現行のやり方でも実現している


149.回答(2)−2
名前:Tomoki    日付:10月13日(月) 22時1分
 そして、(1)〜(5)の文に対して、「私たちは〜できる」と「私たちは〜している」とは違うというMalの主張が以下のように表明されました。

 確かに論点1と論点2については私も「できている」とは思いますが、全員が「している」のレベルではないように思います。

 この主張が妥当かどうかを、事実に照らして検証してみます。まず(1)についてです。Word Talkでは各人に異なる語根の資料を割り当てるほか、全員に共通の接頭辞一覧表を配布しています。そこでWord Talkでの説明は、基本的に接頭辞+語根でなされています。従って、(1)に関しては、「できる」だけではなく「している」レベルにあります。
 (2)についても、(1)と同様に与えられた資料を基に、このような説明を「しています」。
 (3)についても、(1)(2)のような説明をされれば、私たちの一般的な知的レベルを考慮すれば、無理なく理解「している」レベルにあります。
 (4)(5)のような意味の特殊化(意味がある特定の方向にのみ変化した例)は、通常、配付した資料に記載されていますので、私たちの大半は説明しています。ただし、見落としたり、Word Talkの1 round あたりの時間が短いことからこの部分を割愛する例も見られます。従って、このような例は「できる」が「していない」こともあります。
 以上の通り、私の事実認識では私が「できる」と表現した部分は、「している」と置き換えても実質的には事実と矛盾しないと思います。換言すれば、(一般論では「できる」と「している」は異なりますが)私が「できる」と表記した文脈(1)〜(3)に限って言えば、「できる」と「している」を明確に区別する必要はないと思います。また(4)(5)についても、事実上、大半の人は「している」レベルにあります。
 次に

「できる」だけを強調してしまったら、個々人で色々取り組むことは「できた」けれど、結局、みんなで何を「していた」のかが分からない、というようなことにはならないでしょうか・・・?

の部分について考えてみます。ここはWord Talkという特定のセッションについて議論をする場なので(もしそうでなくてセッション一般についてのことであれば、新たにスレッドを立てて議論を呼びかけてほしいと思います)、その枠組みの中で話を進めます。
 上の引用でMalの言う「いろいろ取り組む」というのは、Word Talkでは次のようなことになります。
1)接頭辞や語根の知識を使って、単語の意味を説明すること。
2)接頭辞や語根の知識を使って、単語の意味を理解すること。
3)接頭辞や語根の知識を使って、語彙を増やすこと。
4)簡潔で要を得た口頭説明技術を向上すること。
5)効果的な視覚資料を作成すること。
そしてみんなで「している」のは、まさにこれらのことです。私は「みんなで何をしていたのかが分からない」というようなことはないと思います。
 また、1)-5)については、各自でできるレベルが異なる(=能力差がある)ので、表面的にはやっていることが違って見えることもあるでしょう。例えば5)については、絵を描く人もいれば、文字しか書かない人もいるでしょう。でも表面的にやっていることが違っていても、みんなで同じ目標に向かっているので、やっていることは同じと言えます。つまり、みんなで何をやっているかが分かっています。


150.回答(3)
名前:Tomoki    日付:10月13日(月) 22時14分
 最後に以下の部分についてです。

それから、今回の一連の書き込みの意図の根底には、「目的を特化した形の、もっとアクの強い個性的なセッションがあってもいいのでは?」という思いがありました。アクは強すぎても弱すぎてもいけないとは思いますが、弱すぎてはセッションの枠組みの意味がボヤけてしまうと思います。
 確かに論点1と論点2については私も「できている」とは思いますが、全員が「している」のレベルではないように思います。私は「色々できる」セッションよりも「何か特定の事をしている」ようなセッションを増やした方が参加者の達成感にも繋がるし次のセッションへのより高い意欲にも繋がると思いますが、いかがでしょうか?
 

 回答(2)−2でも同じことを言いましたが、この部分はセッション一般についてのMalの考えを述べたものだと思います。この場所はWord Talkという特定のセッションについて話し合う場ですので、新たにスレッドを立てたほうがいいと思います。またそのほうがMalと私以外の人も議論に参加しやすくなり、より多くの考えが交換されると思います。
 議論を進める上で一言付け加えると、セッションでの「アク」というのがよく分かりません。普通の言葉で定義しておくか、具体例を挙げる(Loud SpeakerとRadio Dramaはどちらがアクが強いのか?)かしないと、議論に入れないと思います。

92.10. Warm-Up (3) (by Uta) 返信  引用 
名前:Tomoki    日付:8月15日(金) 22時34分
Tom: いい教材だった。
Yoko: いい教材だった。



108.個人的には好きです。
名前:Tomoki    日付:8月19日(火) 13時45分
Warm-Upに歌を使うというのは、個人的には好きです。今回行った別のWarm-Upに比べて、「学習色」は薄い、つまり「直接何か英語の力が付く」という感じではありませんが、それでも選曲によってはその欠点を補ってあまりある効果が期待できると思います。

1.最近の曲を使った場合、知らない曲を覚えることができます。
我々が聴く曲はどうしても昔のなじみのある曲に偏りがちです。今回Song Outline Listeningが成立しなかったことを見ても、歌に関する限り、入ってくる情報が減りつつあるのだと思います。

2.今回のように授業にも使える歌を使った場合は、仕事で生かすことができます。
せっかく多くの英語教師が集まっているのですから、お互いの情報を共有することをもっと意識的に行ってもいいのではないでしょうか。

3.歌うこと自体がリラックス効果をもたらします。
話すことより歌うことの方が、より多くの酸素摂取を必要とします。ITCのように、ずっと室内で活動をする場合は運動に代わるものとしてこのような活動を取り入れることで、体を目覚めさせることも必要だと思います。まさにWaking Upセッションです。

4.参加者間の一体感を高めます。
みんなで声をそろえて歌うのは、一人で歌うのとは別の喜びがあります。前回のITC(AITC 29)で合奏をしたとき、なんだか異様に盛り上がったのも、みんなで一つの音楽作品を完成させたという喜びだと思います。可能ならば2部合唱くらいやると、もっと盛り上がるでしょう。毎朝練習して、パーティーで本番を迎えるというのもいいですね。(でも聴衆がいませんが)
 また、このようにして、Warm-Upの歌がこのときのITCのいわばテーマソングとして記憶されれば、後になってこの回のAITCを話題にするときに便利だと思います。KITC 37(1999年3月)では、テーマソングを決めて、朝に限らずセッションの区切りごとに1日何度も歌っていました。ITC初参加者の多いKITCで、雰囲気を盛り上げるために必要であるという点を割り引いても、私自身十分楽しめたので、AITCでも試す価値はあるように感じられます。

次回のTA会で話し合ってみたいと思います。

91.9. Jigsaw Story (by Uta) 返信  引用 
名前:Tomoki    日付:8月15日(金) 22時33分
Yoko: 教材がよかった。質問もよかった。
Michiyo: 私たちのグループでは個々の断片(piece)を説明するのに時間がかかりすぎてしまった。
Mal: もっと手短に説明しなければならなかった。
Tomoki: Post Itが役に立った。今後このセッションの準備をする人は、参加人数分のPost Itを用意しておくとよい。
Tom: 私たちのグループでは、一番先に来そうな断片から議論を始めてうまくいった。



99.Re: 9. Jigsaw Story (by Uta)
名前:andy    日付:8月17日(日) 14時19分
とても面白い話で、まさにこの活動にぴったりだと思った。
ただ、うちのグループ(交友館)が著しく時間をオーバーしてしまった。それはなぜか理由をかんがえてみると:
1)リーディングに時間を割きすぎた。もう少し早くディスカッションをはじめられたのでは。
2)格ピースの説明に時間をかけすぎた。もう少し「要約」でもいいのではないか? 今回のストーリーでは細かい部分が鍵になるということだったので、やむをえないかもしれないが、活動の最初の説明で担当者がそれをやや強調しすぎたようにも感じた。
3)12ピースというのはやや多すぎるのでは?という気もする。ただし、これはストーリーをどこで切れるかということにも関係するので、単純に少なくしろとも言えない。
4)単にグループメンバーの要領がわるかった(?)
といったところでしょうか?
次回担当する方はちょっと参考にしてみてください。


105.進行方法を固定してみては
名前:Tomoki    日付:8月18日(月) 15時10分
各断片の順序を復元するためのgroup discussionのやり方は、2通りあります。
1)全員が自分の断片について、その要約を述べてから、順序について議論をする。
2)最初の断片になりそうなものを言ってもらい、それに続くものを自発的に出してもらう。
私はどちらも経験していますが、2)のやり方のほうがうまくいくようです。今回も早く終わったグループは2)を採用しました。これは議論の流れが分かりやすく、その分正解に早くたどり着けるのだと思います。このセッションでは2)の方法でやることをセッションの一部に含めてしまっていいのではないでしょうか?

もう1つ、技術的な問題として、各断片をメモする時にノートを使うよりはPost Itを使ったほうが、順番を並べ替える時にすごく楽です。これもセッションの手順の一部に含めてしまって、担当者は人数分のPost Itを用意するようにしたらどうでしょうか?

今回の素材は長さ・難易度とも手ごろで、大変楽しく参加できました。同じような素材があれば、もう一度やってみたいと思います。