クマによる人身事故事例

 奥多摩山地では,ここ6年程の間に,ツキノワグマによる人間への傷害事例が6件も発生しています(ただしそれ以前の過去数十年間では,人身事故は記録されていないそうです).その内5件では,被害者は深い傷を負っています. また最近では,クマによる牧畜業への加害事例も発生しています.クマの生息密度がそう高いとは考えられない奥多摩山地において,なぜこのように事故が頻発するのか,またその際の適切な対応策とはどのようなものであるのか,地域の鳥獣担当者の頭を悩ませています.

※一部山梨県での情報を含みます

  1. 1993年7月17日 19:00前
    東京都奥多摩町 水根沢の民家庭先
    成人女性
    5日から断続的に,民家軒下のミツバチの巣を狙って複数のツキノワグマが出没.17日に現れた際,民家内の女性に気が付き,窓ガラスごしに揺さぶりをかける.(注意: この事例は,クマが人間に向かってきたものの直接的な人身事故には至っていない)
  2. 1993年7月11日 9:00頃
    山梨県丹波山村 ムジナ沢
    成人男性
    沢を遡行中の釣り人が,進行方向にツキノワグマがいることに気が付いたが,遡行を強行.背部からツキノワグマに襲われかみつかれる.
  3. 1993年9月19日 9:00頃
    東京都奥多摩町 水根沢下流
    43才男性
    友人と共に釣りをしていたところ,背後の斜面からツキノワグマが転げるように男性に接触,その際シャツの左腕部分を10cmほど引き裂く.
  4. 1995年6月27日 18:30頃
    東京都奥多摩町 境の民家付近
    60才男性
    帰宅のため山林内の山道を歩行中,自宅から50m程の地点でツキノワグマが飛び出し,男性の頭部をはたいて逃走した.額を縫う,全治1ヶ月の重傷.
  5. 1995年8月2日 10:45頃
    東京都奥多摩町 石尾根縦走路
    32才男性
    登山中に親子グマに遭遇.母グマが男性の顔面をはたいて子グマと共に去る.男性は全治10日間の割創を右顔面に負う.
  6. 1998年5月18日 14:30頃
    山梨県塩山市 大菩薩峠
    67才男性
    沢内でウドなどの山菜を採取中に,突然ツキノワグマに襲われ,顔,腕,足などを咬まれる.右頬の肉を取られるなどの大けがを負う.
  7. 1998年6月5日 7:00頃
    65才男性
    東京都奥多摩町 中山沢
    ワサビ田へ作業に出向く途中,親子グマに遭遇し母グマに襲われる.当時,男性はラジオを携帯しボリュームをあげていた.額,頭部,腕などに全治14日間の重傷.

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