ゴングは1974年の「YOU」(ラジオ・ノーム・インヴィジブル三部作の最終章)を最後にリーダーだったデヴィッド・アレンとジリ・スマイスが脱退してしまう。残されたメンバーのピエール・ムーラン、マイク・ハウレット、ディディエ・マレエブは「YOU」にも参加していたミレーユ・バウアー、ブノワ・ムーランらと再起をかけて制作されたのが75年の「シャマール」でした。まだアレン時代のゴング・サウンドを多少引きずった部分も感じられるが、以後のリズム主体のインスト・ジャズ・ロックサウンドへと変貌していく前兆が現れていた。その後マイク・ハウレットも抜けてしまいピエール・ムーランが完全にリーダーシップをとる形になり76年にアラン・ホールズワースを迎えて「ガズーズ!」を発表した後、今度は只一人残っていたゴングのオリジナル・メンバーだったディディエ・マレエブも抜けしまい、ハンスフォード・ロウを迎えて78年に「エクスプレッソII」を発表。そしてアリスタに移籍を期にバンド名もピエール・ムーランズ・ゴングと改め79年「ダウンウインド」「タイム・イズ・ザ・キー」80年「ライヴ」81年「リーヴ・イット・オープン」と順調にアルバムを発表。その後ピエール・ムーランはスウェーデンのバンド「トリビュート」に加わるも、86年に「BREAKTHROUGH」88年「SECOND
WIND」を出した後しばらく音沙汰が無くなってしまう。メンバーだったハンスフォード・ロウとボン・ロザガにベノワ・ムーランらはムーランズ・ゴングのサウンドを継承する形で新しく「ゴングジラ」というバンドを結成し順調に活動を続けています。
しかしムーランは90年代後半にはブランドXや再編されたデヴィッド・アレンのゴングに参加し、21世紀に入り再びムーランズ・ゴングとして活動をはじめ02年にロシアにて現地のミュージシャンと「ペンタナイン」というアルバムを録音し、05年に発表するも残念なことに同年5月3日病のため52歳の若さで他界してしまいました。
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GONG「Shamal」 まだS.ヒレッジがゲスト扱いで参加していて、アレン時代の音も感じさせる部分があるが、プロデュースがニック・メイソンだったりし、リズムが一段と強化され多彩なビートを聴かせ、アレン・ゴングとの違いは明確。 |
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GONG「GAZEUSE !」 ギターにはA.ホールズワースを迎えて、ミレーユ・バウアー(ヴァイブ)の活躍もすばらしく完全にパーカッション主体のインスト・サウンドへと変貌した傑作。 |
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GONG「EXPRESSO II」 4人のメンバーはベースの他全員パーカッション奏者。ゲストにA.ホールズワースにミック・テイラーやダリル・ウェイが参加し、ムーランズ・ゴングサウンドが確立された作品。 |
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Pierre Moerlen's GONG「Downwind」 アリスタ移籍、ピエール名義の第一弾。いきなりポップな唄物に驚かされるが、M.オールドフィールド、S.ウィンウッド、D.ロックウッド等多彩なゲスト陣の活躍が光る傑作。 |
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Pierre Moerlen's GONG「Time Is The Key」 新たにピート・レマーが参加し、ダンサブルなナンバーも増えた組曲風な作りになっている。この時期ピエールもマイク・オールドフィールドのアルバムにやツアーに参加していてお互いが影響しあっているようだ。 |
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Pierre Moerlen's GONG「LIVE」 「Downwind」発表直後のツアーのライヴ。「Shamal」〜「Downwind」までのアルバムから選曲。D.マレエブ、M.オールドフィールドがゲストで登場する「Downwind」や中盤のドラム・ソロ等ライブならではの迫力満点な演奏。 |
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Pierre Moerlen's GONG「Leve It Open」 タイトル曲は17分超のプログレッシブな大作。ラテン・ファンク色を強めた曲もあり、4人のまとまりあるサウンドがすばらしい。 |
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Pierre Moerlen's GONG「Second Wind」 タイトルからも意気込みが感じられる。この後長いブランクに入ってしまうのが信じられない力作。 |
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Pierre Moerlen's GONG「FULL CIRCLE LIVE 1988」 「Second Wind」録音後のツアーの貴重なライヴ。新曲の他、過去ナンバーも再演され充実した演奏を聞くことが出来る。 |
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Pierre Moerlen's GONG「PENTANINE」 02年ロシアにて現地のミュージシャンと録音したピエール・ムーランズ・ゴング最後のアルバム。プログレ〜フュージョン風ファンク・チューンとピエールらしい充実したゴング・サウンドが楽しめる秀作に仕上がってます。 |
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GONG「Live In Sherwood Forest '75」 D.アレン、G.スマイス脱退後の75年のツアーから11月25日ノッティンガム大学でのライブ。「ユー」と「シャマール」からの楽曲の他S.ヒレッジのソロ「フィッシュ・ライジング」からのナンバーも演奏され、最強のメンバーによる貴重な熱演が堪能できる! |
[ GONG / Steve Hillage ]