ALESIS  ion

久々にsynthを買いました。  ALESIS の IONです。  synth関係のHPをやってはいますが、最近はsynthを買うこともなくて、 新品synthを買うのはほんとに久しぶりです。

analog modeling synthも初代のnord leadが出てからかれこれ10年にもなるわけ で、がまんして今までほとんど買わなかったかいがあったというか、 これだけの操作性、機能、性能、音質、ルックスを備えていて、実売価格10万円前後 と申し分のないお手ごろ感のあるsynthです。 DSP synthなので機能のversion up等 も期待できるかも知れません。

IONの設計思想には過去のanalog synthに対するオマージュというようなものが 他社の製品に比べてより多くあるようにマニュアルを眺めていた時に感じた点、 (開発陣の analog synthに対する造詣の深さと勝手に解釈しました....... 実際のところ 開発は andromedaの設計チームにより行われたそうです。) 、 そのルックス等、琴線にふれる部分がいくつもありそれらがIONを購入する動機となりました。

analog modeling synthというとなんだかヨーロッパ勢におおされ気味で、 hard synthを始め soft synthも台頭していますが、IONはUSA / hard synthの逆襲と いった側面も感じとれるsynthだと思います。

多くのhard タイプの modering synthが汎用DSPを使用しているのに対して、 IONは自社のカスタムDSPを使用しています。 andromedaが同じく自社のカスタム analog ASICを使用しているのと同様、ここらへんが他社と異なるスタンスを持ってい るとこでしょうか。  このdigital時代にあって新世代のanalog poly synthを開発し たという他社にはない実績、ノウハウが少なからずIONに継承されているようにも思えます。

実際少しいじった限りでもよいsynthというか質の高さを感じます。  なんといっても操作にストレスを感じさせない配慮というのがよいです。  価格は安いがけっして入門用の 機能を落とした synthではなく、重装備の synthといった印象です。  実際、機能の簡略化等のはしょりのない正統派、超重装備の synthです。

昔の soft modulatorタイプの analog synthと比べると、modulatorの反応の違いが歴然です。  高速のCPUを使っているのであたりまえといってしまえばそれまでですがこの差は大きいですね。

IONは modular タイプの synthではありませんが、かなり柔軟な構造をしていますの で結果、音色キャラクターの幅が広いように思います。  ここらへんの安全さ(動作の安定性をとる)よりも柔軟さ、過激さを優先する仕様というのがいかに も海外synthといった感じです。 

そんなわけでここではIONについていくつか書いてみたいと思います。


・外観 / 筺体


一見アルミ筺体にも見えますが、鉄板です。
IONは、The Wave, Andromeda,Neuron等の筺体デザインをされた Axel Hartmann氏 のデザインですが それらの機種よりIONはまとまりのある現実的(あそびの少ない) なデザインになっていると思います。

あえて難点を挙げれば、このアルミ風パネルにALESISの黒ロゴと、IONのロゴがなんだか 浮いてしまってバランスが悪い点です。


第一印象は無印良品がsynthを作ればこんな感じかなあというようなデザイン。 つまみは意外と少なく32個ですが、SWが70個ほどあり、ほとんどのSWはLEDがついて います。

octave SWのLEDはoctaveの値によって明るさが変化するとか、 filter、oscillator等に modulationがかかっている場合該当するblockに対してLEDが点灯するとかよく考えられた 仕様となっています。

小型SWなのでデザイン的にはうるさくありませんが多少押しにくいです。  あとは耐久性がちょっと心配というか、戻りの悪いSWがいくつかありました。  つまみの形状はなんだか秋月の安つまみに似ていてたいへん親近感を覚えますが、 こちらのものはラバー処理されています。

3っある wheelもラバー処理されておりおまけとして、wheelはLEDにより光り、変調深度 によりLEDの明るさが変化します。  Wheelが3っある(第2の mod wheel)というのは X-Y padのようなハデさはないですが、 現実的で使い易いです。

液晶は160*160 dotのものですが、キャラクターの液晶などに比べれば情報量は多い ので全然よいです。 よく考えて見ればよくある240*64dotのLCDの約1.6倍の表示エリア を持っているわけです。

この液晶 縦長の形状もあいまって、なぜか初代のMACの画面のようなたたずまいでよい感じです。  難点は筺体パネルが傾斜しておらず、真っ平らなのと液晶のバックライトがLED タイプのようなので 設置位置によっては少しLCDがみずらいことです。 (真上から見れば下図のように良好ですが)

* 160*160の液晶解像度という意味ではMACというよりpalmですね。

* つまみが意外に少ない原因は、IONでは基本的に analog synthでいうところのinitial CV (manual CV)関係とMIX関係のparameterをパネルに出して、 modulation関係の amount level等は matrix modulationとして一環管理してLCD上で設定するようになって いるからです。

* また LFO, EGは複数存在しますが、 つまみで出しているparameter類は1基分におさえて SWにより複数に対応するようにしています。

hard wiredされているmodulation parameterは filterの EG modとkey tracking、および EGの velocity tracking だけです。  考えてみれば mini moog, prophet5, ob8等のperformance synthの場合は hard wiredされている 要素は上記と同じような物で、 IONの場合はLCDおよび matrix modulation systemを持っているので modulation関係は LCD editにすることによりつまみを減らせるわけです。

各つまみはロータリーエンコーダでできていて、値の相対指定を行います。  昔の programmble analog synthでは program を呼び出すと パネルのつまみの位置と実際の値が一致 しないという問題がありましたが、IONではつまみは相対し指定であり、つまみをいじると該当する セクションのパラメータを一括表示するようになっているので、つまみが少ないにもかかわらず比較的 editに際してストレスを感じません。

LCDの表示できる情報量はそれほど多くないので全パラメータがつねに把握できるわけではありません が、折衷案としてはよい方法でしょう。

理想的には nord lead3のようにエンコーダ脇にレベル 表示用のLEDがついているとさらによいのでしょうが、その場合も値の大枠がわかればいい場合はよい のですがすがそうでない場合を考えると、理想的には各エンコーダ周りに液晶表示がついているような 仕様がいいのでしょうか。

各セクションに変調がかかっているかいないかの区別ができるように各セクションにはそれを識別できる 為のLEDがついているとか、octave の transposeに対して値が大きくなるとLEDの輝度が変化するとか、 つまみを動かさなくてもそのセクションのparameter情報を表示するための SWがついているとかちょっと した親切設計がなされています。

programの選択はエンコーダか +/-10もしくは +/-1 ステップの SWで行う為少々使いにくいです。  program Noを直接選択したり、1画面に複数のprogram nameが出ていてそこから選択とか、bank / program no 方式のpatch select的なボタンが複数配置されているわけではないので。

IONの場合は bankが4っに分かれていてそれぞれ128 program対応なので結構な音色数になるのでもう少し program管理がしやすい方法があるべきでしょう。

また欲をいえば parameterが多いセクションはカーソルの移動(page移動)がやはり煩雑になる場合が あるので、LCD edit部分にエンコーダーが2っとカーソル移動用にもう1個ついていればより操作性があが ったのではないかと思います。

そうでなければ同時に6 parameter程度を表示editできる仕様にしておけばpageの移動は最小限に押さえ られたと思います。 現実に160*160のLCDを使っているので十分可能なのですが、デザイン優先でこう なったのでしょう。

LCD部のエンコーダーはクリックタイプなのでいっきに値を可変する場合めんどくさいという部分があ ります。


* close up 1
* close up 2
* close up 3

最後の写真のように全LEDを点灯させることが可能です。 これにはおどろきました。  消費電力が多そうです....。  まあこれは特殊モードの時のみなのですが。  このモードの時、OSの versionチェックや OSの更新がMIDI経由で行えます。  またIONのユニークな機能として内蔵OSのプログラムコードを exclusiveでバルクダン プできる機能があります。



・内部



早速中身を空けてみました。

電源部はこのたいへん小さな、SW電源でまかなっているようです。  基板の幅がAC インレットソケットとたいしてかわりません。




上記SW電源出力に対して、4系統の3端子レギュレータがついているようです。  写真ではLM317が見えます。 レギュレータについているスタッドは放熱のおまじない?  andromedaでも同じようにスタッドがついていました。




KBD付近。 FATARの鍵盤でしょうか。 おもり無しの鍵盤のようです。
鍵盤のタッチはよくも悪くもない感じですが、比較的弾きやすいと思います。  prophet600などに使われていた昔の松下のゴム接点鍵盤などに比べるとはるかによいです。

FATARのこのタイプの鍵盤はスプリングの取り付け方が上記の松下の物とは異なる 為か、安鍵盤でもタッチがそれほど悪くないのだと思います。

鍵盤のランクとしてはやはり安物で 20万クラスのKBDとは明らかに違います。
同じFATARのこのタイプの鍵盤でももうワンランク上のおもりつきのもの(QSクラス)がついていたらと思います。

メインの基板に比べて、PANEL基板は大きいです。 Wheelは3個搭載。




底板についているベークの基板は 3っの Wheel 照明用 LED基板です。
main基板は驚くほど小さいです。
ALESIS製品を購入するのは HR-16, Quadra synth(S4 plus)についで3回目 なのですが、毎回基板の小ささ、IC等の部品の少なさには驚かされます。

ラックバージョンとか簡単にだせそうですね。(MICRO IONとか.....)  実際IONは 8voiceなので拡張用のつまみなどがついていないラックを安価に出せば 需要はあると思います。 




CPU 部分のクローズアップです。  andromedaと同様 coldfireを使用。
54MhzのMOTOROLA coldfire MCF5206e (50MIPS@54MHz)
ちなみに16voiceのandromedaは75MIPS@90MhzのMCF5307Fを使用。




mainのDSP block付近
FPGAと9個のDSP device。(1個あた48MIPSだそうですが)
DSP chip AL3101 ( ALESIS "1K" ) は 1個で1voice担当*8とFX用に独立した1個の計9個
このためFXのvocoder機能とsynth機能は同時に使えるのでしょう。
このDSP chipはおそらくALESISの他製品でも使われているのでしょう。

JACKはCLIFFのようです。
ASEと書かれたいたずら?のシルク。 SCI製品へのオマージュにみえてしまいますが。  ASEとはなんでしょう? alesis sound engin?


・manual


IONのsynth機能はlow cost analog modeling synthでありながら本格的な重装備の機能で、 analog synthとして見た場合機能的には当時のsuper polyphonic synthであった Emu Audityや、 oberheim Xpander、ARP Chromaといった機種の機能をはるかに凌駕するレベルです。

おそらくvoice数を8voiceに抑えたことによって 1voiceあたりの DSP powerに余裕を持たせている こと、またmodulator関係の処理にも高速のCPUを使っていることが重装備を可能にしているのでしょう。

マニュアルは約100pageでかなりあっさりしており必要最小限のことしか書かれていません。  これでも基本的な事項ではこまることはないにせよ、少し残念というか 図的説明もほとんどありま せんし、細かい部分では説明不足です。( andromedaのマニュアルは300ページにも及ぶ細かい事項 も網羅している内容なのに) まじめに書けばこれの2倍くらいにはなってしまうでしょう。  これだけすごいsynthなのですからもう少し掘り下げたマニュアルの充実を望みたいです。

programのpatch listや system exclusive listなども一切ついていません。 ALESISの siteにはpatch listだけはあるようですが。

それ以前に購入した段階では日本語マニュアルさえも同梱されてはいませんでした。  後で送ってはもらいましたが..... 発売されてからだいぶたっているはずなのに。



・構成/parameter


設計思想?

IONは ALESISの quadra synthシリーズ, Andromedaに続く、3番目のsynthなのですが、 quadra synthの開発者であるマーカス ライル氏が oberheim Xpanderの開発者でもあった のでquadra synthの modulation systemまわりには Xpanderのノウハウが使われているように思います。  具体的には matrix modulation / tracking gen.等ですが、これはquadra synth以降の andromedaやこのIONにも 継承されており、また IONの oscillator仕様も後期oberheimの仕様を継承した、oscillatorの RAMP波の shapeが連続可変だったり、 voice unisonの考え方が MARION MSR-2と同じだったりします。

そんなこともあって個人的にはこのION、oberheimのまつえ、さらには 94年発売の悲運?のsynth MARION MSR-2 の正統な後継機種にも思えてしまいますが....。(音のキャラクターということでなくあくまで機能とかの設計思想 についてですが) 実際はそれ以上に他の機種の機能をも吸収しているsynthであります。

過去のanalog synthのオマージュという (単に参考にしているだけかも知れませんが) 意味では 個人的な想像ではありますが filterの直列、並列接続、post filter mixer等のイメージは Emuの audityを 想像してしまいます。  また oscillatorが2基でなく3基であるという点、filterの種類の名称などにそれを感じとることができます。  その他ちょっとしたparameterが過去の analog synthの機能を思い出させてくれてうれしくなります。

かつて emuの vintage keysが昔の analog keyboardの波形sampleを多数搭載したKBDだったように、 このIONは波形ということでなく過去のanalog synthの機能が集約されているとでもいえばいいのでしょうか。

個人的に反応してしまったのは master effectorのprogramの1っにstring phaserというのがあって、 マニュアルのその項の説明には classic analog string synthsizerに搭載されていた14段 phaserをシミュレートし たというくだりで、これにはいたく感激してしまいました。

この14段 phaserというのは ARP quadraの 14段 transistor network phaserのことを指します。  andromedaの VCO,VCFはMOOG 921、904を模したものだとかで、このstring phaserはARPを模したものだと か、そういう要素を仕様にとりいれてくれる、ALESISの姿勢に対してリスペクトしてしまいます。

ここらへんは USAの synth DIYerの層の厚さなどとも無関係ではないような気もします。  少なくも analog synth時代は USAのsynthが世界をリードしていたという過去の歴史があるわけで、 そこらへんのバックグラウンドを持って IONは登場したのでしょう。

andromedaが登場した時もそんな思いを感じました。  andromedaの場合は audio信号系は 2VCO/2VCF構成で filterは 2 typeに限定されていますが、 IONは DSP synthなので filterなどはより柔軟に多くの種類を搭載できることが andromedaには ない可能性なのかも知れません。 メーカがどのくらいVoice Enginの機能UP/性能UP等に取り組ん でくれるのか期待したいところです。

performance型の analog synthの場合、parameterをしぼりこんで最適化する方法と持てる要素は できるだけ取り入れてしまおうというタイプが存在しましたがIONは後者のタイプで、 IONの 1 programの voice parameterは約230個程度です。

後者の場合は持てる機能をたくさん内包していても本体の操作性に難があって editor softなど を使わない限りこまかくいじる気になれない場合が多いのですが IONはその部分がだいぶ改善さ れているように思いました。 操作性はanalog synthの真骨頂な部分ですので、このように操作性 と多機能のバランスが考えられている部分にメーカの誠意を感じます。




*

parameter等の詳細は ALESISの siteで manualがdownloadできます。  以下は概略と個人的な感想など...。



  構成

* 8 VOICE *
* 3 Oscillator (Sin/Ramp/Pulse) 
* shape可変( 3波とも)
* linear FM / Exponential FM
* Soft / Hard sync
* Noise(W/P) / Ring modulator
* stereo 外部入力
* 2 filter(20 mode / 直列/並列接続)
* pri filter mix & filter1/2 balance / post filter mix& pan
* 1 amplifire
* 2 LFO ( syncable )
* 3 EG ( attack/ decay / sustain level / sustain time / Release ) loopable
* EG slope type(linear/+exp/-exp)
* matrix modulation patch *12
* Tracking generator
* Voice Effect ( Drive... overdrive/distortion/comp/limitter等)
* Sample & Hold

* Master Effect(phaser/chorus/flanger/vocoder)
* 4 part multi timbre / portament
* Arpeggiator
* Voice unison (2/4/8 voice)
* analog drift parameter
* stereo main out put & streo aux out put / or 4 ch mono out put



  Oscillator


*

1 voiceあたり 3 Oscillator構成で、波形はSin, Ramp, Pulse波の3系統出力を持ち、それぞれの波形はshape parameterで波形を変形できます。 Pulse波は通常のduty変化、RAMP波は三角波から上昇鋸波、 下降鋸波の範囲で波形が変化します。 ちょうどKORG MS20のLFOのように。

変わっているのは正弦波も shape parameterで波形が変化します。(下図)  単純な正弦波でなく倍音が付加されるので他の波形と違った独特のキャラクターを 持ち、oscillator変調系、filter、最終段のdrive effect等での相互効果が期待できます。

1っのOscillatorの各波形は別々にミックスすることはできず波形選択され1波形のみがミックスされる 仕様です。

oscillatorの発振周波数の下限は8Hzくらいまでは発振可能のようで、 これはIONの鍵盤の最低key C2=65Hzから oscillatorの octave SWの下限 3octave下の値と なっているようです。 一方LFOは1KHzが最大発振周波数となります。  このため oscillator, LFO供お互いの守備範囲まで乗りいれが可能といったところで しょうか。

oscillatorの発振周波数の上限は IONの鍵盤の最高key C6に octave SWの3octaveを足した 値のC9で約 4.2KHzまでが発振範囲でそれを超えるといくら modulationをかけても反応 しません。

以下に 鋸波のC4とC9の波形を示します。( filter bypass )


* C9


* C4

* oscillatorの fine tuneの解像度は 半音の 1/200 、0.5 centです。
* linear FMにおいてFM level 100%時 変調指数(modulation INDEX ) M=32
* exponential FMにおいて FM level 100%時 +/-6octaveのピッチ変化
* oscillator発振範囲 -C1からC9 (約8Hzから4.2KHz)



* 正弦波とshape parameterによる変化波形

* 正弦波のshape 最大時の波形の倍音構成 ---> *
 3次、5次倍音のみ含んでいます。


* また 正弦波の shape最大値と soft syncを併用すると
 上図のような formant waveっぽい波形も作りだせます --> *



* RAMP波の shaperによる三角波の生成



* RAMP波の shaperによる上昇、下降 鋸波



* 矩形波と shaperによるパルス波


RAMP波が shape可変であるので 矩形波のPWMのようなこともできますが最終的には倍音が矩形波のPWM のように劇的に変化するわけでもないのでRAMP波のLFOによる shape modulation効果はあまり期待できません。

* ちなみに矩形波のPWMというのはPWMによる倍音の変化がわずかにピッチをずらした2っの鋸波発振器をMIX時 した時の倍音変化とよく似ているためコーラス効果が得られるというものです。

* 周波数がわずかにずれた波形をMIXすると両者の位相がわずかづつずれていくのでそれにより干渉が起こり合 成波形の振幅は変化するわけでこの際、倍音を多く含む波形をMIXすると倍音の振幅レベルが周期的に変化します。  その倍音変化というのは 倍音を多く含む単一波形に対して 複数の notch filterをかけ、notch 周波数を 周期的に動かす動作で得られる変化に似ているわけです。

RAMP波のshape可変では そもそもRAMP波が鋸波の形状から少し三角波の形状に近づくと途端に倍音そのものが大幅 に減ってしまうため上記の倍音の干渉効果は得られません。(倍音の変化はけっこうはげしいのですが大元のレベル が小さいので結果的には変化がわからない) これに対して矩形波のPWMの場合は倍音の量というか1/fカーブの倍音の 包絡線の大枠はあまり変動しない状態で、上記の notch filterに似た効果が現れるので劇的な倍音変化と感じられ るわけです。

RAMP波の shape可変のメリットは別のところにあるようでたとえば、shape parameter max時は エッジが立っておりオーバーシュート気味になっています。 この状態から少しshape parameter を動かし傾きをゆるやかにする間の倍音変化は顕著なので、鋸波としてのバリエーションが得られます。  音域によって鋸波のキャラクターを変えるといったことも可能でしょう。

2台のoscillatorを使って上昇鋸波と下降鋸波を作ってミックスさせると、単純に考えれば 位相が180度異なるので出力結果は0になりそうなものですが実際は0にならずPulse波が生成され ます。 同じピッチに設定しても位相が完全にそろわないのでのその位相差が結果パルス幅となり ます。

また両者のピッチをわずかにずらせば両波形の時間軸に対する位置関係は時間とともにどんどん開いていき両波形は 逆相関係にあるのでその距離差がパルス幅となりそれが時間とともに増大していくのでPWMもど きの反応になります。

両者の開き幅がピッチの高い方の波長を越えれば、パルス幅は0にリセットされ上記動作がくりかえ されるわけで、ピッチの低い方の周波数でPWMがかったように聞こえます。 またこのPWMの 周期は両者の周波数差を反映するので高い音程に対して周期が早く、低い音程に対して周期が 長くなるという PWMにKBD trackingがかかるのが特徴です。

本来の矩形波のPWMという点においてはIONの場合、パルス幅は0にならないように処理されるので 矩形波本来のPWMと上記のPWMとはニュアンスが異なりPWMのバリエーションが得られます。

このような動作は矩形波のPWMにLFOの鋸波を使って変調度を調整すれば実現できそうにも思え ますが、IONのPWMではパルス幅は0にならないように処理されるのでパルス幅0を通過してくりかえす 動作にはなりません。


Oscillatorは hard / soft syncと Oscillator出力によるFM変調が可能で FM変調はlinear / exponential FMに対応しています。 sync, FMは oscillatorが3っある為いくつかのバリエーションが可能です。


* SYNC

1: Hard Sync


* slave oscillatorが鋸波の hard sync波形



* slave oscillatorが三角波の hard sync波形



* master が RAMP波、slaveが三角波の hard sync波形

* 上記波形のスペクトル ---> *
 純粋な三角波に対して偶数倍音が付加されています。



* slaveが正弦波の hard sync波形

* 上記波形のスペクトル ---> *
 高次の倍音が減少した鋸波といった感じ。
 MINI MOOGの RAMP波のような形。



* slaveが正弦波の hard sync波形 master oscillatorを 1 octave上げた時

* 上記波形のスペクトル ---> *
 反転全波整流波形になりました。。



* slaveが正弦波の hard sync波形 master oscillatorを 2 octave上げた時
* 鋸波に近い波形になりました。
 傾斜部分のカーブが鋸波とは異なるのでこれも鋸波のバリエーション
 となるでしょう。


hard syncは master oscillatorのRAMP波のマイナス最大値レベル( 波形の開始位置 ) でslave oscillator波形がリセットされるようです。

正弦波の進行は マイナスの進行方向が正なので、上記の正弦波のhard syncの図でもわかるように正弦波がリセット されると波形の再出発はマイナスから開始されます。 この部分が注意点です。



2: Soft Sync

hard syncが強制同期なのに対して、soft syncの本来の動作は master oscillatorのリセット信号が slave oscillatorに入っても slave oscillatorの振幅がある値以上に無い場合は同期しないというも ので、目的としては master、slave oscillator間の周波数比が割り切れる関係にある時( octaveとか 5度の関係にある時 )、波形を変形させないで oscillator間のビートを取る為のものです。

IONのsoft syncは master oscillatorがマイナス最大値レベル(つまりsyncのいタイミング)に 達すると slave oscillatorの波形が逆転して反対方向に進むという動作をします。

この動作は実は CEMの VCO chip CEM3340の hard sync (CEM3340の hard syncは通常のhard syncと異なる) の動作に大変近いものです。


* slave oscillatorが三角波の soft sync波形
 slave oscillatorが syncタイミングで反転動作しています。




* slave oscillatorが正弦波の soft sync波形
 同様にslave oscillatorが syncタイミングで反転動作しています。

* 上記波形のスペクトル ---> *
 奇数倍音が主ですが2次倍音も少し存在しています。




* 上記のmaster oscillatorを約1octave高くした時

* 奇数倍音が引っ込み,偶数倍音があがってきています。
 slave oscillatorが全波整流されて master oscillator pitchの波形が生成
 されています。 このsyncの原理を考えれば当然の動作結果ですが
 おもしろいです。(sync位置によって位相は180度変化します)




* 上記のmaster oscillatorを約2octave高くした時
* 正弦波の振幅があがりきらないところで反転するので
 三角波みたいになってしまいました。




syncの組み合わせとして

* OSC1(master)-->OSC2(slave)
* OSC1(master)-->OSC2(slave) & OSC1(master)-->OSC3(slave)

という2タイプが用意されています。 どちらの場合も masterはOSC1です。


各oscillatorは ピッチをあわせても(octave , fine, semitoneを同じくしても) 完全に位相レベルまでそろう わけではありません。 これが原因してか複数のoscillatorをピッチを合わせて 鳴らす際にはkey ONのタイミングによって位相差変動幅がまちまちになる為合成波形の形状振幅に影響がでます。  (ピッチは完全にあっているのでKey ONのタイミングごとに位相はロックされます)

* 位相の不揃いは始めoscillatorがフリーランしているからおこるのではないかと思っていましたが、 故意に打鍵1回ごとに位相が完全に一致しないよう、決められた値で設定されるようです。  この為変動幅はまちまちでなく2値でした。(当然180度位相がずれて干渉して0レベルになるということは ないわけです)

analog synthですと波形を変形せず oscillator間のピッチを完全に位相レベルまで合わせたい時に soft syncを使うわけですが、IONの soft syncは上記のように 多くのanalog synthの soft syncとは 異なるエッジが発生しないという意味での soft syncなので、この用途で soft syncを使うと逆に波形 が意に反して変化してしまいます。

IONではこの用途においては hard syncを用いることで対処します。  すなわち ピッチに関するパラメータで周波数的には両oscillatorのピッチを完全にあわせこんでおいて、 hard syncをかけてやれば波形の変形はほとんどなく両者が同期することになります。 

* analog synthにおいては soft syncというとはじめに説明した動作を指すことが一般的かと 思いますが、このIONのようにエッジが発生しない syncということで soft syncという 使い方をする場合もあるようです。 また MOOG/ROLANDのように syncroの強さ具合という意味で strong / weak という表現を使うメーカもあり、 SSM , CEM などのメーカは MOOG/ROLANDと 同じ動作に対して hard / soft ということばを使っています。

* このためことばの厳密な統一性がないのが現状で若干混乱してしまいますが、IONと同様 nord modularなどもエッジが発生しない syncと意味でsoft syncという名を使用しているようです。

そもそもIONのように位相がロックできるoscillatorには本来の意味のsoft syncというのは必要ない わけで、上記のようにエッジが発生しないsyncという意味でのsoft syncになるわけです。  ちなみに同じALESISの andromedaのsoft syncは 純analog synthゆえ本来の意味でのsoft syncと なります。


* だれが先にこれらのことばを使いだしたかということになってきますが、MOOGが hard / weak syncということばを使いだしたのが MOOG 921VCOからで、SSMが hard / soft syncということばを使い だしたのが SSM2030 VCO chipからだったのではないかと思います。 どちらも1975年前後でしょうか。  hard /soft もしくは strong / weakの両 syncを備えた analog synthは実際はわずかな機種しか存在 しません。

* SSMでいうところの hard / strong syncや MOOGの strong / weak sync というのは最終的に波形をリ セットするという目的においては一緒です。 これに対して IONの soft syncというのは波形を急激に リセットするのでなく方向反転させるのですからまったく別の作用なわけです。  analog synthのおい てこのような用途のsyncを soft syncといういいかたを通常はしないは analog synthの VCOのほとんど が reset型と呼ばれる鋸波を源波形として発生する方式を採用している為です。  上記のCEM3340は三角波を源波形として発振する方式なので IONと同じような syncとなりますが、 CEMではこれを基本的には hard syncと呼んでいます。



音源としてはoscillatorの他にRing modulatorとNoiseおよび外部stereo入力を装備。  ring modulatorは osc1とosc2が対象で波形セレクターで選ばれた波形に反応します。

* ring modulator 波形例 (4象現)
* post filter mixerに変調をかけた AM変調波形例 (2象現)



* FM

linear FMと exponential FMの両モードを装備しています。  linear FMとは変調深度が低い範囲であれば変調をかけてもキャリア発振器のピッチが変化し ないすなわち、変調具合を可変しても発振ピッチは変化せず音色のみが変化します。  それに対して exponential FMは変調深度に応じてピッチと音色が同時に変化してしまいます。

* linear FMの場合、変調深度を上げていっても実際は基音のピッチは変化しないのですが倍音 のレベルの方があがってしまうので全体ではピッチが変化したように感じます。


* lin FM ... FM変調しても基音(上図のいちばん大きい山)は動かない。


* Exp FM ...FM変調すると基音(上図のいちばん大きい山)のピッチが上昇してしまう。

FMの組み合わせとして、

* OSC2(mod)---> OSC1(car)
* OSC3(mod)---> OSC1(car) <---- OSC2(mod)
* OSC3(mod)-->OSC2(mod)-->OSC1(car)

という3タイプが用意されています。 どの場合もOSC1がキャリアとなります。
OSC3(mod)-->OSC2(mod)-->OSC1(car)の場合self modulation的効果が期待でき、 変調度を上げていくとノイズを作りだせます。

たとえば OSC3(1')  OSC2(8')  OSC1(8') それぞれ正弦波で変調度最大のlinear FM の場合ホワイトノイズ になります。 またこの際キャリアの波形を変えるとノイズのキャラクターも変化します。

* OSC3(1')  OSC2(8')  OSC1(8') 正弦波時
* OSC3(1')  OSC2(8')  OSC1(8') OSC1三角波時

同じピッチにしてもoscillatorが位相レベルまで合致しないので digital FM synthのようなきっちりとした FM合成はできない感じがします。 ちょっといじった限りでは oscillator間の微妙な位相差が生じているので  Key ONのタイミングによって両oscillatorの波形の位相がそろわずその結果の干渉によって合成波形の 振幅が変化してしまったりします。

syncをかけて oscillator間をロックしてもこんだは源波形が変形してしまうようでうまくいきません。  これは sync時はOSC1がマスターで、FM時は OSC1がキャリアになるためおかしな動作になるような気 がします。

oscillator出力の self feedbackなどができる仕様ではないので(OSC3でOSC2がmodできるので代用はできそう ですが)どちらにせよ本格的なFM音源というわけではなくあくまで analog synthの FMということなのでしょう からこの程度でいいのかも知れませんが。

FMは 正弦波のみが対象ではなく、oscillatorの波形セレクトで選択された波形が、キャリア、 モジュレータの対象になります。

* linear FM のいくつかの波形(安定してる時の図)。


* キャリア/モジュレータ周波数比 1:1 変調深度小


* キャリア/モジュレータ周波数比 1:1 変調深度大


* キャリア/モジュレータ周波数比 1:3


* キャリア/モジュレータ周波数比 1:2



・ Analog Drift parameter

通常は oscillator間の octave , fine, semitoneを同じにすれば、打鍵時両者の波形に わずかな位相差は生じるものの発振周波数は完全に一致しますので位相はロックされます。

voice drift parameterの値を上げていくと打鍵ごとにoscillator 1に対して oscilator 2 の周波数が微妙に始めは上昇、次の打鍵で下降といったことをくりかえすように動作するようです。

またこの微妙なピッチの変動幅は時間によってゆらぎかつ、上昇幅、下降幅の比も変化する ようで さらに打鍵ごとにピッチが上下するのではなく、上昇のみの方向または下降のみ の方向で打鍵ごとにその幅のみが変化するというような状態にまで移行し、時間と供に また始めの状態にもどっていきます。

このparameterはpartごとで独立しています。



  Pre filter mixer


*

filter前段の audio mixerです。  入力は OSC1,OSC2, OSC3, ring, noise, ext sigとなります。  通常のmixerと異なる部分は各音源出力をfilter1とfilter2に分配する量を指定する balanceというparameterを搭載しています。 mixer出力に対してのbalanceでなくて 個々の音源出力に対して指定できるのがポイントです。 ただし全体量は各mix level で決まります。

つまり 各 ch ごとに filter 1 / 2に対してのsend levelがついた mixerといった感じ でしょうか。

外部入力は L/R audio in jackからの信号が対象ですがこれは特にstereo云々という ことではなく単に2ch分の信号入力と思った方がよいでしょう。 L ch in 、R ch in それぞれに対して他の音源同様、level と filter1,2に対する balanceを持っています。

外部入力をstereo的に扱いたければ、filter1にL信号、filter2にR信号という配分に してあがれば filter以降 amp block等のルートは stereo出力仕様なので最終的な L,R outに対してstereoで出力できることになります。

また外部入力信号の出力先は IONが multi timbreであるため各partごとに上記 input level balanceが独立して設定できます。 このため part1をL信号に割り当て、part2をR信号に 割り当てるといったことも可能です。

外部入力に対する注意点としては外部入力にはanalog的な減衰器がついていないようです。  このため mixerのレベルを調節してもオーバーロードした信号は波形が変化せず、 歪んだ波形のままレベルのみが増減します。

pre filter mixerという名の通り機能上は audio mixerなのですが、mix levelに対して matrix modulationがかけられるので、analog synth にたとえれば stereo 仕様の 6VCA と考えることができます。

audio帯域の信号を発生させられるmodulator(LFO)を接続してAM変調もできますし、 levelのKBD/velocity tracking、 cross fade、などもできるわけです。  またEGを接続して2nd VCAとして使うこともできます。



  Filter


*

1 voiceあたり20種類の mode( ver1.05時点 ) を持つ filterを2系統装備しています。  2っのfilterは通常パラレル接続ですが、 filter1の出力を filter2の入力に mixすることができるので シリーズ接続も可能な構成となっています。

filter modulationはデフォルトで EG modulationと KBD trackのみ。 

* filter type ( ver1.05 )

 * 00: bypass
 * 01: moog 4pole
 * 02: ob 2pole LP
 * 03: ob 2pole BP
 * 04: ob 2pole HP
 * 05: ARP 4pole
 * 06: TB303 3pole
 * 07: JP 4pole
 * 08: 8pole LP
 * 09: op 4pole HP
 * 10: 8ve dual BP (2pole BP *2 cutoff差1octave)
 * 11: 6pole BP
 * 12: phaser warp (8段 allpass filter)
 * 13: comb filter 1
 * 14: comb filter 2
 * 15: comb filter 3
 * 16: comb filter 4
 * 17: vocal formant 1
 * 18: vocal formant 2
 * 19: vocal formant 3
 * 20: 2pole HP+ 2pole LP (band width可変)

オリジナルのマニュアルでは filterは16種類ですが、 Ver1.05 の Voice Enginでは 上記のように20種類に増えています。 あとは有名ところでは たとえば EmuのSSM2040 , KORGの正帰還VCFのエミュレーションあたりを望みたいです。

comb filterとvocal formant filterがあることによって soundに幅ができる感じです。  またfilterが2基あって並/直列接続できるメリットは大きいです。

filter offset modeによって 2っのfilterの cutoffが 指定されたoffsetをもちながら 連動して動きます。 filterの直列接続の際は両者がoffset分のseparation, bandwidthを持ったfilterとなるわけです。 つまりpole位置がそろっていない肩特性 の2段カーブになったfilterを作れるわけです。

offset mode時は filter1に加わるmodulation 要素はfilter2にも同時に加わります。  この際 filter2に加わる modulation要素は filter2のみに作用します。  要はMOOGのFILTER COUPLLERのような機能です。


IONはfilterの種類が豊富なのでことばではなかなかわかりにくいので、 以下に各filterの波形、 F特のグラフを示します。

注意項目としては cutoff全開でも filterによって filterの出力レベルは異なります。  また manualのcutoff parameterがmaxでも filter タイプによって cutoff周波数は異なります。

ARP, TB filterは入力レベルによって歪みが発生するようになっているようです。  その他の filterは基本的には歪まないようです。

moog 4pole LP と op 4pole HP filterは自己発振可能です。 発振可能帯域はおおむね300Hzから5KHzくらい まで。 GAINは極端に下がりますが8KHzぐらいまではかろうじて発振しているようです。 


* moog 4pole LP *


* Fc全開 resonance=0


* resonance大

このfilterは resonance maxで発振します。
ただし発振の引き金となる若干のノイズ成分やなんらかの信号、過渡的な変化がfilterに入力されないと発振しません。


* ob 2pole LP *


* Fc全開


* resonance大

ob 2pole filterは resonanceをmaxにしても発振しません。
また LP は 入力信号に対して出力信号は位相が180度ずれています。
基本的に正帰還タイプであるため resonanceを上げても通過帯域のゲインは減少しません。

analog の state variable filterと同様このfilterは HPと BP, BPとLPの位相差は90度、 HPとLPの位相差は 180度あります。



* ARP 4pole LP *


* Fc全開 mixer 出力大


* ARP Fc全開 mixer 出力 小

他のfilterと違い同じoscillator信号レベルでもクリップしやすくなっています。  また 少しHPF効果も入っていますので cutoff全開でも oscillatorの元の波形イメージ を保てません。

* 入力レベルの大きい正弦波入力時 ---> *
* 正弦波を入れても入力が大きいと歪んでいます。
 非対称ひずみなので偶数倍音が発生しています。
 filterとして利用せず soft clipperとしての利用方法もあるかも知れません。

* 上記の入力でcutoffを下げて resonanceを上げた時 ---> *
 高次の倍音が増幅される感じでしょうか。


* resonance大

クリップ、HPF効果によって中高域にくせのあるfilterとなっています。
本来は resonanceを上げると通過帯域が大きく減少するタイプのfilter
のシミュレーションですが、その効果は緩和されているようです。



* TB303 3pole LP *


* Fc全開 resonance=0

soft clipがかかっているようです。

* 入力レベルの大きい正弦波入力時 ---> *
* こちらは対称ひずみなので奇数倍音が発生しています。
 これも同様に soft clipperとしての利用方法もあるかも知れません。
 ARPとTB filterで 非対称、対称、両歪みがえられるというわけです。


* resonance大

負帰還タイプなので resonanceを上げると通過帯域が減少します。
これもくせのあるfilterです。



* JP 4pole LP *


* Fc全開 resonance=0


* resonance大

resonanceの効きはおさえぎみのようです。
そのためかresonanceをあげても通過帯域はあまり下がりません。
このfilterも入力信号に対して位相が180度ずれています。
入力信号のエッジが強調されています。

SH-1などの CA3080 *4 の 4段直列filter系のキャラクターが
出ているように思います。



* 8pole LP *


* Fc全開 resonance=0


* resonance大

いちばんスロープがきついLPF
上記と同様 このfilterも入力信号に対して位相が180度ずれています。
波形を見る限り上記のfilterの 8pole版?



* Phase warp *

8段の allpass filterによる 4 notch phase shifter
これ以降のfilterは波形よりF特を見た方がイメージがつかめます。



* comb filter 1 *

* comb filter 2 *



* comb filter 3 *

強力なflanging効果が得られるfilter

* comb filter 4 *

上記 3に resonanceをかけた感じのfilter



* vocal formant filter 1 *

3 bandの BPF。 "ah" と "oh" を 模倣する filter

* vocal formant filter 2 *

3 bandの BPF。  "oh" と "ee" を模倣する filter



* vovcal formant filter 3 *

5 band の BPF。 声道をモデリングしたfilterだそうです。
これだけでも vocoder的な音になります。


* IONのfilterの 周波数特性



  Post filter mixer / Amplifire


*

performance 型 synthの為、明示的なamp block ( analog synthでいえばVCA )という表記はなく、 amp envelopeが Amplifire blockを表現しています。

つまりVCAに該当するこのセクションに対してはEG以外のmodulationはかけられないので、 AM変調、LFOによる modulationはかけられません。、 基本的にamp EGとの対応だけ となります。 どうしてもAM変調のようなことをしたければ MIXERに対して振幅変調をかけ ればいいいのであえて AMPセクションのmodulationは簡略化されているのでしょう。

また必要に応じて AMP EGに対して変調をかけてもいいいわけですし、 EG自体も2点間ループ が可能ですので EG+LFO的な機能は実現できます。


Amp関連の要素としては post filter mixerがあります。 通常のperformance synthのように filter出力が直、ampにつながるわけではなく前段に mixerが配置されていて filter1, filter2, filterを通らない direct信号が mixできる構成になっています。 direct信号は独立してソース を選択可能。 また filter1出力は位相反転が可能です。

このpost filter mix機能はかつてのperformance型の analog synthではあまりついていない機能で、 emu audityなどのわずかな機種で採用されていました。

post filter mixer出力は 2chの stereo仕様なので panpot付きで、後段の amplifireも stereo仕様です。 

* audio信号系の流れ図

この post filter mixerも機能的にはanalog synth にたとえれば stereo 仕様の 3VCAと考えることが でき、 matrix modulationが可能です。



  Drive Effect / Master Effect

1Voiceに対してampの後に overdrive, compressor等の振幅に関係するeffectが搭載されています。  1voiceでなく 1 partかも知れません。(manualの図からは 1voiceに見えますが.....)   1 part 単位だとすれば master effectと drive effectは 1個の DSP chipでこなしていそうですが。

Master effectとしてこれとは別に全パート共通の effectorが 独立して搭載されています。  Master effect パートで独立して1個のDSPを割り当てているわけですが、通常のsynthだとここで reverb, delay , chorus等のeffectとなるとこですが IONでは phaser/flanger/ chorus/ vocoder の effectで、 reverb, delayは搭載していません。

搭載しようとすれば搭載できそうですが、ある種のこだわりがあるのか、 それとも reverb, delayは RAMが別途必要で搭載していないのか、 version upで搭載するのか?。  ベーシックな音色作成はreverb, delayには頼らないということなのか、 出し惜しみのような気もしますしよくわかりませんが。

ちなみに ALESISの Effector ineko が 40 band vocoder programを搭載していることから IONの effectに割り当てられている DSP chipは ineko, pico verbといった最近のALESISの effector に使われているものと同等程度のグレードだと思われます。

最新機種の MICRONでは reverbがサポートされたようなのでそのうちIONの方も version up される可能性も sound engine boardのhard 仕様が同じなら なきにしもあらずでしょう。

<2004/06/06 追記>
pico verbに使われているchipは SCR(single chip reverb)と呼ばれるALESIS originalのAL3201という chipのようですが...  alesis semiconductor社(半導体部門は独立した会社になっているようです) の HPに上記AL3201や1K DSP(AL3101)のデータシートがありました。  inekoの方は1KDSPを使っているみたいです。(未確認)

これらのchipはEVA board等も用意されていて外販もしているようですが.....。*  Profusion plc にプライスリストがありました。 1KDSP(AL3101)の開発KITが$225で販売されているそうです。  AL3101chip単品は$15程度、AL3201はその倍程度のようです。

個人的には EVA boardの回路図に載っていたEva board用の電源供給方法が参考になりました。  これは 9VのACアダプターから +/-12V、 +5Vの電源を得る方法なのですが、単純な半波整流により は効率がよさそうで、+5Vのレギュレータに対する考慮も考えられています。

おそらくALESIS製品のAC9Vアダプターを使う機種の電源もにたような回路を使用しているのでしょう。  簡易電源として、DIY 物にも応用が効きそうで有益な情報になりました。

<2004/08/23 追記>
MICRONの Master Effectは従来の物にプラスしてもうー系統 Fxがプラスされているようです。

* mono delay
* stereo delay
* split L/R delay
* hall reverb
* plate reverb
* room reverb


* drive effects
 * 00: bypass
 * 01: compressor
 * 02: rms limitter
 * 03: tube over drive
 * 04: distortion
 * 05: tube amp
 * 06: fuzz pedal

parameterはいじれません。 drive levelのみ設定可。

正弦波を入力して drive levelをmaxにした時の倍音の発生具合

 * tube over drive
 * distortion
 * tube amp
 * fuzz pedal

奇数倍音が多く含まれていますがその含まれ方がそれぞれ違います。



* master effects
 * 00: bypass
 * 01: super phaser
 * 02: string phaser
 * 03: theta flanger
 * 04: thru zero flanger
 * 05: chorus
 * 06: 40band vocoder

最大7っのparameterがいじれます。
おそらく、effect programはバージョンアップで追加される可能性もあるのでしょう。  40 band vocoderが構成できるパワーがあるのでしょうから6種類ではもったいないような... ぜひ、moog string filter (36 Band VC resonators) や frequency shifterなどの synthなら ではの大物effectも追加してほしいものです。

と書いてから本体のprogramを見てみるとオリジナルマニュアルには無い、 07:slap back(short delay )が追加されていました。(有用なeffectです。)  追加 delayは 80ms maxなのでやはり一般的なdelay, reverbは無理なのかも知れません(?)

analog modeling synthの中には vocoder機能を synth機能と併用していて、 切り替え で (つまり1partに割り当てられた DSPをsynthとして機能するようにするか vocoderとして機能 するようにするか) 動作させる機種もありますが、 IONの場合は vocoderは master effectのひとつという扱い です。 このこともあってかvocoderの扱いが実にあっさりしていて説明不足の感があります。

* super phaser

allpass filterの段数を 4,8,16,32,48,64段に切り替えられるphaserです。  その他のparameterは一般的なもの。

* string phaser

ARP quadra 14段 phaser を模倣したものだそうです。

* theta flanger

32段phaserとflangerを組み合わせたものだそうです。

* thru zero flanger

tape flangingのシミュレータで、 1chに付き2系統の delaylineを搭載したものが2chある flangerで、 2系統のdelaylineが常に動作している為delaytimeは0を通過して(thru zero)  マイナスの値に設定できる、と解説されています。

現実問題としてマイナスにdelay timeは設定できないので(過去には戻れない)、源信号を10ms程度 遅らせたものを基準(ドライ音)としてそれに対してdelayをかけた音と新基準の ドライ音よりも過去の源信号を得る方法(0をまたいで+/-のdelayを得る)をthru zero といっているようです。

* chorus

ごく一般的なparameterの chorusです。

* 40 band vocoder

あくまで単体vocoderが付いているという感じでsystem 全体で最適化されているというわけでは ないように思います。 この為逆に柔軟性があるというか、synthesis signal path, analisys singnal pathは自由に選べ、synthesis / analysis pathの両方とも外部入力に設定することも可能 です。 構成としてはかつての wave station A/Dに近いというか。


synthsis path : effect send bus, Auxbus, Ext in L, Ext in stereo
analysis path : effect send bus, Auxbus, Ext in R, Ext in stereo

Ext inとは、外部入力jackからの入力を mixerに行く前に並列にとりだすのでしょう。
Effect sendとはeffectorに分岐する 各voiceの出力です。
Aux busとは Aux出力に分岐する 各 voice出力を並列に取り出すのでしょう。

ext inが選択される場合を除いて synthesisの信号となるのは voiceの出力信号、 すなわちsynth音となるのでOsc--Mixer--Filter-Ampを通った信号が入力されます。  これは analysis信号においても同様です。

filterのあとは必然的に voice effectを通過するので、 compressor / rms limitter distortion などが利用でき analysis / synthesys 信号に対して有用なeffectということ になります。

 内蔵 parameterは以下の通り。

1: analysis sensitivity
2: sibilian boost
3: decay( synthesis filterの反応の調整)
4: band shift
5: synthsis signal path
6: analysis signal path
7: analysis mix (原音信号のMIX)

voiceごとの信号が最終的にmixされる部分とmaster effectの send , return levelの 対応図がmanualでは簡略化され詳細が書かれていないのでたいへんわかりにくいのです が、おそらく上記の図(manualの図に追加を加えた)の通りだと思います。

上記のような構成なので 各voiceの synth音、 analysis, synthesis、外部入力をどう 配分するか注意してきめなければなりません。

もうひとつの注意点は effect send levelというparameterが voice parameterにも part parameterにも存在しないということです。  その為、 voiceの post mixer levelがそのまま各voiceのeffect send levelにも作用 するようにもみえますが実際は part parameterの wet/dry balanceというのが send levelに該当 するようです。 part Aに対してはこのparameterは part edit内にはなく voice parameter の一部の master effect parameterとしてのみ存在しています。

master effectは 4partに対して 1っしかないので set up program ( 4part multiを一括 したもの )では master effect parameterは part Aに属するpartの voice parameterが 有効となります。 このため上記のような wet/ dry parameterの扱いになっているようです。


考えてみれば 2ch仕様の外部入力(24bit AD )を備えていてそれが Oscillatorと同様に filter --> AMP --> voice effector ---> master effectorを通過できるというのはけっこう豪華な effector といえるのかも知れません。  filter--> AMP --> voice effectorの経路は 4ch multiなので最大 4パラできるわけですし。 そう考えると filter modeの充実というのは大変意味のあることで、 さらなる master effectの充実を望みたいです。



  Output section (part mixer)

IONは4part multitimbreですが、各part出力は voice parameterの出力レベルとは別に 独立した mixer partを持っていて各partの出力レベルと main , aux出力に対する balanceレベルの調整ができます。 このため voice parameterの L/R PANとこの balanceレベルを調整すれば main , auxの 全出力をmono 出力とみたてて 4part を個別に出力させることができます。

上の写真はpart Aの画面ですが、part B/C/Dについてはこれに加えて master effect の wet / dry mix parameterが付加されています。

IONの audio信号系は pre mixer、post mixerの装備、filter, output sectionの柔軟なパス設定 、mix levelに対して matrix modulationが可能なことによって mixerはamplifireと機能的に等価なので、 performance型 analog synthではもっとも柔軟な audio信号系パスを有する ARP Chromaを凌駕しています。

上記の2項目の機能に対して、ここでもまた個人的には IONのChromaにたいするオマージュを感じて しまいます。 実際 Chroma も 4 part outputですし...。

この柔軟なパス設定のおかげで、たとえば上の方で示したfilterの説明ののオシロの波形のように oscillator1の出力とoscillator2の出力を別々に取り出すことや、oscillator1のfilterを通らない源波形 と oscillator1のfilterを通過した波形を独立に取り出すことも可能です。  modular synthでもないのにこれはすごいですね。

また やろうと思えば AUX出力に特定信号を逃がして、外部入力に戻すという接続も行えるわけです。  この際 同じpart間で行えば単純には帰還ループが生成されるわけですが、別の方法として AUXに逃が す信号は part1の出力として、外部入力に戻す信号はpart2に入力するというような芸当も可能なので IONのoscillatorの出力を外部effectに通してその信号をIONにもどしてIONの amplifireを通過させそれを 最終出力にすれば 外部effect機器をIONの信号経路(filterの前段)に挿入するということも可能になる という大変柔軟な構造をしているわけです。

これは filterが 2系列あり並列接続が可能でかつfilter以降の経路を別系列ににがせることおよび、 2系統の filter入力に対して別々の信号を選択できるから可能なことなのです。

理想?的には filterの前段に non-linear tabel、 filterのresonanceの戻しに対してこの non-linear tableを介すか迂回するかの選択機能あたりがはじめから内蔵されていればなあとも思いますが。

あとIONは4chマルチなのでこの機能を使って音域ごとにparameterを調整して全体で単音色のprogramを 作るというような analog synthでは難しいきめのこまかい調整も可能になります。


part edit / part setup セクションでは part enable SW の ONで最大4partを同時に演奏できる わけですが、この際 panel active SWが activeであるpartに対して voice parameterの editが できる仕組みになっています。

ここで特筆すべき点は edit bufferは各partごとで独立しているので,panel active SWを各part に移動させることによって各partのedit bufferに読み込まれている programを並行して editできることです。 これによりlayerで重ねられている音色の再調整が容易に行えますし、 たとえば同じprogramを重ねて厚みを出すとかいう際に、part set upのparameterのみならず、 個々のpartの programの parameterレベルに戻って調整するということをストレスなく簡単に行えます。  これは実に気の利いた仕様だと思います。

ただし program と set upの関係において programは 全 set upで共有されるリソースなので、 1 programを再editしてしまえばそのprogramを含んでいる他の set upに影響がおよんでしまうので、 再edit した programは 別 program Noにして再登録してそれに対してsetupを作るということには なりますが。


red, green, blue, userの 4bankに programが格納されているわけですが、 各 bank SW を押して programを選んだ時点で現在 panel activeになっている partの bufferに program が load される仕組みになっています。

panel activeというのは editがactive (parameterの editができる)になっているpartという意味です。  part の layerは part enable SWによって設定します。  enable SWが ONしているpartが発音します。   panel active partは 1 partのみ指定できます。 enable partは 1から4っまで設定できるわけです。


一方 red, green, blue, userの 4bankと +/-1、 +/-10 およびロータリエンコーダで構成される program No SWとの関係というのは、 program SWを動かすと全 bankに対してそれが同時に作用します。

つまり全bankが program No 選択の影響を受けてしまいます。 program No指定がそのbankだけ に影響する仕様ではありません。 これはおそらく 4bank の 同一 No に対してひとかたまりのカテ ゴリーとしてとりあつかえるようにして関連した programを容易に呼び出せるようにする配慮の 為ではないかと思われます。

part setupは本来 layer / combinationの為の setup programを作るための機能ですが、 上記のように edit bufferが part分 4っあることから、 part edit / part setup セクションの 変わった使い方としてはたとえば A/B/C/D bankに同じ programをloadしておいてそれぞれの bankを editして parameterの変化を聞き比べるといった program compareの拡張的な使い方も可能です。



* program 選択 SW群



  LFO


*

比較的シンプルなLFO。 MIDI clock sync、 reset可能。
波形は SIN /TRI/ SAW / Squareでそれぞれ位相が90度ずれた COS/ COS-TRI / COS-SAW / COS-Square波 も出力可。

LFO speedは max 1000Hzなので通常のLFOの使用法の他にOscillator modulation、いわゆるpoly modulation としてもある程度使用できそうです。

LFO出力は mod wheel経由で、変調先に作用するのかダイレクトに変調先に作用するかのレベルを指定できます。  また LFOは partで 1っを共有するのか、voiceごとに独立で動作(フリーラン)するのかを選択できます。   これは LFO1 , LFO2で独立設定できます。 ARP chroma / chroma polaris の LFOと同じですね。  こういったところがUSA synthの独特のこだわりだと思います。

IONのLFOが他の多くのsynthのそれと異なるのはデフォルト状態ではLFOはどこにもつながっていないというこ とです。 使用に際してはmatrix modulation patch cableで指定してあげなければなりません。  この際指定方法はLFO1の sine waveというようにmatrix modulation側でLFOの波形名を変調先に指定します。  この為LFO block側でのparameterとしては波形選択要素は持っていません。

matrix modulationが装備されているせいか LFOまわりのparameterはシンプルです。  そのためたとえばdelay vibratoのような機能もデフォルトではついていなくてそれを実現する為には matrix modulationを指定しなければなりません。 ここらへんはちょっと不便ですね、国産synthなら 配慮してくれる点ですが。 逆に上記のフリーランの有無のような項目は国産synthがあまり配慮しない 点ですね。



  Envelope


*

attack / decay / sustain level / sustain time / release
の 5 parameter EGで、sustain time maxで通常の ADSRと同じ動作となります。

 * sustain timeがmaxでない場合はsustain levelを保持できなくなります。
    chroma polarisのsustain decayと同じです。
 * EGの release time max時は出力hold。
    (ここらへんも設計者のセンスを感じる仕様でうれしくなります)
 * attack / decay / sustain timeは最速で0.5ms
 * pitch/filter EGでは sustain levelをマイナスにも設定可能。

各 slopeに対して、 linear / +exp. / -expのカーブが独立して指定可能
velocity trackingをデフォルトで装備。(EGの振幅に対しての velocity mod.)

envelope reset mode ( reset / legato )

 * mono modeでlegato奏法をした場合 attackに対して reset、legato
  (前のEG振幅を保持)の選択可能。
  つまり multi, single triggerが選択可能ということです。

 * poly mode時、legate modeで legato演奏した場合は全てのvoiceで同じ
   envelopeを共用します。
  これはたとえば、昔の擬似poly synthのような EGが全体でひとつしかなく
  かつsingle triggerと同じ状態を作りだせるわけです。(おもしろい仕様です)

 * IONの場合は filter , ampの EGは独立しているので filter EGを
  legatoモード、amp は通常モードで使用するという使い方ができるわけです。

loop mode, freerun modeを装備。

 * freerun モードでは susutain状態が無視されるモードとなるので鍵盤を
  抑えてる時間にかかわらず、エンベロープの長さは一定になるのでたとえば、
  Drum Machine的な trigger 動作をさせることも可能となります。

 * 3種類のループモードを持っています。

  1: decay mode --> A/D間の 2点間 loop。
         ( freerun mode ON時 離鍵後もループが続く)
  2: zero mode --->
         鍵盤が押されている間 A/D/S ... A/D/Sを繰り返す。
         ( susutain timeが holdだと通常のEG同じ動作になるので
          holdにすると意味がない)
         離鍵後はrelease動作をし、再度 A/D/Rの動作が行われる

  3: hold mode -->
         鍵盤が押されている間は zero modeと同じ
         離鍵後はrelease動作をし終了

以上のように高速でかつ多彩なoption parameterを装備しています。
各slopeに対してカーブが選択できる機能はよいですね。

* manualには明記されていませんが ver1.02からENVのボタン(Pitch/Filter/Amp) を同時に押すと押された EGの A/D/Sl/St/Rの parameterが同時にeditできます。  LCD上の値はカレントのみ変化。

LFOの場合も同様の方法で複数の同時editが可能。



  Matrix modulation /tracking Gen.

* oberheim 伝統のmatrix modulationを装備。
* ちなみにmatrix modulationというのは oberheimの商標なのでしょうか、IONの
 マニュアルでは modulation matrixと呼んでいます。

* modulation patch cableは 12本。
* modulationに際して offset levelの設定が可能。
  この為たとえば、LFOで modulationをかける際に0レベルを中心に変調するので
  なく、LFO波形振幅の最低値を0レベルにすることも可能となるわけです。

* 1voiceごとに 16pointのtracking generatorが使用可能。

理想的にはK2000等のmatrix modulationのように modulation levelに対しても matrix modulation もしくはEGなどの特定 modulationがかかるようになっていればベストなのですが。  まあLFO, EGに対してはそれらのamplitudeに対してのmodulationが可能なのである程度の代用は可能ですが。

ここでちょっと残念なのは各modulation sourceつまり modulatorのとりえる出力の値の範囲がマ ニュアルに明記されていないことです。 すべての modulation sourceが同じMAX値をとるわけ ではないでしょうに。

デフォルトで設定されている(hard wiredされている) 変調は filterの EG / KBD modulationおよび、 EGの velocity modulationのみです。 それ以外に変調をかける場合 matrix modulation patch system を経由しなければなりません。 つまり変調関係は一箇所で統括管理されるわけで、各oscilltaor, filter 個々で管理されるわけでなく、これは SCI pro1や MOOG 的な管理方法です。  IONの場合は比較的解像度の高いLCDが使用されているため、どこに変調がかかっているかをまとめて把握 しやすいというメリットが生まれます。

* matrix modulationの元祖は ARPの chromaです。  かつてoberheim Xpanderの digital部分を担当したマーカス ライル氏は chromaのmatrix modulationに あこがれて、Xpanderの matrix modulationを開発したとか。


tracking generatorの edit画面。 tracking generatorとはK2000でいうところの FUNです。  折れ線近似の任意のカーブ(関数)を生成してそれに modulator出力を入力し、新たなmodulator 出力を得るというものです。
上記の初期状態で Y=X 状態ですので 入力と同じ信号が出力されます。

はじめtracking generatorは patch cableに対してひとつづつついているのかと思っていました が違うようで 1voiceに対して1っのようです。

tracking generator入力はほとんどのmatrix modulation sourceが対象になります。 


* matrix modulation SRC

 * 00: non
 * 00: note on velocity
 * 00: note off velocity
 * 00: key track
 * 00: key track extreme
 * 00: M1 Wheel
 * 00: M2 Wheel
 * 00: P Wheel
 * 00: sustain pedal
 * 00: Expression pedal
 * 00: amp EG
 * 00: filter EG
 * 00: pitch/mod EG
 * 00: LFO1 各出力 & 90度位相ずれ出力
 * 00: LFO2 各出力 & 90度位相ずれ出力
 * 00: S&H
 * 00: voice random
 * 00: global random
 * 00: portament level
 * 00: portament effect
 * 00: tracking generator
 * 00: step track
 * 00: MIDI channel pressure
 * 00: MIDI polyphonic Aftertouch
 * 00: MIDI CC 1..119

全modulator出力+ MIDI+α

voice randomと、global randomは noise発生器です。 両者の違いはよくわかりませんが、 noiseで変調できるのはよいです。 analog synthでもこれができる機種はmodularでもない限り 少ないです。 こういう柔軟性により IONはSE発生器としても優秀だと思います。

tracking generator出力はポイント間が補間されてなめらかな曲線になるタイプと、 直線的な段階変化(step track)を選択できます。


* matrix modulation DST

 * 00: non
 * 00: voice pitch (osc1,2,3共通)
 * 00: osc1/2/3(独立) pitch full
 * 00: osc1/2/3(独立) pitch narrow
 * 00: osc 1/2/3(独立) shape
 * 00: osc FM level
 * 00: osc 1/2/3(独立) level
 * 00: ring mode level
 * 00: noise level
 * 00: ext in level
 * 00: ring mod balance
 * 00: noise balance
 * 00: ext in balance
 * 00: F1>F2 level
 * 00: portament rate
 * 00: unison detune
 * 00: filter freq 1/2(独立)
 * 00: filter Reso 1/2(独立)
 * 00: filter env mod 1/2(独立)
 * 00: filter key track 1/2(独立)
 * 00: LFO rate 1/2(独立)
 * 00: LFO amp 1/2(独立)
 * 00: S&H rate
 * 00: S&H smmothing
 * 00: S&H amp
 * 00: filter level 1/2(独立)
 * 00: pre filter level
 * 00: filter pan 1/2(独立)
 * 00: pre filter pan
 * 00: drive level
 * 00: program level
 * 00: main / aux balance
 * 00: pan
 * 00: amp/filter/pitch EG amplitude(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG rate(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG attack(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG decay(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG sustain time(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG sustain level(独立)
 * 00: amp/filter/pitch EG release(独立)
 * 00: effect level
 * 00: effect mix
 * 00: effect parameter A
 * 00: effect parameter B
 * 00: effect parameter C
 * 00: effect parameter D

ほとんどのparameterが対象ということです。
oscillator pitchに対してのかかりぐあいに対して nallow / fullの選択ができる こと、 3基まとめて/個別にかけるの選択ができるのも親切設計です。

単純にKBD scallingがいろいろな場所に作用できるだけでもメリットは大きいと思います。  いろいろな応用が考えられますがたとえば、 IONの oscillatorは鍵盤情報を切る(KBD tracking OFF)ことは標準ではできませんが、 matrix modulationを使って key trackを SRCとして -100%の値を oscillatorに与えて あげれば結果 鍵盤情報は相殺され KBD tracking OFF状態をつくりだせます。


sampling波形と違い、正弦波、RAMP波、Pulse波というシンプルな源波形しか持ち合わせておらず、 また effectorもシンプルな構成にもかかわらず IONの音色バリエーションはかなり広いように思えます。

IONはanalog synth以上にanalog synth的音色合成を学ぶのに最適なsynthであると思います。  というのもIONの各parameterは正統派かつ本格的に analog synth を踏襲したものであって、 これらの機能を analog synthで実現するにはかなり大規模なsystemが必要ですが、それがION単体のみで 手軽に味わえてしまうのですから。(必ずしも analog synthの音色が模倣できるという意味でなく、 analog synth的音色合成がよりやりやすいという意味。)

源波形が単純であること、操作性が比較的よいこと、柔軟なpatchが可能なことなどがあいまって音色を 作りたくなるsynthであると思います。 個人的にはIONをcoreとして自作のanalog filter、VCOなどを組 み合わせてみるのもいいかなあと思っています。

音色バリエーションを作りだせる要素として modular synthクラスのparameterを持っているのもその要 素のひとつではありますがその数だけでなく他機種にはない細かい設定ができることや、 基本的に音の密度が高いというか艶があることも要素であると思います。


ION program parameter



<2004/06/14 rev1.19 >




|PREV|