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01 ウクライナ語との出会い
 ウクライナ語はLearn Ukrainianというソ連で出版された本を買ったのがきっかけでした。ロシア語と似て非なる言葉と言うのは好奇心をかきたてたのです。 ウクライナ語の放送をラジオで聞くと、何となく似ているけれどどこか響きが違うそんな印象でした。「ガバリット キエフ」と聞こえるロシア語のアナウンスに対して「ホボリ キイウ」と聞こえるウクライナ語の響きにはどこか親しみを感じるのでした。
02 どんな言葉か
 ウクライナが専門でらっしゃる東大の中井教授が執筆された「ウクライナ語入門」が91年に上梓されこの本は本邦初のウクライナ語文法の本となりました。薄めの本ですが中身は濃いのです。
 ロシア語と比較して興味深いと思ったのはhave動詞があることでした。ロシア語ではそのような言い方はしないで、「〜のところには〜がある」と言う表現をするのが一般的といえます。この動詞を知って、他のスラブ語はいったいどうなっているのだろうかと疑問に思って調べてみるとなんとロシア語が例外的だったということが分かりました。ただしウクライナ語にもロシア語的な表現があることは確かのようです。
 ウクライナ語の生の音を聞いていると、ロシア語を少しやわらかくした感じがします。そしてロシア語では若干綴りと発音のずれがあるのですが、それがつづり上で発音のとおりに表記してしまっているのがウクライナ語という感じもします。
ウクライナ語ではГはhの音ですが、この上の平らな部分の端の「ウロコ(serif)」が上にはねている文字があって、こちらがg音をあらわしています。しかしこの文字は現在のウクライナでは使用されておらず、1930年代初めまでのウクライナと、北米を中心とした在外ウクライナ人たちが現在でも使用しているようです。
03 ウクライナとの関係
 ウクライナ研究会という会に参加して年2回の発表会にはできるだけ顔を出すようにしています。中井先生の案内で参加したのがきっかけで、現在も参加しています。この研究会は国際ウクライナ学会公認の日本の団体であるのが大きな特徴です。発表会には在日ウクライナ人が多数集まり、その他に駐日大使のお話を直接うかがうことができるのも嬉しい限りです。なんと言っても生のウクライナ語が聞けるのはまたとないチャンスなのです。
 ウクライナと言えばキエフには足を踏み入れたことはないのですが、ドネツクの炭鉱などを訪れ、炭鉱の坑道にまで入った経験があります。地下200メートルの地下に入るのは正直言って少し怖かったのですが、実際に坑道と言うものを見ることができたのはまたとない経験でした。また、ちょうど復活祭の日にあたり、炭鉱労働者のお宅でケーキやお酒を振舞ってもらったのも懐かしい思い出です。