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01 出会い
 ユーゴスラビアの内戦は毎日のようにメディアをにぎわせました。本国のニュースもインターネットで流れてきます。現地の言葉はセルビア・クロアチア語。以前はそういう呼び方で二つの言葉を一くくりにしてきました。

 セルビア語とクロアチア語は宗教の違いなどからキリル文字を使うセルビア語とラテン文字を使うクロアチア語に分かれます。しかしその言語的な実態はほとんど同じもので、若干の単語の違いを除くと同じ言葉といっても過言ではないものとなっています。

 ソ連崩壊前にモスクワに滞在して時にベオグラードホテルでユーゴスラビアの新聞を買いました。同じ内容がキリル文字版とラテン文字版で出ているのが印象的でした。これがまさにセルビア語版とクロアチア語版でした。そしてこのロシア語に似てそれでいて異なる南スラブ語のひとつをかじるきっかけとなりました。

 そして再びこの言葉をクロアチア語としてかじることになりました。おなじみ白水社のエクスプレス「セルビア・クロアチア語」と「クロアチア語6000語」を元にクロアチア語の海に出たわけです。

02 再開
 ロシア語をかじった視点から見ると他のスラブ語は興味深く映ります。似ている単語似ていない単語、学び進めていくと音の対応がわかってきたりもします。そして、ロシア語を基準に違いを確認していくような状態になるのです。

 クロアチア語には英語にない文字がいくつかあります。c、s、zに「^」の逆さにしたものがついた文字、cに「’」がついた文字、dに横棒のついた文字があります。これらはcx, sx, zx, cy, dyと表記することにします。これらは一文字一音主義のもとラテン文字で表記をすることにしたときに採用されましたが、結局字母ということではdzyという複合字母とlj、njという複合字母ができてしまいました。キリル文字で表記すると1文字なのですがラテン文字では限界があったのですね。