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063 紅葉の季節

 美しい季節の到来です。東アジアに位置する日本はその地理的地形的環境から四季の変化がはっきりしているのが特徴ですが、この季節には紅葉が私たちの目を愉しませてくれます。

 紅葉は木が冬を迎える前に葉に水分などを送るのをやめる、所謂アポトーシスがからむ現象で、水分や栄養の補給を絶たれた葉の色素が変化し色づくというものです。木はこのアポトーシスによって寒い冬への準備に入るわけです。つまり木は自らを守るために行っていることなのですがそれが結果的に美しい山の景色や街路樹の景観を作り出しているわけです。木は紅葉を愉しんでもらおうとしているわけではないのに結果的にそのようになっています。

 自然の摂理というものは不思議なもので、気温や日照時間が変化してくると木はせっせと冬への準備を始めます。遺伝子の力でしょうか。でもそれはあくまでも単純で、木の前に街路灯があると、日が短くなったことを分からずに紅葉が遅れることがあるようです。

 紅葉を愛でるのは日本ぐらいかと思っていると実はアメリカのワシントンやニューヨークなどでも郊外の紅葉の綺麗なところを訪れて愉しんでいるのだそうです。ワシントンでは日本から贈られた桜がポトマック川のほとりに植えられ、春には花見客が訪れます。

 勿論お隣の韓国では紅葉を楽しみます。韓国では残念ながら南部の方に行かないと美しい紅葉は見られません。ソウル近郊では山に木が少ないのが原因の一つです。智異(チリ)山は特に紅葉で有名です。

 日本の紅葉は常緑樹の緑にナナカマドやカエデの赤、イチョウの黄色とそのコントラストが素晴らしいといえます。ヨーロッパなどでは赤く色づく木が少なく単調とも思えますが、街路樹の紅葉で町中が黄色く色づくのもまた美しいものです 。

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