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062 上海での所謂「猥褻寸劇」事件

 上海の西北大学で行われた「文芸の夕べ」での日本人留学生の出し物が「猥褻」であり中国人を馬鹿にした内容であったとして中国人学生が抗議デモを行ったというニュースが流れました。

 報道によればこの寸劇で留学生は日中友好を表現するつもりだったらしいのだが、どこでどのような伝聞のずれが起きたのか香港の一部の新聞は卑猥な格好をした留学生らは「これが中国人だ」と言った内容の書かれたものを首から提げていたと書いたらしい。それがきっかけで学生デモに発展したと言うのです。

 いくつか気になることがあります。その一つはこの留学生がなぜ「文芸の夕べ」という芸術的なものをみんなで鑑賞するような場所で報道されているような出し物を用意したかと言うことです。日本の学生の感覚で出し物を用意してしまったのならこの留学生達は言葉を学んでも文化を学んでいないことになるように感じます。その国の文化の弁えるべきことはきちんとするべきであり、場違いの出し物は学生にもかなりの非があるように思えます。

 もう一つは中国のメディアがなぜ事実と異なる報道をしたかということです。出し物を見た学生は「これが中国人だ」とは書かれていなかったと証言しているところを見ると、中国側の意図的な情報の捏造が行われた可能性も否定できません。これが地元新聞ではなく香港の新聞であることが問題で、このところ続いた買春騒ぎなどの日中間のトラブルから、意図的に行われたとしたら。

 中国のメディアや韓国のメディアは時として大衆の意見とマッチポンプを繰り返して盛り上がっていくことが往々にしてあるように見受けられます。こうしたメディアに載せられる市民は正しい判断を失ってしまうのが残念と言えます。メディアの報道を注意深く、批判的に読んで見ると言う文化を持つ社会ではない中国ならではの事件でもあったのかもしれません。

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