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056 冷夏と気象情報

  今年は例年とは違った涼しい夏になりました。その上残暑が厳しいという年でした。海外からも今年の夏の話題としてヨーロッパから猛暑の便りが届きました。例年それほど暑くならないパリではエアコンが殆ど普及していないために猛暑で熱射病にかかる人が続出し、直接間接を含めると一万人を超えたという統計があります。

 今年の夏の高層天気図を眺めてみると、大きく蛇行したジェット気流の姿を見ることができます。その流れはヨーロッパとインド、日本の付近で大きく波打ち、いわゆるブロッキング高気圧が発生して居座っているのです。ブロッキング高気圧のために高温の気団はヨーロッパに居座り、日本付近では北方の気温の低い気団の勢力が強いままとなったようです。このような現象は実は非常に珍しいものでもなければ、今後異常気象に進んでいく前兆ともいえないようです。

 とは言っても現実には季節商品というものが存在し、その季節特有の気温や日照などによって売れるものやサービスがあります。これらは今年は振るわず、これらに関係した企業や商店では大変な年であったことは間違いなく、景気への影響も懸念される状態でした。しかし早々と秋物が売れたり、涼しいからこその商売も成り立つわけで、そのあたりは社会全体で考えると冷夏は全面的に問題ではないのかもしれません。

 最近はこうした気象によって影響を受ける企業は気象の情報を扱う私企業から気象情報を買うことが増えているといいます。気象情報がビジネスになる時代です。そして気象の状況に応じて補償金を受け取れたりするような商品も開発されてきています。朝起きて今日は晴れるのか雨が降るのか、あるいは寒いのか暑いのか、寒くなるのか暑くなるのかといったことは、傘を持っていく必要があるのか、何を着たらよいのかを決める重要な情報でもあります。つまり気象情報というのは身近なところから大企業に至るまで実はとても大事な情報ではあるのですね。

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