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050 御衣黄

  御衣黄という桜をご存知でしょうか。「ギョイコウ」と読みます。うす緑色の桜という表現が良く合います。

 桜というと「桜色」というイメージがあるだけに赤系の色を思い浮かべることが多い中で、この御衣黄は薄い緑色の花をつける桜です。八重なので咲く季節はソメイヨシノなどに比べると遅いのです。桜の色をしていないので最初は桜とは思えないのですが、この桜の特徴は徐々に花の色が桃色に変わっていくことです。すっかり色が変わるのではなく、少しずつ変わっていって全て変わる前にたいていは散ってしまいます。そのうす緑色が天皇など高貴な人の衣の色に譬えられ、御衣黄と名づけられたのでしょう。

 はじめてこの桜を見たのは十年ほど前だったでしょうか。とても驚いた一方でこの桜の魅力に取り付かれてしまいました。普通はこの桜はないと思っていたのですが、自宅の近くの家にこの桜が植えられていて、毎年美しいうす緑色の花をつけています。今年もこの花は咲き散っていきました。

 桜というのは日本ではありふれた、いたるところに並木があったり庭木として植えている人がいたりしていますが、その種類がとても多いのにも驚かされます。

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