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035 寒さがもたらすもの

 この季節になると天気予報でよく聞く言葉が「冬型の気圧配置」「強い寒気団」「放射冷却」「冬日」「真冬日」でしょうか。北海道のようにさらに寒い地域に行くと「けあらし」「ダイヤモンドダスト」「サンピラー現象」なんてものがあります。こういった言葉を聴くようになると冬なんだなあと感じます。「西高東低」の冬型の気圧配置はわかりやすく、等圧線が縦に本州を横切り、その幅が詰まるとその寒さは強く、日本海側は雪、太平洋側は快晴になります。おまけに酷い乾燥で堪りません。

 雪は雪で大変で、雪があまり降らない地域は雪は子供たちの愉しみですが、数メートル積もる日本海側は雪は憂鬱の種であり、恐怖の存在でもあります。天気予報の雪のマークが以前は雪だるまだったのが、雪の結晶のマークになったり雪の降る様子を表現しただけだったりするものに変わりました。これは雪の多い地域の人々の心を配慮したものです。

 冬型といえば雲の様子を見ると大陸から刷毛でなでたような雲の筋が見えます。まさに冬、大陸の寒気が吹き出して日本海を通過します。日本海で湿気を吸い日本海側で雪を降らせます。この雲と中国や朝鮮半島などの陸地から離れているときそれは強い寒気の噴出しを意味します。とても大変なことになるのです。

 寒い朝、川から立ち上る湯気のようなものが「けあらし」その中に丹頂鶴や白鳥がいると幻想的な景色ですね。空気中の湿気が寒さで凍ると「ダイヤモンドダスト」、太陽の光のにきらきらと輝きます。太陽の光であたかも光の柱のようなものが見えると「サンピラー」。ともかく厳しい寒気はさまざまな美をももたらすのです。

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