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029 狂牛病の安全宣言

 二十二日の某スポーツ紙に「安全宣言」ウソだった。という題字が書かれていました。この記事を書いた記者或いは編集デスクは一体何を勘違いしているのだろうと呆れてしま いました。

 十月十八日に坂口厚生労働大臣と武部農林水産大臣が国会内で「安全宣言」と呼ばれるものを出しました。そのタイミングは市場に出る牛の全てについて異常プリオンがあるかどうかの検査を始めた日です。検査の結果狂牛病(正しくは牛海綿状脳症=BSE)に感染していた牛が見つかったのです。そしてその牛がと畜処理された天塩郡の食肉センターではその牛の全てについて焼却処分さらにはその牛の後にと畜された牛 三十頭分も全て焼却するということです。つまりその患畜(病気にかかった家畜)だけでなく、異常プリオンが解体用の刃に付着しているかもしれないということでその牛さえも市場に出さないということです。

 「安全宣言」とは何か?全ての牛を狂牛病検査するので、例え狂牛病の牛が見つかってもその牛の肉や内臓など全てが市場に出回らないということを意味します。ヨーロッパでは危険とされる月齢のいった牛は基本的に食べず、それ以下の牛は検査をせずに市場に出るわけで、それから考えると日本のほうが格段に安全なのです。つまり「安全宣言」とは狂牛病の牛がいないというわけではなく、いたとしても全て網に引っかかって市場には出ないんだよということです。それは会見でも大臣が述べています。ところが一部の人たちはこの「安全宣言」をもう狂牛病の牛がいないという意味と勘違いしています。1頭感染した牛が見つかっていたわけで、他にいることは間違いないのです。今回2頭目が見つかったことで、少しづつ解明されていくことでしょう。本当ならさらに多く見つかることが感染源特定には必要かもしれません。

 農水省は肉骨粉を飼料として与えていた牛を全て検査するそうです。上手くいけば感染ルートが見えてくるかもしれません。狂牛病は餌からしか感染しないからです。感染といっても、餌が違えば一緒に飼ってもかからないのです。

 プリオン検査に使われているエライザ法は感度がとても高いもののそれでも三十ヶ月齢以下の牛ではなかなかわかりません。ということは殆どプリオンを蓄積していないということになります。二次検査のウエスタンブロット法は電気泳動を利用しています。正確に出るのが特徴です。さらに免疫組織学的染色による検査と組織化学的染色による検査で確定をします。こちらはいわゆる空胞があるかどうかプリオンの集まりを確認するのです。 二頭目の牛は脳にスポンジ状の空胞は確認できませんでした。しかしプリオンの染色では茶色の染みのようなものが確認できました。

 狂牛病の「安全宣言」とは一体何なのかこれで少しわかりましたでしょうか。 

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