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027 ラマダン入り

 太陰暦を使用するイスラム暦のラマダン月(別名断食月)がやってきました。太陰暦でもそれを修正する手段がないイスラム暦では毎年太陽暦とのずれは変わっていきます。つまりイスラム暦の正月は太陽暦ではいつ頃とはいえないのです。日本の旧暦などの太陰暦は閏月を入れて調整していたので大きくずれることはありませんでした。

 湾岸戦争当時イラクの副首相だった「ラマダン」という人物がいます。これはイスラム暦の「ラマダン」の意味で月の名前ですからさしずめ「五月(さつき)」とか「弥生(やよい)」といった感じでしょうか。

 このラマダンはイスラム教徒にとって重要な宗教行事の一つです。メッカ訪問や、一日5回の祈りなどとともに生涯続けるイベントなのです。ラマダン期間中は太陽が出ている間は食事はできません。水も殆ど飲まず、静かに過ごします。でも太陽が沈んだ瞬間から断食の行から解放されます。ご馳走を用意して飲め(国によってはアルコールも可)や歌えや食えやと昼間の断食は一体?と感じるほどです。断食は貧しい生活を常に忘れないということ、苦労した先祖をおもうことなどがその目的とされていますが、丸一日食事を口にしないと職場の生産性は低下するのは避けられません。でも全員が断食しているのと、宗教行事なので仕方がないとなっているのです。

 夜の豪華な食事は何なのかと思うのですが、それも習慣だといえばそうなのですね。テレビやラジオもラマダン期間は夜遅くまで放送を続けて娯楽を提供します。イスラムの国の一大イベントなのです。

 イスラム教でラマダン月に断食を行うのは宗教的義務ですが、イスラム教では旅行中は宗教義務は必ずしも護らなくともよいという決まりがあります。ということで断食を逃れるためにこの時期にあわせて旅行をする人、さらには戒律の厳しいサウジアラビアなどの国では海外に出て、国内禁制の酒を飲んだりすることはあるようです。これはイスラム教で認められていることなのでなんら問題はありません。

 イスラム教は宗教であって生活一般を規律している生活律、道徳律の性格もあるわけです。他とは相容れないこともあるでしょう。理解しにくいこともあります。でもそれらを先入観や偏見を持たずに見つめてみるということは大切だと思います。

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