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026 Iターン

 就職の季節になるとマスコミをにぎわすのはUターン。地方から東京に出てきた人が大学を卒業して就職のために出身地に戻ることで、もともとあった言葉をそのまま使って、まさにうまい表現だなと思うのです。ところが自分の出身地に戻らず、途中 などの別の都市で就職したりすると、終身地に戻っていないということで、Uほどではないということから字の形を考えて、それではJだろうという理由でしょうか。Jターンという名前がついたのですね。まあ、UとJを比較するとまあ、そんなもんかなと思うのですが。 ここまでは納得できる表現だと思います。

 しかし、許せないのは「Iターン」という言葉です。それはJまでは少し戻っているので文字の形からしても、なんとかターンという言葉が使えるのですが、「I」のどこにターンがあるのでしょうか。都会で生まれ育った人が地方都市に行って就職するということだそうですが、 まっすぐある都市に向かっているわけで、いくらなんでも「ターン」はしていないと思うのです。それでもターンという言葉を使いたいというところがわからないのです。

 この言葉を考えた人は、Jまでターンという言葉を使っているのでそのまま語呂がいいように「ターン」という言葉を使ったのでしょう。でももっときちんと考えて欲しかったと思います。 言葉の中に矛盾を内包しているということに違和感を感じないのでしょうか。

 語感というのは人によって違います。気になる人、気にならない人とさまざまでしょうか。「ら抜き言葉」でも受容派と拒否派に分かれます。ちょっとしたことですが、言葉には敏感になりたいと思っています。

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