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021 狂牛病と日本

 狂牛病の牛が見つかって日本は大パニック。

 考えてみればヨーロッパでも英国ではあれだけ狂牛病が出ていたのにイタリアではずっと出ていなかった。ところがイタリアで狂牛病の牛が見つかるとイタリアでは大パニックになりました。日本に比べて牛肉の消費量が多い国は大変な騒ぎです。今の日本と同じように不安が広がって、牛からヒトへは感染の証明がなされているにもかかわらずよろよろした牛の映像で心配になるのです。人間への感染が証明できないのは潜伏期間が5年から8年といったことも理由で、何年も前に食べた肉がどんなものだったかなんてわからないのです。

 その直後のイタリアはレストランで肉を食べたくないという人が増えたのか、メニューには魚料理が増えた上に肉のところには牛肉は殆どなく、卵料理の選択肢が多くなるなど実に奇妙なことになりました。流石に日本はそこまでいっていないのが安心ですが。

 やはり怖いのは漠然とした不安でしょうか。ニュースで丁寧に扱って、いったいどんなものが安全でどんなものが危険なのかということを伝えてもやはり気になるのは本当に安全なんだろうかということでしょうか。特に家族の食生活をあずかっている主婦は自分の不注意で家族を危険にさらしてないだろうかと神経を使います。牛肉は怖いということが漠然と気になってしまうのでしょうか。

 イギリスで肉骨粉が感染ルートで狂牛病が大発生しました。輸入は禁止されていたのですが、どうも国内に持ち込まれていたのではという話もあります。日本では何かを禁じたときにもそれを無視してしまう業者がいたり、産廃を不法投棄する業者がいるなどモラルの低さが指摘されることが良くあります。そういう土壌が、安全だとは言っていてもどうも信じられないということになります。結局農水大臣や厚生労働大臣が「大いに牛肉を食べる会」を開いても胡散臭く感じるだけなのです。

 狂牛病にかかった牛がいるのかを公表するタイミングについて、自民党BSE(狂牛病)対策本部の強い意向に厚生労働省は押し切られる形で決まりました。感度の良いエライザ法で検査して陽性になった場合、確定検査であるウエスタンブロット法での検査を行う。それがクロ判定になってもその時点では公表せず、生体組織検査を行って判定の会議を経てから公表という形となりました。坂口厚生労働大臣はエライザ法で陽性に成ったら即公表したいとの意向を強く持っていました。自民党は先週末の東京都の騒動から無用の混乱をさせたくないとのことですが、今後、生産者を保護するのか消費者に速やかに情報を提供するのかという論争も起きそうです。

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