HOME>ざれごと録>019 台風の進路予想

019 台風の進路予測

 台風11号は気象庁の予報とは違ったルートを通って、しかも首都圏に最も近づく時間については12時間近く外れました。

 11号台風は近畿地方に近づくときには首都圏には二十二日朝、通勤の足に影響か、などと発表していました。しかし計算が狂ってきたのはこの後でした。台風が紀伊半島に接近し始め、上陸するころになると速度は急激に遅くなったのです。上陸後 1時間ほど、データを解析すると全く動いていないとしか思えない状態になりました。気象庁2階の予報課はどんな状態だったのでしょうか。

 偏西風はどこを通っていたのか。300ヘクトパスカルの高層天気図を見てみると北海道に更に北に流れていました。北海道の東で若干南に下がっているものの台風に影響を与える位置にはありません。

 20日午前9時の500ヘクトパスカルの高層天気図を見てみると、台風の東に太平洋高気圧が台風を覆うようにあります。そしてその北には2つの低圧部があって、太平洋高気圧の尾根に先に更に気圧の峰場が存在する格好になっています。台風は東に行きたいのだがそこに高圧部があってブロックしてしまったのです。当初気象庁はこの太平洋高気圧は早い時期に東に後退すると考えていたようです。ところがこの高気圧の後退はなかなか遅くて、22日午前 9時の500ヘクトパスカル高層天気図を見るとようやくその勢力が弱まり始めていました。そのために台風は自転車並みの時速15キロ〜20キロという速さになったようです。

 気象庁はどうして太平洋高気圧がこんなに後退するのが遅れたのかそのメカニズムが分からないとしています。今は数値予報という、膨大なデータをスーパーコンピューターで解析して予報を出しています。なのにこれだけ予報がずれたのには何か必ず理由があるはずです。プログラムの欠陥か、考え方にミスがあるのか。台風が発生すると膨大なデータを元に各国でも進路予想を計算しています。これらの結果を見ると微妙に違っているといわれています。つまり計算式や扱うデータとその使用法が違っているのではないでしょうか。

 台風の進路予想の円は中心が七十パーセントの割合で来るという意味を持ちます。でも一般の人はそう考えるでしょうか。天気情報と天気の予報は気象庁の専管業務ですから、きちんとしてもらわないと困るのは我々市民だということ。生活に密着しているというので予算もつけてもらっているわけです。気象庁は今回の予報はずれの原因をきちんと追究して、次へのステップとして欲しいものです。

戻る