永井豪イラスト仕事。
マンガ業が豪ちゃんの主な仕事だが、こういうコトもなさってるんです。


その1

カバゴンのアポロ大作戦!中途半端な性の知識は、おもしろいけどおそろしい。
この本は、そんな遊び半分で読まないでくれよ。
こえてる男性、すすんでる女性になるための、真剣な勉強なんだぞ。
さあ、はじめよう!
(カバー折り返しより)


『カバゴン相談室 男と女の問題』
阿部進・著(朝日ソノラマ・1970年12月10日初版発行)

「カバゴン先生」である。阿部進先生である。『ハレンチ学園』JC版13巻の 全あとがきを制覇した偉業を持つ男。1970年代に物心付いたガキなら「ちょ っとエッチな先生」として覚えているはずである。この頃おとーさんだった ら、奈良林祥先生である。

「戦後は終わった」で「ウーマンリブ」で「中ピ連」だった頃、全てを熱く 語ることが大流行。「性教育」ももちろん例外ではなかったっ!てーか、い つの世も「赤ちゃんはドコから産まれるの?」てーのは重大なるテーマなの である。それに全て応えるのがカバゴン先生のこの本だっ!

そして、カバーイラストを担当したのが我等が豪ちゃん!が、カバーのみ。

カバーをひっぺがすと、こういうイラスト。どうもカバー裏っかわの絵も鑑みると、 この頃ダイナミックに所属していた岩沢友高(『100円病院』『あばしり一家外伝』) タッチだ。

ただしただしただああああし!後はトビラ1枚が岩沢(推測)なだけで、中身のイラ ストは別人。非ダイナミック。コレは残念だ。

ちなみに内容といえば、
「はやっているのが、マークル遊びだ。マークルとは スカートめくりをかっこよく言ったモノだ。」
「アポロの宝庫の働きが活発になり、アポロの使者が始まる。おとなの身体になった 証拠だ」
「<女の子への注意>必殺飛びチンゲリなどで、何もしない男の子をけっとばしては いけない」

てな、カバゴン的ボキャブラリー保健体育教科書である。小学館の学年誌で女の子の ブラジャー特集をやる昨今からすれば他愛ないモノだが、タブー多き時代にココまで やるのもまた「運動」の一形態だったんでしょうなあ。てゆーか、今の子達って、ス カートめくりやってるのかなあ。



ちなみにこういうオビが付いてました。(絵は豪ちゃんにあらず)


その2

基礎からハイテクニックまで実践講座
人気まんが家の世界
まんが家名鑑


『キミもまんが家になれる!! まんが家入門大百科』
(ケイブンシャの大百科シリーズ<38> 1979年5月15日発行)

今ならさしずめ雑誌『マンガテクニック』でやってることをやってしまった、 ケイブンシャ。コレは内容がやたら濃い。カラー口絵でまんが雑誌の歴史を辿り、 まんが家事務所訪問。主に前半は『仮面ライダー』『ゲームセンターあらし』 でおなじみのすがやみつる氏によるテクニック講座。

ただしただああああし!ダイナミック的に重要なのは(すがや先生、ごめん なさい!)中盤以降の企画であるっ!まんが家へのドトウの質問コーナーが! 石森章太郎(当時)・松本零士・赤塚不二夫・ちばてつや・水木しげる・水島 新司・藤子不二雄・永井豪・本宮ひろ志・池沢さとし・矢口高雄・望月あきら ・小山ゆう・里中満智子・萩尾望都・竹宮恵子・大島弓子・山岸涼子へインタ ビュー。1、2ページなどといわず、テーマからテクニック、シュミに至るまで じっくり訊いている。何と豪華な。

で、我等が豪ちゃんだが、『凄ノ王』『花平バズーガ』『新デビルマン』を 描いておられる頃。プロフィール的な質問に続いて、バイオレンスジャックの イメージが『御子神(みこし)の丈吉』という映画での原田芳雄である、との 貴重な証言も。その後、ダイナミックプロ訪問企画。当時の豪ちゃんの仕事場 写真や、ダイナミックプロの見取り図(作家・アシスタントの机の配置まで書 いてある!)というごちそうさまな特集。コレはダイナミックファンなら、教 科書になりうる本だと言っておこうっ!

巻末企画として、掲載作家のサイン入り色紙プレゼントも。豪ちゃんは、カラ ーの不動明。当たったヤツが羨ましいなあ。


その3

あ、マジンガーが出てくる話はいいです。
あれは冗談で描きましたから(笑)


『NEW MEDIA COMICS フェアリーダストvol.10』
(創映新社・1989年1月10日発行)

レモンエンジェルである。『亜美・それから』である。『吸血鬼美夕』 である。櫻井智と仕事をしたことがあるが、とてもこの頃のコトは訊けねえ、 訊けねえ(笑)。

さて裏表紙にある通り、この時『バイオレンスジャック』がアニメ化された。 都合2回目で、マッドザウルスとブルーキッドの熱い愛に泣ける『地獄街編』。 板野一郎監督ということで、「ジャックの鷹で板野サーカスやるつもりか!」 などと思ったモノだ(嘘)。ぼちぼちビデオアニメ市場も飽和が進み、パイオ ニアである『くりいむレモン』も評価を確立し、何かと世の中が介入して自由 度が減り始めた...そんな時期。だからこそ、こんな雑誌も出たんでしょうが。 吾妻ひでおさんも寄稿してます。

で、原作者インタビューとして豪ちゃん登場。『ジャック』ゴラク版に関する コメント少々。非常に「らしい」お言葉。

当時再連載が始まった時というのは、市場にKC版の在庫が出回らなくなった頃で、 奈良県ちう田舎にいた俺はまだ単行本をまとめて持ってなかったため、イマイチ 世界観を掴めぬまま読んでたんでありんす。
(#ちなみにゴラク第1回は文庫版3巻『ドラゴンの砦』編)

...と思ってたのは俺だけじゃなかったようで、読者の声に答えて、世界観の ひな型を作ろうと『関東地獄街』編が描かれたんだそう。様々な思惑が錯綜して、 暴力の嵐を巻き起こす。...ソレは結果的にジャックが引き金でこそあるが、そも そもは人々の深層にあるのだ...ということ。更に青年誌だから<その辺>容赦し ねえよ、てカンジまで入ってますからねえ。そうだったのか、と。

他にアニメ化したい『ジャック』エピソードは、と訊かれた豪ちゃん、「凄ノ 王が出てくる話とか、その前に『死神警察編』も。やっぱりみんなアニメ化した いですよ。」と自作への愛を語る。が、その後に冒頭の発言が(笑)


[TOP]