純白の雪原を歩いた。日塩もみじラインの料金所近くから奥塩原キャンプ場の裏側をトレッキングする1時間30分ほどのコース。毎年冬に催される塩原温泉ビジターセンター恒例の「カンジキ・ウオッチング」だ。
 まとまった雪は数えるほどしか降っていないので、山もそれなりに少ないのだろうと思っていたら、なんと積雪1メートル50センチ。スノーシューを履いていても20センチ以上は足元が沈む。
 パークコンダクター氏の先導で、森の中へ足を踏み入れる。そこは光と影が創り出すモノクロームの世界。ふんわりと積もった雪が不思議な造形を創り出していて、見飽きることがない。
 木々の冬芽が春を待つかのように顔を出している。丸い茂みとなったヤドリギが紅い実をつけている。野うさぎの足あとが、暗い木立の中へと続く。この季節ならではの美しい森の表情…
 「カンジキ」は山間部の冬の生活に欠かせない、雪上歩行用の履物として知られているが、西洋版カンジキともいえる「スノーシュー」は、北米の先住民たちが狩猟用に使っていたという雪上歩行具。靴の延長のような感覚で使えるから、特に難しい技術は必要ない。100年以上の歴史を持つスノーシューメーカーもあるぐらいで、米国をはじめ、世界中で多くの人々が楽しんでいる。
 日本では、まだブームというほどではないが、スノーシューでの雪上トレッキングは、雑誌などでも取り上げられるようになり、誰もが楽しむことができる、冬のアウトドアレジャーとして注目されている。
 森を抜けて、キャンプ場の広場へと出た。なだらかに隆起した柔らかな雪原が広がる。誰の足あともない、まっさらな雪の上を歩く快感はスノートレッキングの醍醐味。思う存分バージンスノーと戯れる。飽きることなく無邪気に歩り回る。
 童心に帰ったひととき、心の中も真っ白になった。

(05.02.20掲載)

冬の森を歩く
NO31