昨年暮れに降った大雪で、雑木林は一夜にして冬景色に変わり、いつもどおりの寒さが戻ってきた。それでも、年が改まると、新年を祝うかのように鮮やかに晴れ上がり、穏やかなお正月を迎えた。
元旦の朝、改まった気持ちで雑煮を食べる。姑から母へ、母から妻へと受け継がれた我が家の雑煮。除夜の鐘を聞きながら具をきざんでいた、母の後ろ姿を思い出す。
関東では鶏肉を使うことが多いようだが、出汁はかつお節で取る。昔は煮干しを使っていたような気もするが、定かではない。味は醤油と塩で整え、具には、ごぼう、にんじん、大根、わらび、紅白のかまぼこ、それに凍み豆腐を入れる。これをすべて2センチほどの正方形に切り、若水を使って大鍋いっぱいに作る。お椀に焼いた餅を入れ、この具沢山の汁をかけて、セリをのせればできあがりだ。
肉を使っていないのでさっぱりしてはいるが、それぞれの具材が渾然一体となってなんとも味わい深い。二日目になると味がなじんで、いっそう美味しく感じる。
全国各地にいろいろな雑煮があるようだが、我が家の雑煮のルーツは東北・仙台にあるらしい。「何代か前まで仙台で造り酒屋をしていたから、うちのは仙台風だ」と父が話していたのをはっきりと記憶している。
調べてみると代表的な仙台の雑煮は、焼きはぜやいくらなどの海産物を使ったり、伊達鶏を入れたりするようで、明らかに我が家のそれとは違うが、醤油味のすまし汁仕立てで、大根、人参、ごぼう、凍み豆腐とセリが使われているなど、共通
している部分も多い 。特に凍み豆腐とセリは、他の地方にはない特徴的な具材のように思える。
具や味付け、餅のかたちなど地域ごとに違いがあるが、それも時とともにわずかずつ変わるのだろう。
僕にとっては、すでに妻の味になっている雑煮も、子供たちにとっては、まさにおふくろの味に違いない。子供から孫へ、さらにその子へと、どのように伝わっていくのだろうか。来年三月、母の十三回忌を迎える。
(05.01.09掲載)

