例年に比べずいぶん暖かな日が続く。遠望する那須の山々も、頂上付近に雪らしきものがわずかにある程度だ。
忘年会シーズンである。取引先の関係から、個人的なものまで、夜のスケジュールがほとんど埋まってしまった。仕事に追われて、いやおうなしに流れて行く日常だが、ふと気づけば、今年も残りわずか。また一年が過ぎ去ろうとしている。
ひさしぶりに銀座に出た。街はすっかりクリスマス気分に彩られている。華やかに輝く赤や白や黄色のイルミネーションに、不思議な高揚感を覚えてしまう。
師走の金曜日とあってか、驚くほどの人出だ。年末を待ちわびていたかのように陽気で騒がしい。なにかのイベント参加者のように、奇妙な連帯感がただよっている。
景気がわずかながら回復しているといわれても、なにかピンとこなかったが、この喧噪を眺めていると、なるほど少しは景気も良くなっているのだろうと納得してしまう。それとも、不景気風が吹きやまないから、せめて忘年会ぐらいはパ〜ッとやろうということなのだろうか。僕の場合どちらかといえば後者だが、いずれにしてもにぎやかに飲む酒は楽しい。
ほどほど酔いが回って店を後にすれば、銀座通りは大渋滞。ヘッドライトが川のようにつらなって溢れている。まるでバブルの頃の再現だなと思いつつ、駅へ向かう。
東京発22時44分、なすの259号。この最終の新幹線にも、師走の賑やかさが紛れ込んでいた。座れないほどではないが、ほとんど満席状態。終電は普段でもそこそこ混んでいるが、さすがに忘年会シーズンだ。ほおをほんのり染めたOL風の女性もいれば、すっかり出来上がった紳士もいる。酔客の高い声もときおり聞こえてくる。それでも、小山を過ぎ宇都宮を過ぎれば、そのざわめきは消える。車内には数えるほどの乗客しか残っていない。
那須塩原駅に降り立てば、火照った身体に、冷たい風が心地よい。漆黒の空に、青白い月が輝いていた。
(04.12.12掲載)

