台風が多いせいか、九月も半ばだというのにスッキリとした天気が続かない。
湿気が多い雨後の雑木林には、さまざまなキノコが立っているが、例年より数も種類も多いように感じる。
いかにも毒キノコらしい姿かたちをしているものから、いっけん食べられそうなものまで種々雑多。だが春先の山菜と違って、キノコだけはおいそれと手が出せない。
キノコといえば、栃木県ではなぜか「チタケ」。あのマツタケをしのぐほどの人気だというから驚いてしまう。キノコ図鑑にもそのように書かれているぐらいだ。
栃木県ならではの食文化といってしまえばそれまでだが、他県からの移住組にとって、「しもつかれに」並ぶ不思議食材だ。
名前の由来どおりに、傘に傷をつけると白い乳のような液が出る。なるほど乳茸だ。
物珍しさも手伝ってチタケそばを食べてみた。キノコ自体はボソボソとした食感であまり美味しくはない。しかし出汁(だし)は独特のコクがあって実に味わい深い。
あと一〜二週間もすれば「ツバタケ」が顔を見せるはずだ。ナラの切り株や倒木に生えるキノコで本名は「ナラタケ」。傘の下に鍔(つば)のようなものがあるので、この辺りではツバタケと呼んでる。地元のご隠居にこれを教えてもらって以来、毎年心待ちにしている秋の味覚だ。
バター炒めでもよし、味噌汁でもいける。自分で採ったキノコだから、ことのほか美味しく感じるのかも知れないが、コリコリとした食感がなんとも旨い。
去年、やっと見つけた時には、食べ頃をすっかり過ぎていて、残念な思いをした。今年は時期を逸すまいと、まめに雑木林の中をチェックしている。
ツバタケもチタケも、那須塩原に移って初めて口にした自然の恵み。今年もまた、この土地ならではの美味しい食材に出会えるだろうか。
秋の気配が日ごとに深まっている。コツーン…時おり木の実が屋根に当たる音が響く。庭のヤマザクラがはやばやと落葉し始めた。
(04.09.12掲載)

