うっとうしいほどの濃い緑と、背丈ほどにも伸びた雑草、そしてやかましいセミの声。東京と比べたら過ごしやすい夏だが、それなりにわずらわしい残暑が続く。
出番が来るにはちょっと早過ぎる薪ストーブの中から、カサカサとかすかな音する。ときおり大きな羽ばきも聞こえてくる。煙突から飛び込んできたコガラかスズメに違いない。
バタバタと煙突掃除をしてくれるのはありがたいが、取り逃がしたらたいへんだ。外へ逃げ出そうと煤だらけの身体で飛び回るから、壁や天井のあちこちが真っ黒に汚れてしまう。
小鳥が煙突の中に入ってしまうと、翼を持っているとはいえ、直径15センチほどの空間を垂直に飛び上がることはできない。煙道の途中でもがいていても、けっきょくはあきらめて降りてくる。そしてあたりの様子を伺うかのように静かになる。
早く追い出そうと、トビラを開き煙突やストーブをたたくが、臆病な小鳥はなかなか姿をあらわさない。
初めての頃は対処の仕方がわからず、右往左往したものだが、今では毎度のことなので、慌てず騒がず、捕獲専用の大きなビニール袋を取り出してストーブにすっぽりと被せる。
気長に待っていると、やがて、明るい袋のなかに飛び出してくる。こうなったらしめたもの。慎重に袋を閉じて、解き放ってやる。これで一件楽ちゃくだ。
無事解放されればなによりだが、なかには可哀想な鳥もいる。タイミング悪く、留守中に飛び込んでしまうと、ストーブがそのまま鋼鉄のひつぎと化す。
「チムニートップ(煙突の先端)に金網でも取り付ければ防げるのだが…」と思いつつも、急勾配の屋根を見上げると、つい二の足を踏んでしまう。
今年も10羽近い珍客があった。以前は雑木林の中らしくコガラがほとんどだったが、年々増える住宅のためか、最近ではスズメの比率が多くなった。
思わぬところで都市化の波を感じさせられる。いつまでも自然豊かな雑木林であってほしいが、思いどおりにはいかない。
庭の片隅に萩の花がひっそりと咲いている。とんぼが軽やかに宙を舞っている。ほんの少しだけ秋の気配がただよい始めた。
(04.08.22掲載)

