高層ビルに反射する陽光が眩しい。街(東京)では、ぎこちないスーツ姿の若者が目立つようになった。新社会人だろう、どの顔も軽やかに明るく輝いている。
那須塩原にも遅い春がめぐってきた。田んぼの水面
(みなも)に、爽やかな青空が写し出され、街道沿いのコブシが華やかに踊る。
最近、寝室の片すみからカサカサと不思議な音がする。どうやら、スズメがまたどこかに巣を作っているようだ。この時期、我が家の軒先きは文字どおりスズメのお宿と化す。
大屋根の左右の隙間には、毎年リザーブされているかのように巣が作られ、チュンチュンとかまびすしい。ツガイ(夫婦)なのだろう、仲良くたわむれながら新居の造営に余念がない。
巣作りがへたなスズメもいる。デッキにワラクズや小枝が散乱しているので、なにかと見上げたら、軒下の隙間に巣を作ろうと奮闘している。しろうと目で見ても、営巣できるようなスペースではないのだが…。案の定、作りかけの巣がドサッと落っこちてきた。懸命に作っているだけに、知らん顔を決め込むわけにも行かない。元にもどしてやるが、ある程度、形ができるとまた落ちる。それを何度か繰り返してやっとあきらめたらしい。いつの間にやらどこかへいってしまった。
巣作りが終わって何日かたつと、チチッチチチッと小さな鳴き声が聞こえてくる。ヒナがかえったのだろう、親鳥がせっせと餌を運んでいる。
そして巣立ちの時を迎える。その直後は飛翔力があまりないから、なかなか高い枝に飛び移れず、地上近くの茂みをうろうろしている。なんども試みるが、うまく飛び上がることができない。「ほら、がんばれ!」と、つい応援してしまう。不器用に羽ばたく姿は、ユーモラスな中にも、新たな旅立ちの清々しさを感じさせてくれる。僕にもそんな時期があったのだと、ちょっとセンチメンタルな気分だ。
いわゆる中年の仲間入りをして久しいが、やはり春は春。心浮き立つシーズン。夢と希望を持って、新たな時をきざみたい。
(04.04.18掲載)

